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ベトナム生活5年目突入

ハノイに住んで、もうすぐ4年になる。4年という文字を見ると、その長さに愕然とするが、体感的にはあっという間だった。今でも、はじめてこの国に来た時のことをはっきりと覚えている。

フィリピンでの語学留学を終えた僕が、マニラからLCCでハノイのノイバイ国際空港に降り立ったのは、4年前の5月だった。

深夜着の便で、日はとうに落ち、空港も無機質で薄暗かった。排他的な社会主義国の雰囲気を感じながら、VISAの申請と入国審査を済ませた。

外は5月の雨が降っていた。五月雨なんていう言葉はこの国にはないはずなのに、日本の梅雨を思い出して、少し感傷的になったのを覚えている。

翌日から旧市街のゲストハウスを予約していたので、この日は空港で夜を明かすことにした。

空港内には、24時間営業の店はなく(当時は)、なんだか不気味な空間に感じた。申し訳程度のクッション性があるベンチに寝転がり、これからのことを考えた。

友人が仕事を紹介してくれることにはなっていたけれど、別段ベトナムという国に興味はなく、1年ぐらい住んでから、フィリピンに戻るのも悪くないかなと考えていた。

そんな僕も、もうすぐハノイで4回目の春を迎える。僕は、駐在員ではなく、自分の意思でベトナムに来た。この国に生きる「一般的な」人々の生活を、だから、ある意味「ベトナム人本来の姿」を、この4年間で目に焼き付け、少しずつ、本当に少しずつ、この国と人々に愛着を持ち始めている。

良いこともあったし、悪いこともあった。良い人にも会ったし、悪い人にも会った。時にベトナム人のいい加減さに翻弄され、かと思うと、おせっかいと
もいえる優しさに感動する。

そのすべてが、「経験」として、生産的なものへと昇華するには物足りなくとも、この土地の人々と過ごした「4年間」は、何物にも代え難い。決して短くはないその年月を、今、愛おしく思う。






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