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ダイヤモンドの針

noteで何か書こう!と思った時に、大体最初にぶつかる難関が「タイトル決め」だ。記事はタイトルを入れないと下書き保存できない。
すっと決まらんなら仮題でもなんでも適当に入れておけばいいのだろうけど、後で別のものに変えるにしても、何となく、一応、ちゃんと据えてから書き出したい気持ちがある。
今回のタイトルも、書きたいものは決まっていて、できればすっとした、あんまり長くないものにしたいなぁと思って色々捻った結果なのだけども、果たしてこれでいいのか感はまだもやもやしている。というか、こんな書き出ししたらもうこのまんま行くしかないじゃないのという気もする。うん、伝わるかどうかやってみよう。

なんの話かというと、大好きなBUMP OF CHICKENのCメロのことだ。Twitterでもこちらでもお世話になっているひとさんの記事と、ひとさんの記事のきっかけになっているMicaさんの記事を拝見して、私も書いてみたい!となったのである。

Micaさんが書かれているように、Cメロはエモい。といいつつ、実は"エモい"の意味をちゃんと捉えられているかどうか心底自信がないので、もう少し自分の思う言葉に落とし込んでみると、BUMP OF CHICKENのCメロは、とにかくそこに、「ぎゅーーっと凝縮された"切実さ"が詰まっている」と思っている。そうそう、Micaさんも天体観測のCメロを取り上げてくださっていてとても嬉しかった。

具体的に"思いの切実さ"をめちゃくちゃ感じる曲と、その部分の歌詞を挙げていこうと思うのだが、ちょっと悩ましいのは、そこだけだとちょっと分かりにくいかもしれないところだ。Cメロに至るまでの歌詞があって、からのCメロの切実さがものすごいのだ。だから、BUMP OF CHICKENの歌はあんまり知らないけど、もしこれを読んでちょっと気になるなぁと思ってくださった方がいたら、是非曲の全部を聴いて欲しい。MVがあるものは埋め込んでおきますゆえ。

1.プラネタリウム

やめとけばよかった
当たり前だけど 本当に届いてしまった
あの星は君じゃない 僕の夢
本当に届く訳ない光
でも消えてくれない光

手作りのプラネタリウムに、本当は存在しない星をひとつ付け足して、それに手を伸ばすという歌詞で始まる歌だ。
「やめとけばよかった」ですよ。ねぇ。
それは自分が作ったレプリカであること。
レプリカであるのを知っているのに、手を伸ばしたこと。
触れてしまって、触れられてしまったからこそ、それがレプリカであることを、本物までどれほど遠いのか思い知る。
同じようにレプリカを手元に置いたことはないけれど、憧れが遠いのも、遠いからって諦められないのも同じ私は、いつ聴いてもたまらなくなってしまうのだ。

2.ファイター

空っぽの鞄は 空っぽで
愛しい重さを増やしていく
重くなる度 怖くなった
潰さないように抱きしめた

ファイターは、私にBUMP OF CHICKENというバンドと、彼らの音楽にものすごく大きく惹かれることになったきっかけの曲だ。
さらにいうと、このCメロこそが、一番私に衝撃を与えた部分だ。
この曲は、羽海野チカ先生の「3月のライオン」とコラボレーションした曲である。
以前別の記事でも書いたのだが、私はこの曲がリリースされた当時、「3月のライオン」が大好きで、BUMP OF CHICKENのことはほとんど知らなかった。でも、CD付きのコミックスが出ると聴いて、せっかくだからそっちを買ってみることにしたのだ。
もうねぇ、あんまりに、あんまりにこの歌詞が主人公の桐山零くんと重なってですよ。
「3月のライオン」が好きだ!という方に、是非是非丸ごと聴いて欲しい。アニメ第1期のエンディングテーマでもあったけれど、この部分は流れていないのでね。
(なおだいぶ余談ではあるけれど、MV中で歌詞に合わせてボーカル藤原さんがふふっと笑うシーンがある。そのお顔が本当に花のようで、こんな風に笑う方なのか!とびっくりした思い出)

3.ゼロ

約束はしないままでいたいよ
その瞬間に最後が訪れるようで
ここだよって教わった名前
何度でも呼ぶよ
最後が来ないように

「ファイナルファンタジー零式」の主題歌ですね。
残念ながら私は零式遊べておらずだけども、零式を遊んだ友人から「とんでもないタイミングでこの曲が流れて、あまりに合いすぎてべらぼうに泣いてしまった」と聴いたことがある。うーん気になる。
ゼロは、実はMVを観るまで、「目的の場所にたどり着いて、それまでの道のりを振り返った歌」なのだと思っていた。だけどMVを見て、印象が一変した。というか、よく考えたらこのCメロがものすごく不穏じゃないの。いわゆるフラグ立っちゃってるじゃないの。
物語を神の目で見ている私たちには、その結末が分かってしまう。だからせめて、強い願い・想いが、"続く者の灯火に"なったらいいと、一緒になって願わずにいられない。

4.オンリーロンリーグローリー

息絶えた心を撫でた
殺したのは他ならぬ僕だ
傷跡に雫が落ちた
動いたんだ 僅かでも確かに
まだ生きていた、僕の中に 一人で
呼吸を始めた、僕と共に 二人で
僕だったから それが見えた
「おはよう、ごめんな、思い出せるかい」
孤独を知ったから また出会えた
孤独じゃない

オンリーロンリーグローリーは、私のいくつかある"BUMP OF CHICKENの目から鱗曲"の一つだ。……なんかものすごくチープになるな……ほかに良い表現が見つかったら言い換えるかもしれない。
色んなところで同じことをしつこいくらいに言っているのだけども、私は夢を追いかけられなかった人だ。そこに大きな悲劇も不運もなくて、ただ、自分よりずっと高く遠く飛んでゆく人たちには追いつけないなと、自分を見切るのが早かっただけだ。
でも、だからって別に、好きなものを持っていたって、いつかって夢見てたっていいじゃないと気づかせてくれたのがBUMP OF CHICKENの音楽で、それがまさに、オンリーロンリーグローリーのこの歌詞の部分とぴたっと重なる。
"「おはよう、ごめんな」"のところが、特にとにかく切なくて、おんなじ気持ちで、大好きなのだ。

4.(please)forgive

求めない
重ねない
望まない
筈がない
生きているから
生きているなら

これも「目から鱗曲」の一つで、アルバム「RAY」に収録されている曲だ。
これについては本当にここだけだとなにがなにやら分からないと思うので、ここに繋がる歌詞も一部紹介しようと思う。

最近は別に元気じゃない
それが平常で不満もない
生活に変化は求めない
現実と漫画は重ねない

前述の通り、私は夢を追いかけられなかった人だ。だから、特別な名前も持っていないし、もちろん諸々大変なことはあるけれど、それでも十分平穏な生活の中にいる。
じゃあ例えば、本気で物書きになりたいから、その勉強に専念したい!と言った時に、少なからず、多少なりと自分の収入がある、いわゆる安定した生活から離れることになる。その先に待っているのが、夢が叶って今よりも充実したものになる保証はどこにもない。ナチュラルに考えたら、いやいや小さい子供がいるのに本気??である。
そういう、一念発起からの一発大逆転が実際に成功した人もいる。いるけれど、大体は画面や紙の中の話であって。
でも、望んじゃうんですよ。生きてるから。
ここで「望まない筈がない」って言われると思わなかったんですよ。
そういうもんだよ、と言ってもらえているようで、視界を大きく鮮やかに晴らしてくれた歌詞だ。

* * *

さて、半分好きポイントを言いたいだけみたいになってしまいましたが(こら)、いかがでしたでしょうか。

日々を繋いでいくこと。
なんとかやっとこ毎日を歩いて行くこと。
どれだけ大事にできているかわからなくても、自分を、大事な人とのいまを大事すること。
そういう想いの"切実さ"と人の温度がBUMP OF CHICKENの音楽に詰まっていて、それが手のひらにおさまるくらいの、ぎゅーっと硬く圧縮されて、内側に光を抱く結晶になったものが、Cメロに当てはまることが多いように思う。
それは透明で、傍目から見たらとても綺麗で、すっと深く自分の真ん中に入って行く。
ぶすりと刺さってくるから、痛いこともあるけれど、今の私の、確かなひとつの芯になっている。

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