REUSE〜不要な夫買い取ります〜【第二話】マザコン男①
都内某所
東京ドームが近くに見えるタワーマンションで、とある2人の夫婦と1人の男の子が住んでいた。
夫、混村権太(まざむらこんた)42歳
妻、混村香(まざむらかおる)38歳
息子、混村漠(まざむらばく)11歳
漠『母ちゃん!今度の誕生日に新しいグローブ買ってよ!』
香『また、新しいのほしいの?今ので充分使えるでしょ』
漠『いやだ!今度の大会で新しいグローブで出るって決めてるんだ!』
漠は、リトルリーグに所属する野球少年である。
すぐに形から入る漠に香はいつもあきれていた。
香『モノを大切に使えるまでつかいなさい。あなたはすぐどうせ飽きるんだから』
漠『じゃあ、今度の学力テストで1つでも満点とれたら買ってよ』
香『できましない約束はするものじゃありません』
漠は残念ながらそこまで勉強ができるわけでもなく、野球のセンスがあるほうでもない
しかし、道具などはすぐに新しいのを揃えたがる、そう形から入るタイプなのである
香『じゃあ、今度の大会でチームが優勝して、テストでもどれか満点とったら買ってあげる』
漠『やったぁ!!』
満面の笑みで、漠は庭へ行き素振りを始めた。
うん、センスはない。
権太『朝から何騒いでるんだ、こっちは2連勤で疲れてるんだから寝かせてくれよ』
権太は、移動機『ネグソブスパンツ』の中古販売店『クッビダーモー』で係長をしている。
そう、あ〜なたのあるじは〜くっびだ〜も〜ん🎶のCMで、おなじみのクッビダーモーである。
おっと、この2024年を生きてるあなた達に大事なことを伝えるのを忘れてた
この時代では以前移動手段として使われていた自動車はなくなり、移動型の機械が普及している(バ◯キンマンが乗ってるものをイメージして頂くと良い)
2050年にはガソリン車が完全になくなり、2100年にはタイヤがなくなり、宙に浮くようになった。
そして、週休2日制も見直され、週休5日がデフォルトになった。
ホワイト企業もいいとこである。
権太はこの『クッビダーモー』で20年働いているが、昨今のクッビダーモーの不正により、売上が減少し、退職者が増え、将来の不安からイライラしていた。
権太『今日は1日寝ると決めているんだ。明日は、バーベキュー、明後日は飲み会、その次はゴルフ、その次は家族サービスしてやるから今日は寝かせてくれ』
週休5日ともなると休みが充実している
しかも家族サービスといってもせいぜいショッピングモールのウオンまで移動機で乗せてくれるだけ
香は、そんな夫権太に少しあきれている
そんな中、香に着信があった
『孫の顔が見たくなって少し寄らせてもらえる?』
この声は、、、
香はそう聞いた後、深くため息をついた
そう、権太の母である
なんせ、権太の母とは折り合いが悪く、会うといつもトライアスロンしてきたのではないかというくらい疲れ果てる
香『今日お義母さんくるって』
権太『部屋片付けとけよ』
香『まったく、もう』
こちら家事育児こなしているのにも関わらず、権太はソファで寝そべりながらスマホゲームのパズル&ファルコンをしている
なぜ、この人と結婚してしまったのか、
ため息は深くなるばかりである。
そんな時扉の向こうで地獄の合図が鳴った
そう、権太の母『混村土司子(どしこ)』の登場である。
土司子『ごめんなさいねぇ、おやすみに。ほら、漠ちゃんお土産のホーゲンハッズよ』
漠『俺、ボディーレーデンのが好きなのに』
香『贅沢いうな!そういうときはちゃんとありがとうって言うの!』
土司子は笑いながら手土産を冷蔵庫に入れた
香『(勝手に冷蔵庫あけてるし...)』
土司子『そんなことより香さん、あなたに話があるの』
香『何ですか改まって』
その後土司子の言葉に香は衝撃を受ける
土司子『あなた、不倫してるでしょ』
パート②へ続く
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