露天風呂付き客室の価値低下とその再価値化の戦略
露天風呂付き客室の価値が下がる理由
2024年春を境に、露天風呂付き客室の価値に大きな変化が見られるようになりました。かつて、露天風呂付き客室は高級旅館の象徴であり、1泊4~5万円が相場でした。私自身も旅館を経営していた時、露天風呂付き客室を作れば売上が確実に増えると思い憧れていました。(資金繰りが難しく完成には至りませんでした)
しかし、今やその価値は低下しつつあります。たとえば、伊東園ホテルズでは、1泊2食付き9,800円(税込10,780円)で露天風呂付き客室に泊まれるプランが提供されています【リンク参照】。伊東園ホテルズは低価格戦略で知られていますが、この価格破壊が象徴するように、露天風呂付き客室の高級感は徐々に薄れているのです。
https://www.itoenhotel.com/feature/rotentuki/
露天風呂付き客室の価値の崩壊
そもそも露天風呂付き客室が人気を博したのは、その希少性によるものでした。限られた宿泊施設にしかなく、その特別感から高額な料金でも予約が殺到したのです。しかし、最近は宿泊施設の増加や、国の高付加価値化補助金の影響で、多くの旅館が露天風呂付き客室を導入しています。
結果として、露天風呂付き客室の希少性が大幅に低下し、その価格も崩れ始めています。高価格で提供することが難しくなり、特に平日の稼働率が落ち込んでいます。今後、返済に苦しむ宿も増加し、さらに価格競争に巻き込まれることが予想されます。
露天風呂付き客室の再価値化戦略
では、露天風呂付き客室の価値をどのように再構築すればいいのでしょうか?以下にいくつかの施策を提案します。
1. バトラーサービスの導入
バトラー(Butler)とは、宿泊者の個別のニーズに応える専任スタッフのことです。ホテルバトラーは、チェックインからチェックアウトまでのあらゆるサポートを担当し、高級感とパーソナライズされた体験を提供します。特に人材不足が叫ばれる現在の宿泊業界では、顔見知りのバトラーが特別な宿泊体験を提供することで、高単価の顧客層を取り込みやすくなります。
バトラーサービスを提供する宿は、希少価値を持つ存在となり、単なる施設の良さだけでなく「人」を武器に差別化を図ることができるでしょう。
2. 複数の浴槽設置
従来の露天風呂付き客室には1つの浴槽が設置されていますが、これを複数化することで、利用者に多様な入浴体験を提供できます。例えば、温泉、檜風呂、岩風呂など趣向の異なる浴槽を3つ設置することで、1室で様々な入浴を楽しむことができます。
初期投資は300~400万円ほどかかりますが、新たな体験を提供することで、価格競争に巻き込まれずに稼働率を上げることができるでしょう。
3. 新しい滞在体験の提供
露天風呂付き客室だけでなく、全体的な宿泊体験を再構築することも重要です。例えば、専用のダイニングルームやプライベートガーデンを併設することで、宿泊そのものが特別な体験となる空間を提供します。客室そのものだけではなく、周辺環境を含めて価値を高めることが、今後の成功のカギとなるでしょう。
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ここでは一部のアイデアしかお伝えしていませんが、さらに実践的な再価値化の施策については、有料版で詳細に解説しています。
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