『ネトウヨ化する日本:暴走する共感とネット時代の「新中間大衆」』村上裕一著、KADOKAWA、2014

感想

序章 暴走するネット社会とセカイ系決断主義

ネトウヨ現象

この筆者の見立ては、いわゆる一般的なネトウヨ理解とは少し離れたものです。というのも、ネトウヨといえば過激で攻撃的な言説をものしがちだということで存在感を示している場合が多いので、むしろ凝り固まったイデオローグだと考えたほうが自然だからです。しかしながら、筆者が問題にしたいのは、その過激で感情的なアジテーションが働きかける潜在的参加者たちのほうです。筆者が新しく定義したいのはこの層で、それをネトウヨ予備軍として考えたいと思っています。しかし、いったいそれは誰なのか。ネットを使っているという点を重視すれば、まさにあらゆる日本人が潜在的ネトウヨだということになります。そして、筆者はそのような推論を必ずしも排除しません。

p.  19

空気から水、そして雲へ

雲は英語ではクラウドと呼ばれますが、このクラウドという言葉は、群衆を示すクラウドという言葉と重なり、現代のインターネット環境を象徴する言葉として流通していることは周知の通りです。

p. 31

いや、crowdとclowdを混合するのはlとrの区別がつかない人だけなんじゃ…


クラウドにはかような両義的とも多義的とも言えるニュアンスがありますが、炎上的に大きな力を発揮するその日本的様子には、ほとんど「ネトウヨ」現象とニアイコールと言える現状があります。今回筆者がフロートという言葉を作ったことには、その前段階とも言えるような人間像を示したかったという狙いがあります。そのような視点を持つことが、クラウド下における人間について考えることに資するということを、確信しています。

p. 32

こういう「炎上」的なことは「日本的」なのだろうか? 少なくとも「バブル」による分断、ネトウヨみたいな現象は先進国共通だと思うのだが…


第1章 ネトウヨとは誰なのか

第2章 ネット上の「共感」はいかにつくられるのか

ポエムが長い…

第3章 ネトウヨとオタクの政治的親和性

まとめサイトバイアス

ところが「ハム速を守ろう!」などとツイッターで発言してしまった国会議員がいます。自民党の片山さつきです。このような態度からは、普段からネトウヨ色が強いハム速を片山さつきがソースにしている可能性が高いと思わずにはいられません。実際、片山は国会議員でありながらネットのデマに踊らされている節があり、しばしば問題視されています。

p. 184

勘弁してくれよ…


第4章 ネトウヨの精神的起源としてのロマン主義

日本浪曼派の問題

ロマン主義とは、一八世紀ヨーロッパにおける、貴族的、抑圧的社会への文化的抵抗運動として始まったものです。そこでは教条主義・古典主義への抵抗として、自由・実存・神秘などといったテーマの表現が生まれました。その画期はフランスのジャン=ジャック・ルソーの「新エロイーズ」「告白録」などに求められるとされています。

pp. 220-221

ドイツに受容されたロマン主義としてのドイツ・ロマン派がナチス的な思潮へ繋がっていったことは有名ですが、なぜ個人の自由を謳った運動が全体主義へと至ったのか、ということに疑問を持つ人がいるかもしれません。これは、ドイツ・ロマン派にも初期ロマン派と後期ロマン派の区別があるという事情から説明できます。初期ロマン派は自由や自然との調和を追究しましたが、ナポレオンの登場によりヨーロッパの情勢は一転し、外圧に対する抵抗として愛国的な気運が高まる中でロマン主義も変容しました。全体として「無限なるものへの憧れ」を一つの耽美的なモチーフとしながらも、初期ロマン派が啓蒙的理性に基いて理論化されていたのに対し、後期ロマン派は啓蒙的理性に反発し民謡や口承童話にそのルーツを求める中で伝統回帰していきました。

p. 221


第5章 コンテンツに現れた共感的共同体の可能性





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