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bandshijinについて

ぼくは、あるバンドを主宰している。バンドとはいえ、舵取りはほぼぼく1人でやっている、ソロ名義のバンドなのだ。だから、ぼくがやりたいことを言い出さなければ、基本的にバンドは動かない。

一緒に演奏してくれるメンバーはいつも同じなので、ソロ名義のバンドとしては、メンバーの流動性は低い。だからなんだというわけでもないのだけれど、ときおりメンバーが出演の話を持ってくることもある。

練習のときは、ぼくが車でメンバーを迎えに行って、練習場所へ向かう。片道20〜30分の道のりを、何をしゃべるでもなく過ごす。今度の本番の話がやってきた経緯を話すこともあれば、最近聴いた音楽の話をすることもある。映画や漫画の話をすることもあれば、お互いの近況を語ることもある。そうでなければ、全員で黙って、カーラジオに耳を傾ける。

ぼくがいなくなったら、このバンドはなくなるだろう。ソロ名義のバンドなのだから、それが自然ななりゆきだ。むしろ独立して歩き出すほうが怖いくらいだ。いや、その場合はただぼくがいないというだけであり、メンバー同士の関係性がぼくのソロバンドでのつながり抜きに築かれている証左であり、喜ばしい事態といっていい。そのとき、ぼくがそのことを知って、喜べる範囲にいるかどうかはわからないけれど。

動力機関を持った大きな船と違って、ぼくのバンドは2〜3人規模のいかだみたいなものだ。進むのも退くのも人力である。ただ浮いているだけの時間が長いから、いつも岸の近くにいる。すぐに乗り降りができるからだ。遠洋に出るには、この形では心許ない。いかだのオーナーである僕が、地元や近所に目を向けている時間がほとんどだから、今のところそれで十分なのだろう。そのうち遠くへも行ってみたいとは思う。ただ、そのときもきっと、最低限の小さな船だろう。

お読みいただき、ありがとうございました。


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