早い脳と遅い脳 3
人間は早い脳に大部分を頼って生きています。早い脳のおかげで何も考えずに出勤したり、凶悪そうな人を見かけたらトラブルを避けるために遠ざかったりします。
前回は早い脳の3つの問題点を指摘しましたが、もう一つ紹介します。
それは「プロスペクト理論」です。
まずは、以下の2つの質問に答えてください。
あなたはどちらを選びますか?
A: 確実に9万円もらえる
B: 90%の確率で10万円もらえる
さて問2目です。あなたはどちらを選びますか?
A: 確実に9万円を失う
B: 90%の確率で10万円を失う
どちらを選びましたか?
大抵の人は問1で、 Aの確実に9万円もらうことを選び、問2ではBの90%の確率で10万円を失うことを選びます。
しかし、あなたの遅い脳をじっくり使って合理的に考えるとこれはおかしな話です。
合理的に考えれば、堅実な性格の人は問1でも問2でも、Aの選択肢を選び、ギャンブラー気質の人は、どちらもBを選びます。
しかし、現実には確実性の高い損失を過大評価します。
人は得をする事よりも「損をする」ことを異常に恐れています。プロスペクト理論からは、一旦投資し始めてしまうと損切りが出来ないサンクコスト(埋没費用)などの効果を生み出します。
これらの経済行動学はマーケティングに頻繁に利用されます。
自分で選んだ品物、自分で選んだ行動、じつはかなりの確率で他人にコントロールされています。
陰謀論に導く手立てにも多々利用されますので注意が必要です。
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