琅琊榜 第二十二章 暗流突起
2024年11月7日
中册
「馬脚が現れる」
※原題の意味は、「表に現れない不穏な動きが突然起こる」
です。
苦肉の策でこの題にしました。
もっと合った表現がありそうですが(^^;)
ドラマだと13話 「消えた火薬」です。
今回は翻訳少な目となります。
梅長蘇の「献策」により、皇太子に勝った誉王は、
梅長蘇へ金銀、絢爛豪華な布地などを贈ります。
けれど、置く場所が無いと全て突き返されます。
高潔な人物だから金銀などは受け取らないと思いなおし、
珍しい宝石や宝物も送りますが、これも置く場所がないと
送り返されます。
書生は芸術を愛するからと
古い時代の絵画や書などを(中には贈るのを悩むほどの物もあった)
贈りますが、これも飾る場所が無いと送り返されます。
三回目の贈り物を突き返された時、
秦般若がたまたま居合わせて、相談します。
般若はドラマと同じ様に飛流に玩具を贈ります。
走る鴨や、転げまわる猫など、
からくり玩具を設計させ、製造し、贈りました。
飛流がそれを喜んだので、今度の贈り物は返ってきませんでした。
※ドラマと同じですね。
将を射んとする者はまず馬を射よ・・・と言っていいのか・・・??
手には入りませんけどね(^^;)
すみません、誉王は可哀想だと思うのですが、
あまり好きなキャラクターではなくて辛辣になってしまいます(-_-;)
般若は、梅長蘇が飛流をただの護衛だけではなく、
幼い弟を可愛がるように寵愛していることを指摘しました。
※誉王さん。。。気が付いて。
梅長蘇を手に入れるために、本人の事を良く知るべき、
まだ彼の事が良く分かっていない、と秦般若は言います。
誉王は、彼は自分の為に動いてくれているようだが、
まだ忠誠を誓ってるようには見受けられないと。
般若は誉王が人心を得る事も、人を用いることも、
長けているので自分は言う資格が無い、と言います。
誉王は般若に梅長蘇の些細な事でも知りたいから
知りえたことは報告するように伝えます。
※ここでわざわざ、般若に耳打ちするんだけど、
いや、近いって!(笑
玩具だけでは礼として欠けていると、誉王は
梅長蘇宅へ向かいます。
※前章でどうやら寝込んでしまった梅長蘇の見舞いを
兼ねてらしいのですが、
体調悪い人のお家にわざわざ行かない方が・・・
気も遣えないんだし・・・
また嫌われちゃうよ?(^^;)
誉王が蘇宅へ行った時、
たまたま梅長蘇は目覚めてはいたようです。
弱っていたので何時もの様に歓待できる様子も無く、
挨拶も二言三言で、ただ黙ってお茶をのむばかり。
誉王は見舞いには来たし、彼の病状も良くは無かったけれど、
特に見舞いに来たことを非難する様子も見受けられなかったので、
宮中の典医を連れてくるか打診しました。
梅長蘇はただ鼻と喉の具合が悪いだけだと断ります。
しかも、
「殿下が来るとは思いもよらず、申し訳なさで一杯です。」
と。
誉王は言葉通りに遠慮したと受け取って、
ただお礼と見舞いを兼ねて来たことを伝え、
希望すればいつでも府内の典医を遣わすことを約束しました。
梅長蘇は晏大夫来たことを告げます。
※やっと!晏大夫が登場♪晏大夫も好きです!!
そうそう、書き忘れていましたが、黎綱って中年だったんですね(^^;)
前章に付き添ってた衛士って、黎綱なんですけど、
ずっと「中年」って表現で笑ってしまって。
ドラマの黎綱は若かったですよね?
お肌ハリがあってつるつるでしたし・・・
でも、設定は中年だったんですね(^^;)
誉王は蘇宅が整っている様子を見て、
梅長蘇は金陵に腰を落ち着けて住む事になったと感じます。
そこへ、誉王府から使いが来ます。
誉王は何か悪い予感がしたものの、
梅長蘇の前で少し恥をかいてしまったと思い、
誰が遣わせたのか聞きます。
王妃が宮廷からある知らせを伝えたかったのです。
皇后が突然たおれたので、すぐに後宮に上がるように、
とのことでした。
誉王は梅長蘇に辞去の挨拶をしてすぐに後宮へ。
梅長蘇はこの時期に皇后がたおれる事に疑問を感じ、
黎綱に童路が何か十三先生からの情報を持ってきていないか尋ねます。
童路は誉王が来たために、まだ邸宅内に待機していたので、
呼びに行かせます。
梅長蘇は考えました。
あと5日でおおみそかの大礼です。
それまでに皇后は回復するのか、
もし皇后が参列できない時には、
だれが皇后の代わりに皇帝の横に立つのか
考えますが、
情報が少ないのと、頭痛がして頬が熱くなります。
手を当ててみると熱はそんなに無さそうです。
ですが、頭が朦朧として上手く働きません。
病気になっている場合ではないのに、と梅長蘇は思いました。
※あの、自分で自分の熱を測ろうと
思っても多分無理ですよ…
童路は二十歳ちょっと。
麻の服を着ています。
商売人の格好をして、生き生きとしており、
壮健そうでした。
童路はもともと農家でしたが、
妹が悪い男に見染られてしまい、
その時に江左盟に救われた事が縁で
江左盟に入りました。
年老いた母と妹は廊州にいます。
頭が良く根性もあるので、
梅長蘇が見込んで金陵入りしました。
十三先生との連絡は彼を通じて行い、
一日おきに野菜を届ける名目で
蘇宅へ出入りしています。
※童路若い・・・まさかの・・・20代前半
ドラマだと美人局に遭ってしまいますが、
原作はどうでしょう?
こんなに若かったら、
そりゃ引っかかりますね!
35才くらいと勝手に思い込んでいました💦
まず、何文新の動向から報告。
どうも、身代わりの男を見つけたようです。
顔は7~8割ほど似ていて、
痩せすぎなので歓待して太らせているようです。
その後、すり替える魂胆です。
「どうせ頭を落としてしまうから、誤魔化せれば良いと思っている」と。
文遠が処刑場へ来たとしても、
本人の顔を知らないので
別人だと分からないだろうと。
※ドラマと同じ筋書きですけど、
表現が・・・怖いなぁぁ(^^;)
梅長蘇は何文新は身代わりとすり替わったあと、
金陵を離れるだろうから、
絶対に見失うなと命令します。
次に、刑部が密かに死刑囚をすり替えた件は何件あったか尋ねます。
7件あったそうです。
証人も証拠も揃っているそう。
※おい!何でもありやな(^^;)
地獄の沙汰も金(と権力)次第・・・
吏部、刑部は新年を無事に過ごさせるが、
春の刑執行の日が来たら、
その時に一気に潰すようです。
ただ、自分の体に何も異変が起きない事を
梅長蘇は願いました。
※刑の執行は春と秋に行うそうです
童路は宗主の顔が青白くなっている事を
気にしましたが、
梅長蘇は報告を続けさせます。
水運を担う二つの結社から、
正規のルートでは無い火薬が
金陵に持ち込まれていることが
報告されていると伝えます。
1回の量は少ないですが、
累計すると200斤。
(1斤500g。100kg)
荷主との関係があるか調査中で
進展があれば宗主へ報告するとのこと。
梅長蘇は、江南の霹靂堂が
関わっているか尋ねます。
→今のところ不明。
金陵のどこに保管されているか?
→まだ追い切れていない
童路は元々十三先生は火薬の事を
気にしていなかったけれど、
宗主が都のどこへ出かけるか分からないので、
どこで何があってもおかしくないと
危機感を持ったため、
今回報告した、と言いました。
梅長蘇はそれを笑い飛ばします。
広い金陵でそんな不運には遭わないだろうと。
そんな心配をせずに、
気を付けて引き続き調査して
欲しいと言いました。
※優しさ…と思いたい
童路は宮羽から預かった、
火薬のに匂いに敏感な動物
霊貂(テンかな?)を取り出し、
しばらく手元に置くようにお願いします。
梅長蘇は失笑しましたが、
彼らが自分の為に考えた好意なので
無下にも出来ず、
また、童路が火薬の保管先を
突き止められなかったこを
宮羽に怒られたと察して、
その霊貂を受け取りました。
梅長蘇は言います。
十三先生と宮羽に、
自分の病気は大体良くなったから、
廊州へ病状を報告する必要はないと。
それを聞いた童路は顔を真っ青にして、
言い訳をしようとしましたが、
梅長蘇は目を閉じて
もう聞く気はありませんでした。
童路は慌てて辞去し、こっそり舌打ちをします。
※けっこうやるね、童路!(笑
配下にはそこそこ厳しい、
さすが宗主!
小霊(テンのこと:しゃおりん)は
黒くて豆つぶのような目を見張って、
梅長蘇の肩に登り、
小さい爪で耳を引っかきます。
が、長い間反応がないので、
彼の懐に入って寝てしまいます。
※可愛い^^
二つの手が伸びてきて、
小霊の小さい耳を捻じって
空中に持ち上げました。
小霊はとっさの事で抵抗も出来ず、
ただ命の危機を感じて驚きます。
二つの目に向かって「ジジ」と
鳴くしかありませんでした。
梅長蘇は目を開けて、
飛流にどうかしたのか聞きます。
飛流は「三人が来た!」と言います。
梅長蘇は三人を連れてくるように言いました。
飛流は手を離し、
小霊は梅長蘇のお腹に落ちました。
怪我は無かったようですが、
とても驚いたので、
丸まってウーウーと低く鳴くばかりです。
梅長蘇は「大丈夫、怖くないよ。
飛流は君の事が気に入っただけだよ・・・」
と言って撫で、再び懐へ入れ、
「今夜は飛流と寝るんだよ、いいかい?」
と言いました。
※なんか良いな、このシーン・・・
飛流と、霓凰と、動物に
めちゃ優しい梅長蘇…
三人とは、豫津、景睿、謝弼でした。
豫津は数箱の蜜柑を持参しました。
「病気の時は口の中が苦くなるから、
この蜜柑を食べたら気分が良くなるよ」
と。
景睿は梅長蘇の顔色が悪いのを見て、
起き上がらずにそこで座っていて、
と言います。
三人が梅長蘇の側の椅子に座ると、
小霊が懐の中で動き出しました。
爪で引っかいてきます。
梅長蘇は、心に何かが引っかかりました。
豫津は温泉は良かったから、
蘇兄も体の為に行った方が良いと
勧めながら、
袖口から何個か蜜柑を取り出し、
机の上に置きます。
※袖に色々仕舞うねぇ。
日本の着物は分かるけど。
この世界の服は意外と
色んな物仕舞うねぇ(^^;)
四次元かな?
豫津は、皮が薄くて、果汁がたっぷりで甘く、
蘇兄もきっと気に入ると。
春に蜜柑の木を何本か植えようと思うと
言います。
すると謝弼は、
「蜜柑は淮南で育つんだ。
淮北ではカラタチしか育たないよ」
と言います。
※淮南…中国の淮河以南、揚子江以北の地方
淮北…淮河以北の地方
※調べたら、カラタチは実は生食せず、
漢方にするようです。
木に刺があるので、日本では
防御・防犯のための生垣にすることが
多かったとか。
「習わなかったか?
もし本当に豫津の家に植えたら、
きっとニガウリが生るね・・・」
景睿と梅長蘇は笑います。
そして、梅長蘇は蜜柑を一つ手に取ると、
その匂いを嗅ぎました。
爽やかな酸味と冷気、
仄かに硝煙の香りが。
梅長蘇は暗に察しました。
豫津に、官船で嶺南から
運ばれたことを確認します。
父が予約してくれたと話します。
梅長蘇は考えます。
官船に隠して運ばれたとなれば、
江湖の人間は気づかないだろうと。
懐に手を入れ、小霊を撫でます。
が、匂いが薄かったので、
小霊は寝てしまいました。
景睿は、蘇兄が長い間皮も向かずにいて、
懐へ手を入れたのを見て、
心配して「手が冷えるなら、
私が剝きましょうか?」と声を掛けます。
梅長蘇はそれを丁寧に断り、
皮を剥いて食べます。
白い筋がついたまま口にいれ、
一口噛むと冷たい果汁が口いっぱいに広がり、
酸味も甘みも感じられ、爽やかな味でした。
謝弼は豫津が食べ過ぎなのをたしなめます。
一杯持って来たし、足りない様だったらまた
運ばせると言います。
豫津は飛流の所在を尋ねました。
その時、梅長蘇は急に思い出します。
国舅府(こくきゅうふ)の人間が、皇后が病気なのにも関わらず、
お見舞いに行かなくていいのかと。
※ドラマでは言侯府となっていましたかね??
実は中国版だと、
ドラマも国舅府(こくきゅうふ)です。
国舅の意味は、皇后の兄弟のこと。
日本人には分かりにくいので、
日本版ドラマでは出て来ていません。
豫津は何も知らないようで、
その話を聞いて返って驚きます。
昨日挨拶に行った時には元気だったから、
それはあり得ないと。
嘘を言っているようではありませんでした。
今日はもう時間が遅いから、
明日後宮へ行くと言います。
もし深刻な状況だったら、
父が呼びにくるはずだと。
言侯は今、郊外の道教院に居る様です。
丹薬作りに熱中していると。
一時、豫津を龍禁尉
(りゅうきんい:皇帝の宮中衛士)
にさせようと熱心だったらしいですが、
今はもう息子なんて目に入っていないと。
父と皇后の関係は、
他人から見ても情に薄そうで、
豫津も良く分からないそうです。
景睿が言侯と豫津の顔が似ていなければ、
親子とは分からないだろう、
言侯は野生の鶴の様で、
豫津は賑やかなのが好き。
野生の鶴の気性は半分もない、
どちらかと言うと猫に似ていると。
豫津は怒って、
「俺は野良猫で、
お前はいい子ちゃんの家猫だ!」
と言います。
梅長蘇はそれを聞いて思わず笑いだし、
「久しぶりに二人のやり取りを聞いたよ。
本当に仲が良いね。」
みんな笑い、
まるで初めて知り合った頃に戻ったようでした。
日も暮れたので、
三人は辞去しようとしましたが、
梅長蘇はそれを留め、お酒を振る舞います。
この酒が北方から運ばれた度数の高い醸造酒で、
とても辛いものでした。
謝家の二人は酒に強かったけれど、この酒はさすがに
少しずつしか飲めなったそうです。
※北京にいると、二锅头(アールグオトウ)
と言う安いお酒が
どこでも売っているのですが、
確か45度くらいあって、
本当に口の中で火が付いたようになります。
日本人にはキツイですね・・・
豫津は飛流に味見させます。
飛流は一口試しに呑みますが、
口の中で花火が爆発したようになり、
「不味い!」と言い、騙されたと感じて
掌で豫津を押しのけました。
豫津は飛流を追いかけ始め、
2人は家の中を走り回ります。
梅長蘇は、飛流が金陵に来てから
こうやって遊ぶ機会が減っているので、
三人が来るたびに、
本当は喜んでいると言いました。
景睿は飛流が喜んでいるとは思っておらず、
でも人が少ない蘇宅では
確かにつまらないだろうと思いました。
そこで、思わず聞きます。
「蘇兄、年越しはここで
少人数でするんですか?」
梅長蘇は、「大晦日はそうだけど、
三日と四日はお客様を招待しないとね、
君もくるかい?」と。
景睿は年越しが飛流と二人じゃ
寂しいだろうから、
寧国府に来てはどうかと言います。
梅長蘇が何も言わないので、
景睿はすぐに雪廬で何があったのか思い出し、
恥ずかしさで顔が赤くなりました。
※え?忘れてたの・・・・??(;^_^A
豫津が戻ってくると、景睿が変だったので、
「まさか年越しに蘇兄を誘ってないだろうな?」
と、的中させてしまいます。
※恐るべし、豫津・・・
「蘇兄は騒がしいのが嫌いなんだ。
飛流もいるだろ。
俺の事を同情するべきなんだ。
ご先祖様に礼拝したあと、
俺はまるで一人で家に取り残された
みたいなんだぞ。」
梅長蘇は不思議に思って、
「お父上は?」と聞きます。
「部屋に戻って修行ですよ。」
梅長蘇は驚きを隠せませんでした。
言老対師と豫津の母はもう既に鬼籍に入り、
彼には兄弟もおらず、
父親は祠堂を後にしたら
部屋に籠ってしまう。
この賑やかな事が大好きな子は
本当に寂しいだろう・・・
と。
謝弼は同情が必要か?と言います。
元々が風来坊なんだから、父親の関心が無くて
却ってありがたいだろうと。
秦楼楚館でいつも十何人も女性を侍らしているじゃないか、
どこが寂しいんだ、と指摘します。
梅長蘇は謝弼は家族の保護の下に
育っているから、
孤独が何かを分かっていない、
と心の中で思います。
花街のあの喧騒と賑やかさは、
とうてい家庭の団らんと
温かさに及ぶ訳がないと。
※家庭が温かいとは一概には言えませんが、
豫津の場合は母が亡くなってから、
愛情を注いでもらっていないことは
明白なので・・・
豫津は謝弼の言葉に反論せず、
微笑を湛えたまま、
まるで気にしていないかの様に言います。
「蘇兄、今年は螺市の青楼(娼館)へ
一緒に行きましょう。
飛流もそろそろ成年だし・・・」
予想外だったようで、梅長蘇は眉を上げて
「分かった。私の体調が戻らなかったら、
飛流を君一人で連れて行ってくれよ。」
豫津は「僕が一人で?」驚いて、
「それは大変だ、青楼の女性たちに
撫でられたら、
飛流は発狂してしまう。
誰にも止められなくなる。」
梅長蘇は飛流は良い子だから
そうはならないと笑いながら言います。
ご先祖様への参拝が終わったら、
蘇宅へ遊びに来るように言います。
一緒にお酒を飲んで、
飛流を遊びに連れ出して欲しいと。
豫津は飛流は任せろ、と言います。
そして、遅い時間だから帰ろうと皆を促します。
景睿は蘇兄の体調が悪いのに
長居してしまった事を謝ります。
梅長蘇は疲れていたので、
あまり引き留めもせず、
飛流を呼んで見送るように言います。
◎◎◎◎
自分は枕に頭を預け、
しばし休もうと目を閉じた。
今日はとても疲れていたせいか、
少しの時間物思いに耽り、
半分起きて、半分寝ているようだった。
全身が突然熱くなり、
まるで氷水に浸かっているような寒さが
骨を突いた。
寝返りを何回もうち、
突然心臓を締め付けられた感覚を覚え、
体がすこし弾み、驚いて目を覚ました。
目を開けると、
そこには三つの顔が彼の顔を覗き込んでいた。
「ここで何をしている?」
梅長蘇は左右を見て、
自分が寝室の寝台の上に居る事に気がついた。
夜衣は取り換えられ、
柔らかい上掛けに包まれていた。
「一晩寝込んでいたんだぞ。
分かってないのか?」
晏大夫は白いひげを吹き飛ばしながら
怒って言った。
「外を見て見なされ、もう夜は明けておる。
わしたちを死ぬほど驚かせおって」
「・・・え?・・・
何が起きたんだ
気分はとても良いけど・・・」
梅長蘇は床から起き上がろうとし、
飛流がそれを止めた。
よろけながら元に戻るしかなく、
飛流の掌を撫でながら、
「飛流、怖がらなくていいよ。
蘇哥哥はちょっと眠ってただけなんだ。
起きるのを手伝ってくれないか?」
「まだ起きるつもりか?」
晏大夫は厳しく言った。
「三日間は寝台から降りさせないぞ。
それが出来なければ、
わしはもう晏ではない!」
「晏大夫、この数日は駄目なんだ。
やるべき事が山のように・・・」
「そんな事まで管理しきれん。
今回治療しに来たのはある奴と
賭けをしたからじゃ。
こんなに苦しめられたら、負けてしまう!」
※絶対、蔺晨とだよね・・・(;^_^A
賭けてたんかい!
そして宗主もそれをつっこまない(笑
梅長蘇は彼に寒医・荀珍 特製の丹薬を
飲んで良いか聞きたかったのだが、
時間通りに飲めば大きな問題にならないと
考えた。
また二人の医者の間に誤解を招くのを恐れ、
今言い出せば更なる混乱が起きる思い、
それ以上何か言うのは止めた。
爆ぜるような注目の中、身を横たえ、
顔を飛流に向けて言った。
「飛流、蒙大叔の所へ行って、
うちに来るように言ってくれないか?
こっそり行って、
誰にも見つかるんじゃないぞ。」
「分かった!」飛流は彼が目覚めたのを見て、
顔色も話し方もいつもと同じだったので、
単純な心はすぐに落ち着き、
晏大夫や黎綱の様に気に掛けなかった。
命令を受けて、すぐさま飛び出していった。
「黎大哥、申し訳ないが十三先生に伝言を頼む。
近々で入港する官船を追って欲しい。
火薬の運搬に関する最新の糸口が
ないかどうか。」
「は!」黎綱は江左盟の配下だ。
晏大夫の様に宗主を制御する事など出来ない。
ただただ心配することしか出来ず、
口を挟むこともない。
そこで命令を受けすぐに向かった。
「もう十分だろう?」
晏大夫は乱暴に彼の手を取り、
脈を診始めた
長い時間しっかり診ると、
腕を変えて診て、
目の下をめくって観察し、
舌も伸ばさせてよく見た。
病状がどんなものか一言も言わず、
彼の話はくどくどと話をした。
どうして若い者は休養と言うものを
理解しないのか、
健康より大切なものはないだとか、
精神状態を安定させるには
色々考え過ぎては駄目だとか、
次から次へと止まらない。
梅長蘇は静かに彼を見つめ、
一言も反論しなかった。
表情はとても真剣だった。
しかし他人に言わないだけで、
晏大夫も心の中で分かっていた。
この苦労人の若者の意識は
もう既に別の所へ行ってしまった事を・・・
◎◎◎◎
いかがでしたでしょうか?
ドラマとはまた違っていましたね。
小霊と言う動物が、
硝煙の臭いを探知していました。
小霊かわいい…
受け取る時に
躊躇していましたが、
すぐに役立ちましたね!
豫津はお金には困っていないけれど、
苦労人ですね…
だからこそ、人をよく見ているし、
機転を利かせて話題を変えたり、
景睿に警告したりと友達思いな面もあったり、
愛すべきキャラクターですね!
あと、ドラマでは音楽を聞きに行くと
風流さを強調してましたが、
本当に娼館に行こうとしてた笑
梅長蘇もさりげなく拒否してましたね!
断られるように誘導を笑
それにしても、
青楼(娼館のこと)って中国から来た言葉
だったのですね。
知りませんでした(^^;)
丸々一章分、体調が悪かった梅長蘇。
無理しすぎで心配です…
ドラマ2回見てても、結末知ってても
何時でも思ってしまいます。
さて、次の章は蒙大哥と靖王が蘇宅を訪れます。
長くなりそうです…
ここまでお読み頂きありがとうございました!