40年前の教え子より「あなたに育ててもらって本当によかった。」
記事にぴったりなイラストがありました。
作家の田村ちこりさん
素敵なイラストを提供してくださり、ありがとうございます。
近所に住むTさん(60代女性)の話。
花が好きで、Tさんのお庭は花でいっぱい。
Tさんは昨年まで保育士をされていました。
何を隠そうTさんは私が保育園児だった頃の担任だった方。
なので、もう40年近くのお付き合い。
現在は一人暮らしなので、様子見がてら、時々お家にお邪魔しています。
真夏のある日
防空頭巾(笑)をかぶり、長袖長ズボン。
完全防備で花に水をやっていた。
訪問したのは、午前中でしたけど、朝からすでに気温が上がっていました。
決して狭くはない庭。
彼女の話では、30分かけて水やりをするとのこと。
熱中症が心配。
よかれと思って声をかけました。
私「代わりにやろうか? こんなに暑かったら、危険だわ。」
Tさん「ありがとう。でも私がやる。これしないと落ち着かないんよ。」
水やりをしながら、私に花を紹介してくれました。
「この子、可愛らしいでしょ?」
「この子はね、一度しおれかけたんだけど、持ち直したんよ。」
花を「この子」と呼ぶTさん。
Tさんにとって花は可愛い子どものような存在なんでしょうね。
ホースで水やりをしているんですけど、水圧は緩やか。
時間をかけてゆっくりじっくりと水をやっていく。
水やりをしている時のTさんの表情はなんとも言い表せないほど穏やか。
(私ならやっつけ仕事として適当に水やりをしてしまうので、私にホースを渡さなかったTさんの判断は賢明でした笑)
きっと子どもにも同じように、大事に大事に愛情を注がれていたんだろうな。
それが容易に想像できました。
私の幼き日、この人に育ててもらったんだなと思うと、とても幸せな気持ちになるんです。
私にとって初めての先生がTさん。
なんて運がよいのだろう。私は恵まれてる。
Tさんが花に水をやる姿を見るたびにそう思えます。
Tさん、今年も、これからも、大きな教え子をよろしくお願いします。