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走走停停  ネタバレ感想

2024年10月24日(木)

2024東京・中国映画週間
の上映作品である、
走走停停
観てきました。

監督:龙飞(ロン・フェイ)
脚本:黄佳(ホアン・ジア)
吴迪(ウーディ):胡歌(フー・ゴー)
冯柳柳(フェン・リィウリィウ):高圆圆(ガオ・ユアンユアン)
江美玲(ジァン・メイリン)・吴迪母:岳红(ユエ・ホン)
吴明(ウー・ミン)・吴迪父:周野芒(チョウ・イエマン)
吴双(ウー・シュアン)・吴迪妹:金靖(ジン・ジン)
上映時間:103分
※役名は発音を元にカタカナ表記したので、映画のものと違ったらすみません。

監督:龙飞(ロン・フェイ) 1981年生まれ。重慶大学英語科卒。
香港浸会大学大学院 テレビ・デジタルメディア学科卒。
代表作に≪睡沙发的人≫(ソファーで眠る人)。

脚本:黄佳(ホアン・ジア)詳しい経歴はネットで分からず。
ただ、監督とは≪睡沙发的人≫(ソファーで眠る人)ですでにタッグを組んでいる。

走走停停は≪睡沙发的人≫と呼応しているそう。
これは≪睡沙发的人≫も観たくなる。

注:感想は役名を漢字表記にします。

前半は喜劇要素全開で、
吴迪の置かれた現実と環境、
それを取り巻く家族、
高校の同級生である冯柳柳との再会から起こる更なる喜劇とドタバタ
を中心に進んで行く。
中国の一般家庭を取り巻く現実、
父と母の息子・娘への思い。
息子の思い、娘の考え方、そして現実。

柳柳のドキュメンタリー撮影対象が吴迪になったことで、
劇中劇の様な状態が進み、そこでも笑いを誘うシーンが沢山。
母の吴迪へ、へ、への思い。
無口な父の家族への思い。
脚本家が女性の為か、所々母から語られる、女性の諦めの様な、達観したようなセリフが入るのも印象的でした。
悲喜こもごもが笑いとなって、厳しい現実を笑い飛ばしてくれるかのよう。
希望が持てそうな・・・


ところが後半、吴迪の家に悲劇が襲う。
母の事だけでも衝撃的だったのに、放送されたドキュメンタリーも酷かった。
柳柳の上司あいつ、本当に許せない。
切り取りと偽りの編集で吴迪が頭のおかしい変な人物になってる。しかも賞獲ってるし。これ、何かの揶揄か皮肉じゃない?
ドキュメンタリー中のナレーションが仰々しい中国のナレーションあるある。
母の死後、マッサージチェアに座る吴迪。このシーンは本当に泣けた。
あとは、母と台所で会話するシーンの回想。
母は何だかんだ言いながら、吴迪を家族を信じて、愛してる。
それがアイスキャンディーを作ると言う行為からも垣間見えて、泣きました。

柳柳がずっと吴迪に謝らなかったのが気になります。
とつぜん北京に行くって・・・。会社と上司に失望したのは分かるけど、
結果的に吴家を振り回してしまったのは事実だから・・・。
柳柳の責任では無いんですが、私は一言謝って欲しかったです。


父の母への愛は意外と深かった。
ただの嫉妬ではなく、妻の事を彼なりに愛していて、大切に思っていたんだと思いました。
吴迪が撮影した妻の映像を観てるシーン、
「母さんは中途半端が一番嫌いなんだ」
と言って、必要なシーンを追加で撮影したところ。
あの、アイスキャンディーを作る母の後ろ姿。
カットの声が掛かってもなかなか手を止めない後ろ姿。
泣きました。

3年後、父も亡くなって墓参りの帰り。
タクシー運転手となった吴迪
はジムを友人と開業するために、深圳へ引っ越すと言う。
客を乗せて走る吴迪
隣の車線には北京に行ったはずの柳柳が乗る車。
元夫なのか、運転は男性。子供も一緒のよう。
お互いに気が付いているけれど、挨拶も会釈もしない。
高校卒業後、夢を追いつつ北京で暮らした吴迪
一方、故郷に留まり職を得て一度は結婚し、子供もいる柳柳
吴迪の生活に興味を持った柳柳は被写体として彼を選び、
彼を通じて何かを確かめたかったのか・・・?
一時的に交わった彼らの人生も、またそれぞれの道を進んで行くことになる。
2人に恋愛感情があったのか、同志的な感情なのか、同世代の感傷なのか、
ちょっと分かり兼ねるところです。
私的には吴迪柳柳に少し気があったように感じました。
でも、柳柳にとって吴迪は単なる「昔の面白い変わった同級生」で、
それよりも彼と彼の家族に思い入れがあった気がします。
自分のせい、または会社の上司のせいで吴迪自身との彼の家がめちゃめちゃになってしまったことに罪悪感を抱いてるだけのような・・・。

エンディングで、吴迪柳柳から動画を受信します。
肝心なところが抜けていて、続きは自分の中で想像してください、
と言う感じでしょうか?知りたかった!(笑

お墓参りの時に、吴迪の作品を映画祭に出品しておいた、
と言っていましたが、ここで伏線回収。
最優秀新人賞は江美玲
吴迪はその後、どうなったのでしょう・・・
余韻のある終わり方でした。

注:以下興味ある人のみどうぞ。

1.世代の話

これが現在進行形の話(2024年)だとして、吴迪が40前と言う設定なので(私の記憶違いでなければ)、
吴迪は1984年生まれくらいの設定。
ほぼ胡歌と同世代。

昔、日本では80年代生まれ(80后)はプリン世代と報道していた気がするけれど、今はその呼称が見当たらない^^;
中国国内での評価は、傑出した人物も沢山排出しており、地震の時にはボランティア活動を積極的に行うなど評価も高い。
反面、精神的に脆く、自活力が弱く、自己評価が高い。個性の確立を理想として、反逆心が強く、自己表現が大胆と言う負の評価も。
なお、中国は1979年から2014年まで一人っ子政策を進めており、
吴迪には妹がいるので、特例が適応されたのか、制度が厳格に実施されていない世代なのかは不明。(都市部には罰金払って2人目生む人が90年代にはいました)
吴迪の両親の年齢は不明ですが、50年後半から60年代生まれ?かな?※追記 よく考えたら、50年代生まれ、1960年がギリギリかな…結婚出産が早くても、65年以降で40代近い子供がいるのは計算が合わないですね(;ω;)
中華人民共和国の建国が1945年。※1949年でした(;ω;)
日本との戦争、国共内戦を経てまだ貧しい時代だったはず。
飢饉や文化大革命に遭った世代で、苦労した世代とも言えます。
文化大革命時代は、教育を受ける機会もなく、「無産階級」にならざるを得ない人が一杯いた。そんな世代。
中国の経済開放政策が始まったのは1978年。そこから徐々に経済発展して行きます。
日本も世代間ギャップはありますが、中国ほどではない気がします。
50年代ー60年代の親と
70年代ー80年代の子のギャップは激しいかも・・・。
ちなみに、70年代生まれと80年代生まれのギャップもあると言われています。
※思い出しましたが、80、90年代生まれは「小皇帝」と呼ばれていました!


2.ブーゲンビリアと撮影地の話

吴迪の実家のベランダに立派なブーゲンビリア(中国語:九重葛 追記※こちらも間違いでは無いですが吴迪は ”三角梅” と言っていました。)。
柳柳
と見上げた時も、立派なブーゲンビリアの並木
私の母もブーゲンビリア好きで育てていましたが、大きくならないので、
寒冷地では育たない種類だと思います。
沖縄でもよくブーゲンビリアの木を見かけます。
四川省は標高が高くて寒いイメージだったのですが、撮影地の内江市を
調べると、四川盆地の中南部で、平均標高は344メートル
気候は温暖で、冬の最低気温は5℃を下回らない
穀倉地帯でもあり、古くからサトウキビの生産を行っており、製糖業も盛ん。別称「甜城」
なるほど、かなり暖かい気候のようです。
暮らしやすそう。(山間部の地震は多いけど)

3.Tシャツの話

もし、円盤などで観られる方がいらしたらぜひ妹・双の着ているTシャツにもご注目を。
彼女、かなり個性的です。劇中の翻訳ついたのは二着だけだったと思うのですが、その後もかなり面白Tシャツ着ています。ぜひ写真の翻訳機能使って読んでみてください!
吴迪の着ていたTシャツ、
MY PEN の下側
ペンの絵を挟んで 
H U G E(非常に大きい)って書いてあって、
これはワザと着てるのか?
って思いました!
ショート動画で胡歌が言ってたのはこれかなぁ?
確か、外国人か英語が出来る人に僕のニックネームはH U G E(非常に大きい)だよ、って言うとウケるとか何とか。

とりあえず、以上です。
書きたいこと増えたらまた書きます。
ここまで読んでくれた方がいますかね?
ありがとうございます!!

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ばなな
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