吸収する、蓄積する
我が家の4歳、現在ディズニープリンセス大好きマンである。
最初はお友達の持ち物に影響を受け、なんだか可愛いキャラクター達がいるという認識だけだったのだが、じゃあせっかくだからちゃんと作品も見てみようということで、家族がDisney +に加入してくれた。よく考えたら私自身シンデレラも白雪姫もオリジナルを観たことがなかったので、子供と一緒に観てみたのだけども、ディズニー映画の作画がとんでもないと言われる理由にようやく納得した。あれ1950年なんですってね?動きが滑らかすぎじゃない??さすがにデジタルリマスターされているものといっても、動作の作りの部分に手を加えるわけではないだろうから、キャラクターを動かそうとしている人は見ておくべし、といわれるのも大いにうなづける。個人的には、特にダンボの可愛さがものすごかった。子供も大変お気に入りで、もう何度も同じ映画を見ている。動きのもちもち具合がすごい。象の子供が実際どうかはわからないけれど、幼い生き物のやわらかそうな感じがなんともいとおしい。
さて、色んな映画を見てみるのも経験値を溜めることのひとつなのだけども、本題はここからすこーしズレる。
つい先日、毎度のことだが夕飯の支度の間は構ってやれないので、じゃあディズニーの映画を観てて待っててねということになり、「ミラベルと魔法だらけの家」を再生してみることにした。タイトルを耳にしたことはあったのだが、その時点では私も丸っ切り中身を知らない。
主人公のミラベルは、ある年齢になると、1人1つずつ特別な力を授かるマドリガル家の女の子だ。ミラベルより年下の従兄弟のアントニオが奇跡を授かる日で、その準備に追われている、というところからお話が始まる。
ミラベルは街の子供達から、「ミラベルの特別な力のことを教えて!」とせがまれるのだけども、ミラベルは、まあまあ私のことを聞きたいならまず私の家族のことを紹介させて!と、彼女以外の家族1人1人の話を始めるのだ。
おや??と思った。
まずは家族の話から、といい、誇りに思う家族の話を延々と続けるミラベル。で、いつまで経っても彼女自身の話が出てこない。
ここまで書いて、同じように想像がつくかたもいるだろう。
つまり、ミラベルは家族の中でたった1人、奇跡を授からなかったのだった。
これ、よくよく後から作品紹介を見たら、しっかりはっきりそう書いてあった(物語の軸なのでそれはそう)のだけども、その鍵が明かされた時に、ああやっぱりな、と思ったのは、これまでに出会ってきた物語の中に、そういう運びをしたものがあったからなのだろうと思う。こういうの、表現技法として名前がついていそうな気もする。
ちなみに、予測がついちゃったことがよくないとかそういう話ではない。あちゃあやっぱり、と思うのも、ええーそうだったの!?と思うのも、どちらも経験による、作品の楽しみ方だと思うのだ。
そして、こうやって「受け手の経験値」に依存する部分が多いあたり、物語性のあるコンテンツを作り出すのは、あらためてものすごく大変な作業だと思う。人間は知っているもののことしか想像できないそうなので、あまりに突飛だと受け手が飲み込めないし、目新しさがないのもそれはそれで耳目を集めにくい。うーん、難しい。
ちなみに、「ミラベルと魔法だらけの家」は、結果としてとても好きな映画だった。お夕飯を食べるのに中断したものの、私が気になって結局最後まで観てしまった。吹き替え版だったのだけども、斎藤瑠希さん演じるミラベルの語り口が、柔軟で、少しハスキーなお声で、歌まで含めて聴いていてとても心地よかった。あと平野綾さん!「ミラベルの完璧な姉」役で出ていらっしゃるのだけども、我が家の平野綾さんといえばここしばらくコキンちゃんだったので、この幅!!とびっくり。
見たことなくてちょっと気になるなぁと思われた方いらしたら、ぜひ。