やって来た天使
我が家には訳あってウチの子になった2匹のイヌっこが居る。
2匹のうちの後からやってきた子がスミレ。「純玲」と書いてスミレ。
我が名付けた。
保護犬のスミレはいま4歳。
生まれながらの病気「アルビノ」である。
ワンコのアルビノの場合は目や耳に障害を持って生まれることが多いらしくスミレも生まれつき目が見えず耳も聞こえず。
けれども本人(犬)は生まれつきのことで自分にとっては当たり前の状況なのでそんなことは気にせず元気いっぱい。
あと、親バカの観点ではなく頭も良い。
スミレたちが保護されたのは多頭飼育で飼育放棄状態にあったブリーダーの施設から。
衛生・管理状況の酷い中に5〜60頭のワンコたちが居て、保護された当時のスミレは生まれて4ヶ月ほどだったそうだ。
聞いた話ではあるが血の近い同士の子どもで生まれることが多いらしいアルビノがブリーダーのところで生まれると、そのほとんどは飼育状況を疑われることを恐れ処分されてしまうらしい。
どこまでほんとのことかはわからないけど、インスタなんかで「アルビノ犬」と検索しても国内ではぜんぜん出てこないがワードを「albinodog」にすると海外で暮らすアルビノ犬が結構出てくる。
それがリアル。
せっかくここに来てくれたアルビノのスミレ。
この国の生き物の売買はちょっとおかしく見える。
もちろん真っ当なブリーダーさんもいると思う。
けれども「おかしい」「変だ」と感じることは言葉に出せない犬たちに代わって自分たちが声を出し続けなければと思っている。
僕はスミレを天使の使いかなにかじゃないかと思っている。
我が家に来た経緯も不思議だったんだ。
経営する喫茶店が開店からしばらく経って、まぁ週末はそれなりに忙しくさせてもらっていた。
ある日の日曜日。
「今日は日曜だし気合い入れていかなきゃなぁ」と意気込んでいたのに全然お客さんが来ない。
昼時のいい時間に店内のお客さんはゼロに。。
おかしいな?と思いつつ手持ち無沙汰でスマホを開く。
Twitterのタイムラインに流れ目に止まったのは店から然程遠くない場所で開かれていた「保護犬の譲渡会」の情報。
その頃はまだ嫁だった元嫁にそれを何気に見せた。
そもそもうちにはあのボーロが居る。
とても犬を増やしたいなんて気持ちはお互い全くなかったと思うが、ほんとになんとなく「行ってみる?」って流れになった。
準備中の貼り紙をドアに貼り譲渡会会場へ向かった。
付いた先の大きな倉庫には5〜60頭のワンコたち。
環境が悪く病気してる子から元気な子犬までいろいろいる。
正直お犬さまが大好きなので見渡す限り全部可愛く見えてしまう。
抱っこできそうな子をとりあえず抱いてまわっていた。
そんな中ひときわ異彩を放つ白い生き物が他の子たちに負けじと柵に掴まりアピールしてるのが横目に映っていた。
見る限り「何かしらの障害がある子なんだな」と思いつつ黒い老犬を抱きメロメロでいると元嫁が耳元でずっと何か囁いている。
「アノ…シロイイヌ…アノ…シロイ…イヌ…」
元嫁は昔から「白い生き物」が好きだったらしく白兎を飼っていたこともあったらしい。
あまりに呪文のように耳元で唱えてくるので「じゃあ…」って感じでその白い犬を抱かせてもらった。
僕が抱いて数秒でその子はいびきをかいて眠りだした。笑笑
そんなんされたらたまったもんじゃないよね。
すっかり魅了されている自分。
けどまぁ、うちにはボーロが居るし。
「気にはなる」という気持ちだけはスタッフさんたちに告げてその日は仕事に戻った。
それから数日、ずっと気にはなっていたがたくさんの優しい方達が会場には来ていたしあの子ももう保護先が決まったかな?と思っていた。
さらに数日経ってから、その保護犬たちのお世話を手伝っていた知人から連絡が来た。
「アルビィの保護先がまだ決まらない」と。
アルビィとは、保護先のスタッフたちから呼ばれていたニックネーム。
まだ行き先が決まっていないのなら、外に出るたびあらゆる動物に吠え散らかす我が家のボーロが同じ種族を家族として迎えられるのかどうかトライアルさせてもらおうか。という流れになりその子は我が家へやってきた。
見たことのない同種族の白い小さな生き物を前にボーロはしきりにヨダレを流し続けている。
スミレはと言えば案外呑気に家中を楽しそうに歩いている。
ボーロは興味はあるがこわい。といった印象。
寄ってくる謎の生き物にビビり逃げ惑う。
けれども喧嘩するでもなくイジメるでもなくなんとなくの距離感で2匹はいる。
「これなら大丈夫なんじゃないか?」と感じてそのまま我が家に迎えることを決めた。
驚いたのが、飼育放棄状態で目も耳も不自由で暮らしていた子なのにトイレをちゃんとトイレシーツの上でする。
きっと目と耳が不自由なのもどう飼ってあげていいかわからずそれまで保護が決まらなかったのかもしれない。
けれどもあの日、週末の営業日に何故かお客さんが来なくて譲渡会に足が向いたこと。
保護先がなかなか決まらずたまたまスタッフに知人がいて繋いでくれたこと。そしてこうして我が家にやってきたのはスミレ本人(犬)が選んでやってきたんじゃないかって思ってる。
そうそう、スミレはボーロを全く怖がらず果敢に犬遊びを仕掛けるのだが、飼い始めてすぐの頃に一度だけボーロがちょっかいをかけるスミレにビビり「バクっ!」とスミレの頭を咥えてしまったことがあった。
さすがにその時は焦り咄嗟にボーロを叱った。
幸い本気のガブりではなかったのでスミレは怪我を負わないで済んだ。
それ以来ボーロは自分のしたことが「やってはいけないこと」だと学習したらしく同じことは二度とやらなくなった。
そばに来るといまだに唸ってビビって逃げていくが。笑
なので決して仲良くはしてくれていないけど、2人(犬)は同じ屋根の下で暮らしてくれている。
さすがに目と耳が不自由な子を自宅で留守番させるのも心配だったので、うちに来てからは店に連れてきてスミレ用のスペースを作って看板娘として店長役を勤めてもらっていた。
スミレ目当てで色んなお客さんも会いに来てくれるようになった。
けれどもスミレは他の家族の匂いがないスペースに1人きりにされるのを嫌いストレスがかかっているように感じることが多くなったので、今はボーロと留守番させている。
自宅を「自分の家」としっかり認識しているようで家ではリラックスして過ごしているし、お店にいる時とは違い知らないお客さんが来ても「わたしの家よ」といった態度でソファを陣取っている。
スミレの頭の良さは普段の生活から見えてくる。
「目も耳もダメで通常の生活ができないのでは?」と思われることも多いけど、例えばちょっと前に引越しをした時も新しい空間に行くとスミレは先ず壁伝いに室内を歩きまわり「間取り」を確かめる。
わりとすぐに把握してスタスタ家の中を自由に行き来。
寝室で寝ていてトイレに行きたくなればリビングにあるトイレシーツに直行し用を済ませたらまた寝室に戻ってくる。
結構驚かれたりもするけど家中走り回ってるんだよね。笑
ただ、段差なんかはやはり危険なので今回引越した先もその辺の危険がないかなどが家探しの基準でもあった。
寝るものスミレが登り降りできる高さにして、ソファも低めのものにして。
我が家の天使は不自由に塞ぐことなく強く逞しく元気に愛らしく父を毎日魅了する。
この子のためにも父はもっと頑張らないとなという気持ちにさせてくれるので今日もまだ生きられている。
ボーロもスミレも、そばに来てくれてありがとう。
以上、我が家の女王兼天使のお話しでした◎
読んでくれてありがとう。
今日のnoteは有料だけど最後まで読めるようにしました。
「良かったな」「スミレに美味しいもの食べさせてあげて」「ボーロ頑張れよ」と感じていただき支援してくれる方だけご購入いただけたら嬉しいです。
父もスミレもそしてボーロも。
ではまた何かしらの次のnoteまでご機嫌よう◎
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