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"生きるのは最高だ"

ずっとお守りにしている歌がある。
度々記事にしている通り、私はBUMP OF CHICKENというバンドが大好きで、タイトルは彼らの"ray"という曲のひとフレーズだ。
"ray"は、彼ら4人だけのものと、初音ミクちゃんとコラボレーションしているものがある。
もしかしたら、初音ミクちゃんをお好きな方もご存知な曲かもしれない。

最初に知ったのは、まだここまでBUMP OF CHICKENを好きになる前のこと。
当時ボーカロイド音楽がかなり盛り上がって来たころで、とても詳しいとは言えないものの、私もいくつか聴いていたし、お気に入りもあった。そんな中、BUMP OF CHICKENのこともボーカロイドの音楽も好きな古くからの友人が、こんなことやってるんだよーと教えてくれたのがこの曲だった。
この時、なんか変な嬉しさを感じたのを覚えている。ロックバンドがボーカロイドとコラボだなんて!!って。
だってね。ど偏見だと承知で書くけれども、ボーカロイドはどちらかといえばいわゆるオタク文化のもので、ロックミュージックとオタクは、親和性がないというか、対極に位置するんじゃないか、くらいの認識でいたわけで。
私はロックは全然詳しくないし、どちらかといったら言い逃れようもなくオタク側の人間である。だから、そういうオタク文化ベースのものを、ものすごく名の知れたロックバンドが拾ってくれるんだ!!という喜びがあった。
そこから何年か経って、BUMP OF CHICKENのメンバーのみなさんが、漫画やゲームがお好きだということ、rayの初音ミクちゃんとのコラボは、とはいえそれとは特に関係ないことを知った。曲についてのインタヴューで、ソングライターである藤原さん(Vo.&Gt)が、ミクちゃんのことを「音符が人の形をしている、音符に対してすごく誠実で忠実な存在(MUSICA 2014年4月号)」とおっしゃったことに、また別の感動を覚えたりして。

この曲がお守りになったきっかけは、もう思い出せない。
なんだったろうな。
特徴的なデジタルサウンドで始まって、ベースの音、その後ギターリフ。メロディはご機嫌だ。大事なお仕事の時とか、なんか元気ないなぁって時に、いつもより少しボリュームを上げて聴く。いつのまにかその音が鳴ると、俯いている顔を上げて、胸を張るようになった。ほとんど反射みたいなものだけど、すっと背筋が伸びる。口角が上がる。

きっかけはなんだろう。少し考えてみよう。
もしかしたらライブかもしれない。
ライブに行くと、「全力ワイパー」と呼ぶくらい、リズムに合わせて目一杯に腕を振る。もちろん、隣の人にぶつからないようにして。メンバーさんも一緒に腕を振る。一緒にというか、最初に彼らがそうしたから、慣例になったような気がする。
ここ数年、ライブ演出のために、一人一人にLEDのついたリストバンドが配布される。それが同じリズムできらきら揺れて光の波を作る。本当に本当に綺麗なのだ。めちゃくちゃ気持ちが上がる。ライブはできるだけご本人たちの近くで観たい!!と常々思っているが、こればかりは、上の方の席から見るのが断然眺めがいい。トップ画像はイルミネーションの写真だけども、これに近い感じ。

うーん、絶対それだけじゃないはず。
歌詞もそうだ。
出典が思い出せないのが心苦しく、判明し次第書き足そうと思っているが、この歌は「空元気」なのだそうだ。コミックスで"ファイター"とコラボレーションし、アニメではオープニング主題歌に"アンサー"が使われた、"3月のライオン"の作者である羽海野チカ先生との対談ででた言葉だったと思う。(2016年発売のCUTかな……??)
この歌には

◯×△どれかなんて
みんなと比べてどうかなんて
確かめる間もないほど 生きるのは最高だ

という歌詞がある。
それを含めて、この歌のことを羽海野先生が「空元気」とおっしゃり、藤原さんが同意したように記憶している。空元気でも、そうして歩いていくのだと。
このお話を読んで、なんだかすとんと腑に落ちたというか、納得した覚えがある。
この歌にある通り、「理想が作った道を現実が塗り替えていく」し、大抵それはまあ、残念な方向であることが多い。
だけど、それでもやっぱり「生きるのは最高」なんだって思う。実際、パッとしなくても生きていたから、大好きな音楽に出会って、そこから沢山の、色んな年代のお友達ができて、私の世界は大きく広がったから。
そして、そうやって顔を上げていたら、もしかしたら私がこの歌の空元気につられて「よっしゃやるか!」って思ったみたいに、ほんの少しでも誰かの元気になれるかもしれないしね。

大丈夫だ あの痛みは忘れたって消えやしない
大丈夫だ この光の始まりには君がいる

そうだ。
私には、音楽から、それを奏でるひとたちからもらった力も、人とのつながりもある。
だから大丈夫だ。
私は、この歌と一緒に顔を上げて胸を張る。どこまでも、この歌が私のお守りだ。

(引用内は全て、BUMP OF CHICKEN "ray"の歌詞より)

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