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琅琊榜 第二十章 魔高道高

「道理道を行く」
原文は成語です。
元々は”道高一尺,魔高一丈”
で、「正義の力が強くなれば、邪悪な勢力も強くなる」
という意味だそうです。
今は転じて「正義は最後に必ず勝つ」になるそうですが・・・(^^;)
なんだか内容としっくり来ません。。。

ドラマだと11話 「恩師」かな?

越氏の身分が回復したことで、
書斎で荒れる誉王。
侍女たちは慌てて下がります。
そこへ誉王の誉王妃が。
皇帝と皇后へ送る新年の贈り物の目録を持参して来ました。
目は通すが、全て誉王妃任せます。
 ※ドラマと一緒です^^
誉王妃は何を思ったか、急に般若を側室にしては?
側室にした後、その身分を上げても良い・・・と。
と提案します。自分も悪いようにしないから、と。
 ※てか、誉王の気持ち、妻にバレてるじゃん?!
誉王は正妻はお前しかいないよ、と言いました。
誉王妃は書斎を出る時、謀士の康先生に出会い、
そこで初めて越氏の事を聞きます。
誉王妃は純粋なので、皇上が越妃に同情して
身分を回復したと思っていました。
康先生は独り言をいいます。
「越氏の身分が回復し、越氏を引きずり下ろした 
あの’麒麟の才子’は
殿下と同じ様に怒っているのであろうか?」と。

◎◎◎◎
康先生の想像と違い、
越氏に恩赦が下った事を知っても、
梅長蘇には何の反応も無かった。
いつもの様に火鉢の横に座り、
妙音坊からの報告書を1頁読み、
読み終わったら火にくべる、を繰り返していた。
飛流は傍らにうずくまり、
炎が高くなったり低くなったりするのを見て
楽しんでいた。
この時、綿の冷気避けの布(绵帘)を引き裂くかのように
誰かが室内へ入って来た。
冷気によって火種が縮み、一瞬室内を暗くしたので、
飛流は怒って闖入者を見た。
蒙摯は飛流の非友好的な視線に気が付かず、
大股で梅長蘇に近づいて言った。
「見たところ、変わらず暇そうだな・・・」

「体に冷たい空気が纏わり着いてるから、
あまり近くに寄らないでくれ。
火にあたって、温まったらこちらに来てくれないか。」

蒙摯は泣き笑いを抑えきれない様子で言った。
「まだ例の話を聞いていないのか?
俺がどこから来たと思う?」

「穆王府。」

蒙摯は彼の一言を聞いて、太い眉をひそめ、
前に進み出て梅長蘇の顔を掴み
「小殊、戻って来てから徐々に妖怪になってないか?
まだ生きてるよな?」

飛流は一打繰り出し、「放せ!」

「ばれたか?」梅長蘇は笑って、
「もし僕が霊魂だって言ったら、怖いかい?」

「もし皆が帰ってくるなら、亡霊でも嬉しいぞ。」
蒙摯はため息をつき、
「当たりだよ、穆王府からこちらへ来たんだ。
穆小王が怒って楠木の椅子に嚙みつき、歯形がついたんだ・・・」

「噛む!」飛流は突然この一言を言った。
蒙摯は訳が分からず、彼を見た。

「飛流の言う通り。
楠木は柔らかいからね、
簡単に噛める。
あまり力を入れなくても
歯形が付くはず・・・。」
梅長蘇は少年を称えて頭を撫でた。

「おい、二人とも・・・」
蒙摯は全身の力が抜けたように感じて、
「俺は真面目な話を話してるんだぞ?」

「飛流、蒙叔が僕たちは真面目じゃないと言ってるぞ・・・」
梅長蘇は挑発するように言った。

飛流は戸惑いながら目を大きく見開いた。

「真面目じゃないと言うのは、
蔺晨哥哥みたいって事だよ。
覚えてるかい?
盟中のおじさん達が
いつも蔺晨はふざけてるって言ってただろ?」

飛流はこれを聞いた途端、
蒙叔が自分と蔺晨と一緒にしたと聞いて、
たちまち怒り、身を素早く起こして、
鋭い打撃を繰り出した。
蒙摯は当然怖くもないが、
真剣に対応しなければならないため、
しばらくの間、二人で数手打ち合った。

「小殊、止めさせるんだ、
きちんとした話をしたいんだ!」
蒙摯は怒って叫んだ。

梅長蘇はくすくす笑いながら
毛皮の衣を抱き抱えて座り、
鼓舞した。
「飛流頑張れ、こんな機会は滅多にないからな、
切磋琢磨するんだぞ・・・」

蒙摯はこの人物の戯れ心が現れたと思い、
諦めの気持ちの他に、
微かに嬉しさも感じていた。
どうであろうと、彼の中に
以前の林殊の影を見つけたので、
大いに慰められた。
また、飛流との打ち合いも
とても楽しかったので、
それならばいっそのこと心を落ち着けて
真面目に向き合う事にした。
◎◎◎◎

蒙摯は飛流と打ち合ううちに、
飛流の能力の高さに気が付きます。
飛流の技は奇妙で予測できないようです。
特に夏冬や拓跋将軍の様な武術を
習得して来た人間にとっては
対応が難しいようです。
ただし、蒙摯の様に端正で壮健な武術の場合、
飛流にとって対応は難しくなるようです。
小さい頃に重傷を負った飛流は、
少林正統心法により堅牢に鍛えられた
蒙摯にはかなわないようです。
しかし飛流は、相手の技を記憶していて、
その後すぐに対応するのです。
この様な戦い方が知能に
難のある少年がやってのけることが
信じられないと蒙摯は思いました。


◎◎◎◎
「恐ろしいだろ?」梅長蘇の笑いを含んだ声が微かに聞こえた。
「蒙大哥、もっと強くならないとな。」

蒙摯は長く笑いながら言った。
「飛流を助けようとしても意味は無い。
俺の心がそんなに簡単に乱される訳がないだろう?
飛流が俺を破るなんてまだ早いさ!」
と言いながら、息は少しも乱れてなかった。
◎◎◎◎

その後飛流は瞬間的に蒙摯の後ろへ回ったり、
正面へ戻ったりしながら戦います。
が、結局蒙摯に受け止められて、今回も勝てませんでした。
梅長蘇はまた次があるからと飛流を慰めます。

◎◎◎◎
蒙摯は苦笑して言った。
「小殊、もしかして俺にこの子の修得具合を
確かめさせているんじゃないか?」

「だとしたらどうだって言うんだ?」
梅長蘇は春風の様な笑顔を見せて、
「そんなに、ケチじゃ無いだろ?
飛流との手合わせは楽しくないかい?
こんなにも洗練されているし、
とても可愛いと思わないか?」

蒙摯は息を吐いた。
確かに洗練されているが、
可愛い・・・?
◎◎◎◎
  ※ツイートもしましたが、
この、「春風の様な笑顔」がツボでだったのと、
胡歌の自然な笑顔が大好きなので、その笑顔で脳内再生されました(^^♪
蒙摯が可愛いに疑問を呈したのもツボでした(笑
それって、どう言う意味なのかなぁ??
  

話題は越氏の復位の話へ。
梅長蘇は少しも意外では無いと言います。
今回の罪は皇上に対するものでは無かったこと、
陛下は他人の苦痛に無関心なこと。
を挙げます。
おおみそかの祭礼にしても、
皇帝と皇后の衣に触れば良いだけだ、
と言います。
  ※ドラマと一緒です
礼部の陳元誠尚書がそこを指摘しないのは
おかしいと蒙挚は言いますが、
中立のはずの礼部がなぜ
はっきり指摘しないのか不思議に思います。

梅長蘇によると、
陳元誠の1人息子が前線から逃亡し、
謝玉が意図的に死罪から守ったので、
寧国府側についた様です。
梅長蘇は、何敬中にしろ、
陳元誠にしろ、
子孫の負債(罪)から逃れる事が出来ない
と言います。

蒙挚はこの「党争」は人に寒気を感じさせると思います。
林殊の少し頭を下げた額の青白さを見て、
胸中に何とも言えず複雑な気持ちが湧きます。
”かつて才能溢れる赤焔軍の少帥。
この世に稀に見る才能をこんな事に
使っていいのだろうか?”
と思います。

梅長蘇はそんな気持ちを知ってか、
心配しなくとも良い、と言います。
少し顔を上げて、まるで屋根を突き抜けて
虚空を見ているようでした。
 ※こう言う表現が好きです!
蒙挚は万が一何かあればすぐに自分を呼ぶように言います。

◎◎◎◎
梅長蘇は思わず笑った。
「いつ貴方に遠慮したことがあった?」

「それは何とも言えないな。
深慮する、お前の考えは誰にも分からないよ。」
と、蒙挚は言い、不満げに目を見開き、
「前回、何故靖王府へ誘わなかったんだ?」

「あの粗野な者たちを
押さえつけてくれるのかい?」
梅長蘇はハハハと笑い出し、
「確かにあの諂上欺下(てんじょうぎか)の者たちは
英雄を重んじ、立派な男を敬うから、
もし蒙大統領が僕を尊敬してくれたなら、
誰も僕のことを軽視しないだろうな。」
 ※諂上欺下(てんじょうぎか) 
 強い者にはなびき、
 弱い者には強く出る者のこと。

「またそんなことを!1人で行って、
自分で悪者になったんだろ。
靖王府は将来小殊が安心して
命を預けられる場所になるはずだ。
一回行っただけで
どうして怒らせたりしたんだ。」

「安心してくれ。
靖王府の少しでも頭の回る人間は
感激してるはずだ。
僕を恨んだりしないよ。
僕に不満を覚えるのは
手足はあるけど頭の足りない
向こうみずな者だけだ。
しばらくは放っておく。
いつかその日が来たら改めて
調教してやるさ。
忘れてないだろ、
ああ言う殺伐とした武将を管理するのは
僕の得意分野じゃないか。」

蒙挚しばし考えてから、思わず笑って言った。
「確かにな。」

「そうだ、ずっと聞こうと思ってたんだけど、
穆小王の歯型以外に、穆王府の他の人たちに何かは反応あったかい?」

「当然、みんな激怒さ。
陛下は内史を使わして
口頭で説明しただけだからな。
郡主は余計な考えを起こさないようにと。
郡主が少しでも不満を持ったら、
それは君主に対して疑念を抱くようなものだ、
と言う意味に聞こえたそうだ。」

「郡主は?」

「平然としていたよ。少しも怒っていない様子だった。」

梅長蘇は軽くため息をつき、
「霓凰は帥(すい)を長く勤めてるからな、
全部承知なんだろう。
軍を握る者は、
功績が無い時に役立たない事を嫌う。
功績を成しても、
功が大き過ぎて王を脅かすのを恐れる。
武人が腹に一物待ったら、
君主の武力の均衡を保とうとする
圧力が際限なく現れるだけだ。
今は南境も安定しているし、
皇上もこの機に乗じて権威を示したいのさ。
逃すわけないだろ?」

「しかし、穆小王はいささか
気が納まらないようだ。
雲南に帰る旨を上奏するつもりらしい。」

「皇上は許さないだろう。」
梅長蘇は頭を振って言った。
「じき新年だ。こんな時に急いで帰る
だなんて皇上に恨みでも持っている
みたいじゃないか。
皇上の猜疑心を引き起こすだけだ。 
貴方から穆青に忠告して欲しい。
もし辞職を願い出るつもりなら、
せめて来年の清明節を過ぎ、
皇陵に随従した後にしろと。」

「あの者が私の話を聞くと思うか?
更に言えば、
この件を忠告する相手は
むしろ霓凰郡主じゃないか?」

梅長蘇の目の光はしばし凝縮し、
眼の色は突然深みを帯びた。
しばらくぼんやりした後、
ゆっくりと頷き、低い声で言った。
「その通りだ。手紙を書くよ。
申し訳ないが霓凰に渡してくれないか。
彼女は聡明だから、読んだらすぐに分かるよ」

彼は立ち上がって、飛流の腕を叩き、
「蘇哥哥は字を書きたいから、
飛流は墨を擦ってくれるかい?」

「うん!」
飛流は飛ぶように起き上がり、
たちまち文机に向かい、
硯の上の墨を手に取り、
ハーと息を吐き、
素早く擦り始めた。
力が強く、擦る頻度も速いため、
硯はすぐ墨汁で一杯になった。

「もういいよ、十分だ」
梅長蘇は飛流に向かって優しく笑い、
「蘇哥哥が書き終わったら、
飛流が絵を描くのはどうだい?」

「うん!」

梅長蘇は文机の横の本の山から
雪のように白い便箋を何枚か取り出し、
筆を持ち墨をつけ、
しばし独りごち、
さらさらと二枚の便箋に
一杯の手紙を書き上げた。
紙を持ち上げて軽く息を吹きかけ、
畳んで封筒へ入れたが、
封はせず、そのまま蒙挚へ渡した。

「俺が盗み見するのが怖くないのか?」
蒙挚は受け取らず、笑って言った。
「愛の言葉は書いてないのか?」

梅長蘇は俯いて、無表情で言った。
「蒙大哥、その手の冗談は今後やめてくれ。
郡主と僕はまるで
艱難(かんなん)の兄妹みたいなものなんだ。
余分な関係はもう無くなったんだ。」

蒙挚は驚き、
「どうしてそんな事を言うんだ?
小殊の前にどんな苦難があるか、
やるべき事が山積みと言うのも
承知している。
だから暫くは彼女に自分が本当は誰なのか
伝えたくないのも分かっている。
しかしいずれは…
いつの日かは打ち明けなければ…」

「その未来はどれだけ遠いのか、
誰が分かるんだい?」
梅長蘇はまた筆を取り、
無意識に便箋の上に筆を走らせ、
草書のくずし文字を一行書き、
書き終わらないうちに
掴んで丸め
傍らの火鉢へ投げ入れた。
目を閉じ
「人生がもし初対面のままで居られたのならば…
それは不可能な事だよ。
この世は様々な事が起こる。
予測は不可能だし、
ましてや制御なんて事は出来やしない。
僕が出来る事は、
この状況を良い形で終わらせること。
この結末の中に僕の存在は不要なんだ。」
 ※人生がもし初対面のままで居られたのならば…
  人生若只如初见,
       何事秋风悲画扇。
  清代の詩人の詩。(時代に合いませんが(^^;)
  意味:
        永遠に初対面の瞬間を
  持ち続ける事が出来れば、
  すべてが完璧で美しいままだ。
       だが、そんな事はあり得ない。
  まるで秋風が吹いた時に、
  あの扇を思い出させるように
  寂しく悲しい気持ちになる。
  ロマンチスト!!

「小殊、」蒙挚は驚いて彼の腕を掴み、
「つまり…」

「蒙大哥、霓凰の身になって考えてくれよ。
僕が彼女の多くの時間を浪費させてしまった。
これ以上は無理だ。
かつては彼女のもとに帰ろうと努力しようと思った時もあったけれど、
二年前からその考えも消えてしまったんだ。」
梅長蘇は蒙挚の手を強く掴み、
唇は軽く、
しかし至極真面目な笑顔で
「僕の存在は、
これまで彼女に幸せを与えられなかったし、
少なくともその存在が
今後、彼女へ不幸をもたらす様な事は
避けたいんだ。
それが達成出来たなら、どんなに嬉しいことか…」

「しかし…」蒙挚は顔を皺だらけにした。
「それは不公平じゃないか!」

「この世に絶対的な公平なんてないだろ?
不公平と言うなら、運命が不公平なんだ。
縁がすれ違ってしまったんだ。
どうであろうと霓凰の責任じゃないんだよ。」
  ※縁がすれ違う
   是缘分的错过
    错过(cuo4guo4:ツオグオ):すれ違い、行き違い
   过错(guo4cuo4:グオツオ):過ち
   中国語の離別の歌によく出て来ます。
   この単語聞くだけで悲しくなりますTT
   運命のすれ違いな感じがして、非恋ものに
   よくあるシュチュエーションですよね(^^;)
   胡歌の歌、  ” 好好过”   ”一念执着”
   あと他にもあったかな?出て来ます。
  

蒙挚は真っ直ぐ、しばらく彼を見て
地団駄を踏み、
「あいー」と言ってから、
「小殊のする事に口出しは出来ないな。
言う通りにしよう。」

梅長蘇は笑顔を見せ、
あの手紙を彼の手に押し込み、
「よし、僕の代わりに手紙を届けてくれ。
他の話は一言も無しだ。
余計な話をしたら、怒るからな。」

「はっ、少帥大人。飛流を習って、
二文字、二文字だけ話す!」

「だめ!」飛流は大声で言った。

梅長蘇は笑いながら飛流の髪を
優しくいじった。
「いいぞ、そんな事はさせない!」

「あいやー、」蒙挚はため息をつき、
「笑うことが出来るんだな?」

「笑わなくてどうする?泣く僕を見たいのか?」
梅長蘇は眉と目を曲げてちらっと彼を見た。
傍にあった紙を掴み取り、
あっと言う間に書き上げた。
今回は細字の楷書だった。

「何をしてる?
さっき書き終わったばかりだろ?」

「墨が残ってたからね、
ついでに誉王にも書いた。」

「あ⁈」

「そんなに驚くこと無いだろ?」
梅長蘇は真っ直ぐに身を起こし、
頭を傾げて彼を見た。
「僕がある程度誉王に頼る事になったのを
知らないのかい?」

「霓凰の為に皇太子を怒らせたのは知っている。
当然誉王を頼ると見せかけることも出来る…
しかし一体何を書いたんだ?」

「陳老尚書には隠居してもらおうと思ってね。
その件を誉王に任せる準備さ。」

蒙摯は目を見張り言った。
「誉王はもうお前の話を受け入れるのか?
お前の命令に従い、実行すると?」

「そう言う事じゃないよ」梅長蘇は泣き笑いを抑えられず、
「命令じゃない。献策さ。」
◎◎◎◎

※私にとっての悶絶ポイントが沢山ありました。
読んで下さっている方は、
悶絶ポイントありましたか?
私は、霓凰へ手紙を書くときに
しばし考えている所と、
蒙摯にからかわれて、無表情になって
「そんな冗談はもう言わないでくれ、」
と言ったところ
(無表情なのは感情を抑えているからだよね(´;ω;`)
くずし文字を書いて丸めて火に投げ入れるところ
 (無意識に何を書いたのか気になる・・・
自分が婚約者だったために、
霓凰の時間を奪ってしまった事、
配下と彼女が恋仲になったことで
身を引く決断をした事、
そんな辛さが胸に迫って来て、
本当に悶絶しました。

これは、のちのドラマ「痕跡なくとも」
の原作部分に繋がっていくので、
とても重要な梅長蘇の気持ちになります。

時代的に、年長者が決めた結婚は絶対なので、
本人、少年時代の恋愛感情がない
婚約に縛られて、
と言うようなこと言ってましたが、
霓凰の隣には一緒に戦場に立てる
強い男性がお似合い、
とも言っているので、
本当は自分がそこに立ったままで居たかったんだろうな、
と私は思っています。
霓凰のこと良く理解してますしね・・・。

若い頃の林殊は、弱い者いじめもしてたし、
傍若無人ぶりが際立ちますが、
親しい人には憎まれ口を叩きながらも、
よくその人を見て、理解しているんですよね・・・。
そして、蒙摯を手足の様に使う(笑
まあ、林殊は皇帝の外戚ですから。
そもそもの身分が違いうので・・・
蒙摯も林殊のこと大好きですし。
考えてみれば、皇帝の外戚を「小殊」と
呼ぶのは不敬な気もしますが、
それだけ親密な仲だったと
言うことなのでしょうね。
蒙摯は赤焰軍に1年しか居なかったのに(笑
その1年間の事を知りたいなぁ

さて、梅長蘇は誉王に献策します。
誉王は今回の越氏の地位回復に
腹を立てているだろうから、
陳老尚書の失脚を誉王に握らせ、
突破口を開いてやろうと。
宮中では
皇后には子供がいないため、
越氏と同列の様に思われているが、
皇后は出自の位も高く、
もっと尊重されなければならない。
後宮内での序列を明確にさせるため、
誉王に著名な儒教家を招聘して
朝議で議論させるように勧めます。

そうすることで、
例年の大祭の妃賓の序列の奇妙さに気が付き、
越氏や謝玉への牽制になるだろうと言います。
蒙摯はまた誉王が得するだけだと言いますが、
梅長蘇は言います。
誉王の損は見えないと。見えない所に現れると。
それは、皇帝の気分を損ねるという事です。
越氏が後宮で高い位置を得られているのは、
ひとえに皇帝の寵愛を受けているからです。
皇太子の母だから、と皆は誤解していると。
誉王が礼部の間違いだと指摘するだろうが、
実は皇帝の泣き所であり、
表面上は不満を現さないだろうが、
心の中では面白くないに違いない。
しばらく間をおいて、皇后を冷遇するだろうと。
この問題点を梅長蘇は隠し、
誉王がこの欠点を見極められるか様子を見ると。

しかし、誉王は結局、この献策を受け入れるだろうと言います。
何故なら、誉王にとって利が大きいからです。
皇帝の不興を買っても、それは後から徐々に取り返すことが出来る。
今回の議論を巻き起こすことで、
皇后の地位を高め、
越氏を牽制することができる。
更に強調したいのは、
皇太子が庶子だという事。
それは誉王も同じ。
皇太子の身分が尊いのは、
皇太子に封ぜられているからであって、
身分の高さが理由ではない。
とするならば、
今後誉王が皇太子に封ぜられることがあっても、
皆の衝撃は和らぐし、
皇太子が嫡子ではないことは
動かぬ事実、何も騒ぐことは無いと。

◎◎◎◎
「そうであれば、やはり誉王が得をするのでは・・・」

「誉王だけか?」梅長蘇は振り向いて、
瞳はらんらんと光り、
「靖王も同じだろ?みんな、庶子なんだ。
誰もその出自の高低に触れることは出来ない。
皇太子、誉王、靖王、他の皇子たち。
みんな平等さ。
多少差があったとしても、大した差じゃない。
嫡子と庶子の間の差とは次元が違う話だ。
下手に口にすべきことじゃない。」

「そうだな!」蒙摯は手を叩いた。
「思いもつかなかったぞ、
誉王が皇太子を引きずり下ろしたら、
靖王を押し上げるのと同然だ。
強調するのは、
嫡子と庶子の壁を超えるのは難しいが、
庶子と庶子であれば、
重要な要素にはなり得ないという事か。
誉王が自分自身に当てはめるとしたら、
同時に靖王にも当てはまるという事か!」

「分かれば良いんだ。」梅長蘇は笑って、
この手紙の封はしっかり閉じた。
「飛流、黎綱叔と一緒に手紙を届けてくれるかい?」

蒙摯は飛流を一目見て、
「彼らに届けさせるのか?」

「黎綱は話が上手いし、飛流は牽制さ。
2人にとっては大器小用(役不足)だろうけどね。」
梅長蘇は全く気にも留めず手紙を飛流に渡し、
目をゆっくり閃かせ
「誉王、見せてもらおうか・・・」
◎◎◎◎


新年が近づいてから、景睿と豫津、謝弼が温泉から戻りました。
金陵を離れて一か月と少し。
城内の様子がすっかり様変わりしていることに驚きます。
皇太子と誉王の争いは、
お互いの力が拮抗していた為に、
近年は膠着状態にあったそうです。
ところが、最近になって些細なきっかけから
大きな攻防戦へと変化して行ったのです。

越氏が降格となり、
楼之敬が舞台から去り、
慶国公が家財没収、
何文新は斬首刑。

波は後から後から寄せて、
対応する暇もないほど。

現在は礼部の大祭の進行に異議が申し立てられ、
誉王は十数名の儒教の大家を招聘し、
朝議で活発に意見が交わされていました。
その中に、誉王が招聘した霊隠寺の周玄清が居ます。
例え皇族でも貴族でも、
滅多に会う事が出来ないので、
今回の招聘には皆が驚きました。

周囲の人間が不思議に感じたのは、
周玄清老先生が滞在したのは
誉王が手配した鶴園ではなく、
穆王府だったことです。

周玄清老先生は穆小王が自ら輿に乗り
迎えに行きました。
穆王府に入った後、
その姿を見たものは居ないそうです。
一体だれが周玄清老先生を
招聘したのか謎でした。
皇帝は周玄清老先生が大家であるので、
厚遇します。
学問に対して厳粛で慎み深い上に、
論拠は完璧。
誰も口を挟むことは出来ません。
礼部は反論する術もなく、
皇太子の敗北は決まりました。

朝議での討議は三日で幕を閉じます。
越氏が復位しましたが、
礼祭時に皇帝と皇后の同列には立てず、
皇太子が酒を撒いた後は、
皇帝と皇后の衣の裾を撫でる事に決定しました。
礼部の責任は陳元誠が取り、罷免となります。
皇太子の出自も誉王は再三取り上げ強調しました。

”諸皇子の中でただ靖王は
静かに冷ややかな目で傍観し、
その損得勘定の無い風格は
彼に気を留めていなかった多くの臣下の
目に留まり、好印象を残した。”

”この様に、戸部の首脳陣が交代してすぐに、
礼部も同じように交代となった”



◎◎◎◎
陳元誠が白髪を揺らしながら
二十年近く被って来た官帽を
頭から取り去った時、
靖王は彼の背中の向こうに、
あの青白い手が動いているように見えた。
常に淡々とした顔色。
例えどんなに興奮したとしても、
その明晰な表情を崩すことは無いだろう。

多くの者は、この件にあの蘇哲が
関わっている事など
知る由も無かったのだった。
◎◎◎◎

いかがでしたでしょうか?
最後の靖王の感想、何だかわくわくしました。
靖王には梅長蘇の気配が感じられたのですね。
どこから察したのでしょうか???(知ってたんだっけ?
さて、次はいよいよドラマで言う、
「痕跡なくとも」です。
原文は10ページほどなのですが、
恐らくこれも割愛出来る場所が少なさそう。。。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

ええと、ここでも言いますね。
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