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加熱式タバコを買った話

昨日の大雨の日、いつもと同じように9時過ぎに目を覚まして、顔を洗っておにぎりとコーヒーを飲んでまた寝ようかとしていたのが10時ごろだったかな。
二ヶ月間吸わずにやめられていたタバコを無性に吸いたくなって、でも禁煙を続けられていたのに今吸ってしまうと勿体無いなという考え方もあるし実際そうだったのだけど、やはり吸おうと考えてしまうのが自分だった。
髪の毛が幾何学的形状をしていたので、お気に入りのキャップをかぶって、でも寝巻きのまま3人は入れそうな傘をさしてコンビニに出かけた。
僕の家からコンビニまでは歩いて5分ほどの距離があり、サンダルで出かけていたので足に泥と雨水がついて少し不快な気持ちになったのだけど、元々多少臭い足なのでにおいがとれて良いかと思うことにした。

タバコを買うのは二ヶ月ぶりで少し緊張しながら、何を買おうかじっくり午後の紅茶レモンティーを持ちながら眺めて考えていた。
もっとも元々吸っていたラッキーストライクで心はほとんど決まっていたのだけど、やはり自分の健康のことを考えて禁煙してと言ってくれた彼女のことがどうしても頭にちらついていた。

彼女に関して言えば喫煙はせずまた朝から働きしっかりと貯金をし賭博もしない、非常に素晴らしい人間性を持っておりそんな彼女が僕の事を気にかけて禁煙をするように言ってきた事は不快ではなくまた真剣に受け止めていた。
なぜかは知らないけれど僕のことを好いてくれているので、裏切るような事は僕としても本来本望ではなかったけども、本能が吸いたいと言うのならこれは仕方ないと思うことにした。

ただ折衷案というものを僕は非常に好むので、大好きだったラッキーストライクは買わずに、匂いがほとんどしないというプルームテックウィズという加熱式タバコを買うことにした。
店員さんに手に持っていたレモンティーを渡して、勇気を出して『プルームテックウィズをください』と言ったのだけど今の店員さんは真っ先に『袋要りますか?』と聞くようで僕の声はその流行りの台詞と打ち消しあって『あ、すみません』という言葉がお互いの口をついていた。
こんな形式的なやり取りを済ませた所で、ついに『プルームテックウィズを下さい』と言うと、そのマダムは一瞬の間を置いて慌てたようにしてカウンターの戸棚を探し回り始めた。
タバコに詳しくないのだと思い申し訳なくなって無ければ大丈夫ですよと言おうとしたのだけど、やはりここはマダムを信頼して待つことに決めた。
幸いお店は混んでいなかったので3人のマダムが捜索にあたってくれた。
ついに『ありました!』とマダムの1人が声を上げて持ってきてくれたので僕は嬉しくなって『ありがとうございます』と満面の笑みでその労力に感謝を告げた。
そしてその本体とタバコのカートリッジとレモンティーを買って、袋はいらなかったので手に持ってコンビニを出た。

家に着いてまずその濡れた足を嗅いで、臭くない事を確認できて非常に気分が良くなった僕は鼻歌を歌いながら手を洗ってうがいをした。
足は洗わなかった。

レモンティーを飲みながら箱の封を開けていたのだけど気になった事があった。
プルームテックエスって書いてある。
まあいいかと思い充電をしながらカートリッジを入れようとしたのだがそちらにはプルームテックプラスと書いてあった。

吸えない事を確認した僕はタバコを吸う事を諦めた。
結果的に禁煙を続けられているのでマダムには感謝しているし、彼女を裏切らずに済んだ事は非常に僕の人間性を高めたと思う。

-4530円

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