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早い脳と遅い脳 2

基本的に動物は早い脳に頼って生きています。

「早い脳」は使うのに努力はいらない、無意識に使える。しかも早いので素早く物事に反応出来ます。

ただし、早い脳を有効に使うには熟練が必要となります。

「私へ経験豊富だから間違える事は少ない。」

これは本当でしょう。様々な経験をしていれば間違った判断は少なくなります。

しかし、早い脳は過去の経験通りに反応するので時に間違える事が多々あります。

このような過去の経験などによる「考え方の偏り」を「バイアス」と呼んでいます。

また、経験則を「ヒューリスティック」と呼んでいます。バイアスを引き起こす原因になる代表的なヒューリスティックを挙げます。

アンカリング

アンカリングとは、先行する何らかの数値(アンカー)によって後の数値の判断が歪められ、判断された数値がアンカーに近づく傾向のことをさす。係留と呼ばれることもある。

ものを売るときの最初に高額な価格を示せば、品物の価値に関わらず後で示された価格が安く感じるというのが代表例である。

日本語話者が「ピザ」と10回言わされた後に、肘を指差して「ここは?」と問われた際に「ひざ」と答えてしまう現象も、アンカリングである。

講義の聴衆に対し、彼らの社会保障番号の下2桁と同じ値段(ドル)で、ワインやチョコレートなど6種の品物を買うかどうかを質問した。その後、その品物に最大でいくら払えるかを質問したところ、社会保障番号の下2桁の数字が大きい人ほど、高い値段で買おうとする傾向が見られた。
全く関連性のない数字さえもアンカーとして働く。

利用可能性

利用可能性ヒューリスティック(availability-heuristic)とは、自分にとってその情報の引き出しやすさで、確率や程度を判断する思考プロセスのこと。

幼児虐待のニュースを見ると、実際には近年幼児虐待が減っているにも関わらず、最近幼児虐待が増えていると感じるのなどが代表例である。

自分にとって思い出しやすい事柄は、よく起きること。みんなもよく知っていること。
自分にとって馴染みがない事柄は、世の中でもあまり起きない。みんなもよく知らないこと。
と考えてしまう傾向。

代表性

「代表性ヒューリスティック」とは、代表的・典型的であると思われる事項の確率を過大評価しやすい意思決定プロセス。

有名なのは「リンダ問題」
リンダは31歳の独身で、はっきりものの言える非常に賢い女性である。彼女は大学時代に哲学を専攻していた。当時、彼女は差別や社会的公正の問題に関心があり、反核デモにも参加していた。現在のリンダの状況について、下のA、Bのうち確率が大きいのはどちらでしょうか?

A・・・リンダは現在銀行の窓口係をしている
B・・・リンダは現在銀行の窓口係をしていて、フェミニズムの活動に積極的である

Aが正しい答え。この問題では、Bの選択肢はAの選択肢の部分集合となっている。部分集合となっているというのは、銀行の窓口係をしている人の中に、銀行の窓口係をしていて、フェミニズムの活動に積極的な人がいるという事だ。
つまり、包含するものよりも包含されるものの方が確率が高くなることは決してない。つまり、Bの確率がAの確率よりも大きくなることはない。

以上のように経験や本能に頼って生きているとかなりの間違えを起こす可能性があります。

それどころか、企業や広告代理店はこの性質を利用してあなたの行動をコントロールしています。

企業や広告代理店ならまだしも政治の世界にもこの法則は使われています。

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