で、結局VCTFの「F」って何の略なのかを調べてみた話。【2023年修正版】
結論だけ先に示すと、Fは「Flexible(可とう性のある、の意味)」の略。(JISC:日本産業標準調査会さんに念のため問い合わせました。)
※以下、引用する規格を《》内に示す。
VCTFは、JIS規格において「ビニルキャブタイヤ丸形コード」という種類名を持つコードの「記号」である。《JIS C 3306・3.表1》この表には「記号の意味」という注記があり、V: ビニル、CTF: キャブタイヤコード と記されている。しかし、これだけでは「コード(Cord)」という言葉に「F」というアルファベットが対応する意味がよくわからない。
JIS規格票における「記号」は「略語」とは別記されており、「記号」は必ずしも「略語」と一致しない。種類名をそのまま略すと実用上の不都合がある場合は別の記号(アルファベット)が用いられる場合があるものと考えられる。実際にJIS規格では、VCTFと同様に、コード類に分類される電線の記号の末尾に「F」が用いられる場合が多い。《JIS C 3301・3.表1》《JIS C 3306・3.表1》または、日本電線工業会による一覧表を参照のこと。
電気関係の国際規格であるIEC規格では、コード類を表す言葉としてFlexible cables (cords)という用語が用いられている。《IEC 60227-5》《JIS C 3662-5》「コード」が「F」という記号に対応するのはこのIEC規格との対応に基づくものと思われる。ただし、仕様として日本の規格であるVCTFに比較的近い60227 IEC 52《JIS C 3662-5・5》「ライトビニルシースコード」と呼ばれる電線の、海外規格における記号は、RVVと呼ばれていたり、VKFと呼ばれていたりと、まちまちである。
なお、最近使われ始めたエコ・マテリアル電線類の末尾の記号「/F」は「Flame retardant(耐燃性)」の「F」である。《JIS C 3612・3注(1)》
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