旅する日本語「礼遇」。いや、それ「冷遇」や。
私がシステム・エンジニアの卵だったころ、すなわち入社一年目の秋。
本社システム課の新人を営業研修させたい、と、企画があがったが、
どこの営業も、冗談じゃないそんな手間暇あるかこちとら忙しいんでぃ!と、けんもほろろに断られる中、
しゃーない、ほんじゃ、うちとこがひきうけまひょ
と、言ってくれたのが、大阪の中型コンピューター営業部だった。
男性二人女性三人がお世話になった。
最初の挨拶で、
「私たち内勤の者の給料は、皆様のおかげでいただいております。」
と、男性その一が言った。
目からうろこ。
考えてもみなかった!我々は何も稼がない部署であることを!
そのあとは、みんな、「ありがとうございます。」とまねしたんだけれども、心がけの違いは如実に表れる。
男性その一は、社内システムのおよその構造を説明できるので、
営業さんたちが、「行こか」と、取引先に連れて行ってプレゼンテーションさせた。
残り四人は役立たず。なーんも知らん。下手すると取引先で居眠りする。
私も、能力がないので暇だった。
「ワープロ~ワープロの仕事おまへんか~」
仕方がないから、書類整理ばっかやってた。
「普段眠そうなのに、ワープロは目が覚めたように早いなぁ」と、
ワープロの仕事だけは、もらえた。
残り三人は、部署で遊んでいるか寝ているか…
一か月半!
実に一か月半お世話になったんだ。
東京に帰ってきて数か月後、
その部署から出張で東京に来る人がいて、
これは「礼遇」せねば。
ザギンのバーに予約して、飲みに行ったのは、
男性その一と私。だけ。
節子、それ「礼遇」じゃない「冷遇」や。
ひでぇ奴らだと思った。実際。
まぁ、出張の方と三人で飲んで、お帰りいただいたのだが。
三年後の12月に私は、自己都合で退職した。(本当は入院した)
したら、1月で、私がいた部署、解体したんだと!
男性その二は、リストラ。
女性二人は、消息知らんなぁ。
気になっていたのは男性その一。私も色々教えてもらってたもんな。
大阪の、あの研修先の営業としてひっぱられ、異動したと!
能力も違うが心がけも違う。
見る人は見ている。
そんな話。
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