見出し画像

舌を動かすと首の痛みが軽減するメカニズム—臨床での活用法

1. はじめに


「首が痛い」と訴える患者の中には、一般的な頸部の筋緊張や姿勢の問題だけではなく、舌の動きが関与しているケースがあります。舌骨筋群の影響を考慮することで、新たなアプローチが可能になります。本記事では、舌の動きと頸部の関係について解説し、臨床での活用法を提案します。

2. 舌骨筋と頸部の関係


舌骨筋は、舌骨を介して頸部と密接に関係しています。特に以下の二つのグループが重要です。

  • 舌骨上筋群(顎二腹筋、茎突舌骨筋、顎舌骨筋、オトガイ舌骨筋)

  • 舌骨下筋群(胸骨舌骨筋、肩甲舌骨筋、甲状舌骨筋、胸骨甲状筋)

これらの筋は、嚥下や発声時に働くほか、頸椎の安定性にも寄与します。舌骨の位置が変化すると、頸部の筋活動にも影響を及ぼし、首の痛みの原因となることがあります。

3. なぜ舌の動きが首の痛みに影響するのか?


舌を動かすと、舌骨の位置が変化し、それに伴い舌骨筋の緊張が変わります。この変化が頸部の筋群、特に胸鎖乳突筋、斜角筋、長頸筋に影響を与え、以下のような効果を生みます。

  • 頸椎の動きがスムーズになる

  • 過緊張状態にある筋が緩み、痛みが軽減する

  • スマホ首やストレートネックによる負担が減る

特に口呼吸が習慣化している人では、舌骨筋の過緊張が見られ、頸部のこりや痛みが慢性化しやすくなります。

4. 臨床での評価方法


臨床において、以下の評価方法を試すことで、舌骨筋が頸部痛に関与しているか確認できます。
舌骨の可動性チェック

  • 舌を前後、左右に動かした際の舌骨の動きを評価

  • 動きが制限されている場合、舌骨筋の過緊張が疑われる

舌を動かした際の頸部可動域テスト

  • 頸部の回旋や側屈時に舌の動きを組み合わせ、可動域の変化を確認

  • 舌を上あごにつけた状態での頸部可動域と比較

痛みの変化の確認

  • 頸部の痛みを感じる動作を行いながら、舌の位置を変える

  • 痛みが軽減する場合、舌骨筋が関与している可能性が高い

5. 臨床応用:舌の動きを活用した頸部痛アプローチ


頸部痛に対する舌の動きを利用したエクササイズを紹介します。
💡 舌骨筋リリース法

  1. 舌を上あごにつけ、深呼吸しながら3秒キープ

  2. 舌を左右に動かしながら、頸部の回旋を行う

  3. 舌を突き出すように動かしながら、ゆっくり頸部を前後に動かす

💡 舌と頸椎の連動トレーニング

  1. 舌を上あごに押し付けながら、軽く顎を引く

  2. そのまま首を左右に回旋し、痛みや可動域の変化を確認

  3. 1日3セット行い、舌骨筋の柔軟性を高める

6. まとめ


舌の動きと頸部の関係を理解し、舌骨筋へのアプローチを取り入れることで、頸部痛の治療に新たな視点を加えることができます。特にストレートネックやデスクワークによる慢性痛を訴える患者には、舌骨の可動性を評価し、適切なエクササイズを指導することが有効です。
ポイント整理

  • 舌骨筋の緊張が頸部痛に影響を与える

  • 舌の動きを利用すると頸部の可動域や痛みが改善することがある

  • 臨床では舌骨の可動性を評価し、簡単なエクササイズを指導

この視点を取り入れることで、より幅広い頸部痛の改善アプローチが可能になります。ぜひ、臨床で活用してみてください!


いいなと思ったら応援しよう!

うしくぼはやと/正しい身体の使い方を教える人
いただいたチップは後進育成のために使用していくのと、勉強会の資料を作成するのに役立てていきたいです。全ては人のため。

この記事が参加している募集