学校の中の評価って何だろう
学校に通った人なら、必ず受けてきた評価、例えば、通知表や、テストの点数、内申点など、色々な点数をつけられてきました。
評価とはなんかしらの価値を定めることです。
例えば英語の点数が高いということは、英語の理解度が高いと評価されるということです。
しかし、先生が自分の好き嫌いで適当に評価を決めてしまったら、評価の価値や学校の価値もなくなってしまいますし、子どもにとって良いとも言えないでしょう。
こうした教育における評価はどのようなものが妥当なのかを研究する分野を教育評価論と言います。
今回は教育における評価について詳しく見ていきましょう。
評価は誰のために?
さて、評価は誰のためにするのでしょうか?
子どものためにするのでしょうか?
もちろん最終的には、子どもためにしていると言えますが、複数の目的をもつ評価もあります。
①学習者(子どもため)
学習者(子ども)に、学習の到達程度の情報を与えることを目的とする場合
これはテストにしても、内申点にしても、あなたはこれが、ここまで理解できていますよ、と伝える目的があります。
確かにこれが一番大きな目的となるでしょう。
②先生のため
先生が指導のための資料を得ることを目的とする場合
例えば、同じテストを行ったのに、クラスごとの平均点で大きく差がある場合、低かった方の先生の教え方では、理解度が低かったと考えられるでしょう。
もしかしたら、もう少し理解を深めるために基礎的な部分をゆっくりやるなど、テストの結果などから導き出せるでしょう。
小テストといった、授業途中の理解度を図るテストもありますが、あれはまさに今どこまで理解できているか先生側も把握したいという目的があるでしょう
③管理目的や研究目的
(1)教育行政のための資料としての評価
学力テストなど、文科省や教育委員会が参考にする評価のことです。
(2)学校の管理・運営の資料としての評価
学校運営評価などにつかわれる、いわゆる進学実績や、学力テストの順位などです。
(3)保護者の参考にするための評価
(4)子どもの処遇決定のための評価(資格認定、振り分け、選抜)
いわゆる受験や、クラス分けなどがこれにあたります。
(5)カリキュラム改善のための評価
あまりないですが、カリキュラム全体の評価としてテストをする場合です。
基本的に子どもか先生のために評価というのは行われますが、広い意味の評価では、受験や全国学力テストなども評価に入ると言えるでしょう。
それでは評価の方法はどうでしょうか?
どのような評価方法があるのでしょうか?
相対評価
評価は大きく分けて、相対評価、絶対評価、個人内評価の3つあります。
相対評価というのは例えば、テストの点数で1〜5までの5段階評価をするとして、あらかじめ1〜5の人数は決まっている評価方法です。
図にするとこうなります。
9人のクラスがあるとしたら極端な話、96点でも1になる可能性があります。
その場合の割り振りはこのようになります
5 100点 1人
4 99点 2人
3 98点 3人
2 97点 2人
1 96点 1人
となります。
全員同じ点数だった場合、おそらく平常点なりで差をつけていくのでしょう。
つまり、全員が100点でも1になる人がでる、評価方法になります。
こう聞くとかわいそうな気がしますが、逆なパターンもあります。
5 100点
4 98点 11点
3 9点 8点 6点
2 5点 1点
1 0点
11点と98点が同じ4という摩訶不思議なことが起こりましたが、これが相対評価の考え方になります。
相対評価のメリット
競争を煽らせる評価方法
企業などで採用されることの多い評価方法で、5になれる人数が決まっているため、競争を煽りやすく、3つの中では最も競争を煽るやり方と言えます。
競争力のが高いので、テストに対するモチベーションが上がります。学習効果を期待することもできますが、テスト対策に終始してしまい、覚えるという意味では効果があるかもしれません。
相対評価のデメリット
子どもの学力保障という考え方と相性が悪いです。またどんな学力がついたのか測ることができません。
本人がどれだけできるようになったのかを測ることが難しいです。
学習内容の理解ができたどうかが測ることができません。
相対評価はかつては採用されていましたが、現在ではデメリットも多く、学校では採用されていません。一定の競争を煽りたい企業などで採用されているようです。
絶対評価(到達度評価)
教育目標にどこまで到達できたが評価する方法です。
絶対評価には認定評価と到達度評価の2種類あります,
認定評価 教師が公開していない基準で判断する評価のこと、例えば一定のスペシャリスト、書道をあげると、何をもって良いとするかが書道の場合言葉で説明することが難しいです。数値化できないと言ってもいいでしょう。しかし、見る人が見ればわかるというように、やはり、高度に感覚的な良さというものがあります。そうした場合の先生からの評価だと言えます。
認定評価は学校で使うには、不明瞭なため教師不信の原因にもなりかねないです、そのため、学校で認定評価のみが使われることは現在なく、到達度評価と組み合わせて使われることが多いです。
到達度評価
到達度評価の中でもいくつか種類はありますが、基本的に最近の学校で採用されているものはこの評価方法になります。
学習者の到達度に合わせて評価をするという方法です。
よくある例ですが、逆上がりを例にしましょう。
到達度5 逆上がりができる
到達度4 何もなしでもたまにできるが、少しの補助が必要
到達度3 補助台を使ってならできる
到達度2 人の補助ありでならできる
到達度1 逆上がりができない
このように、できない状態から、できる状態までの間のステップを何段階かにわけて、どこまでできているかを評価するものです。
この考え方ですと、テストの点数が全員100点なら全員到達できたとみなして全員5でも問題ありません。
全員の理解度が高ければこのように4と5だけに分布することもあり得ます。
どこまでできたか、ということが測れるという意味では到達度評価が学校と相性の良い評価だと言えます。
到達度評価のメリット
評価基準が明確に出されています。
どこまでできたのかが、測れるので学力保障になります。
全員が5になることを目指されるので、過度な競争になることは少ないです。
到達度評価のデメリット
到達度を分析しないといえないため評価者の負担が大きい。
思考、判断、表現など難しい目標の評価がしにくい。
評価者の技量によって差が出る。
個人内評価
子ども、1人1人個人で評価する方法です。
自分自身の中で評価をする方法になります。
例えば前回の成績と今回の成績の比較のように
前回の点数が10点でも今回が20点ならば、少なくとも本人の成長が見受けられるという評価になります。
100点までの到達度評価ならば10点でも20点でも1になる、低い評価になりますが、個人内評価であれば、本人で比較するので、より個人にあった評価ができると言えます。
せっかく10点から20点にあげたというのに、同じ1ではモチベーションもなくなってしまいます。
そういう意味では個人内評価は意味があると言えるでしょう。
現在では統一した評価が難しい、特別支援学校などで採用されていることが多い評価方法になります。
まとめ
学校の中の評価は、どのような評価をするかによって、教育がどうなるかが変わるほどの影響力を持ちます。
より競争力を高め、落ちこぼれをたくさん生む相対評価をするのか、バランスよく到達度評価をしていくのか、先生は大変だが、より個人にあった個人内評価をするのかによって、大きく変わっていきます。
今後の評価はどのようになっていくのでしょうか。