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ナマ足出さずの魅惑のマーメイドこと・まるごとバナナへ

まるごとバナナと言う商品がある。

興味をそそられるサムネイルに飛びついたのに本編の内容があきらかに劣っている場合、人はがっかりする。

そんな釣り動画と真逆にいるのが、まるごとバナナだと思う。

ネームそのものが本編を真芯で捉えている。

高橋のくせに近藤顔でもないし、三浦のくせに小早川顔でもないのだ。

まるごとバナナはその名の通り、まるごとのバナナが1本まるまるスイーツになっている。

まるごとバナナはちゃんとまるごとバナナなのだ。
そこに嘘がない。

例えば、まるごとバナナが幸子と言う人間であった場合、ちゃんと幸せな子供に育てられているだろうし、愛だった場合はちゃんと愛があり、勇気だったらそりゃもう勇気があるってことなのです。それは。

まるごとバナナを皆んなどのように扱っているのだろうか?

おそらく、白金あたりに住むマダムは4等分ぐらいに切って、純白のお皿に並べて、お紅茶と共にお客様やご家族にお出しするんだろう。

その上にチョコレートソースをかけようもんなら
その人はピアノを教えている側の人間だと思っていいと思う。

自身の子供のことをちゃん付けや君付けで呼ぶ姿しか想像できない。

そういえばまるごとバナナの断面を見たことがない。

白金のマダムのようにナイフで上手く切ったら、さぞ目でも楽しめるのだろうとは思っているが、髭面の一人暮らしの男に、まるごとバナナも切られたくはないと思う。

双方の意見が一致しているからか、食べ方は、もっぱら恵方巻き頬張りスタイルを採用しているが、この今の食べ方が誰も傷つけない食べ方だと口元に生クリームをつけながら確信している。

かぶりつけば、バナナがぶにゅんとなるから断面を見ようとも思ったことがない。

と言うより、見たくないのかもしれない。

すっぴんが見たい!が先行して美人と付き合いたいとは思わないし、仕事バリバリ出来る完璧タイプの人がオナラをする瞬間を見たいと思うほど暇じゃない。

恵方巻き頬張りスタイルを採用しているからと言っても、あくまでまるごとバナナはまるごとバナナであり、スイーツにカテゴライズされているのだから方角も気にしなくていいし、願もかけなくていい。

他のスイーツは食べ終わる直前に名残惜しさが襲う。
そう、もっと!と言うドーパミン由来の欲しがり成分が脳に分泌される。
甘味というのは実に後ろ髪を引く味覚だ。

その寂しさがまるごとバナナにはない。
去り際が気持ちいいのだ。
粋なのは、名前だけにとどまらない。

逆にこっちが気を遣ってしまうぐらいだ。
もう少し甘くていいんだけどなぁと思わせてくる。

不倫に向いているタイプだと思う。
後腐れなく、クールに去っていく。
しばらくしたらまたスーパーで目を合わせている自分がいる。

小悪魔系、あざと系、男なら誰もがコロッといかれてしまうと言われるあの界隈にもクールはいない。
クールは、もはやあざとくない。

夜な夜な、男を虜にする女性の特徴5選などの動画を見ることはないだろうし、YouTubeでまるごとバナナのおすすめ欄にそれらが表示されることは想像し難い。

TikTokでそれ系の物が流れてくれば鼻で笑ってスクロールしているに違いない。
電子タバコを吸いながら。
ウイスキーロックを片手に。

こんなカッチョいいスイーツを他に知らない。
褒めたい。
褒めたいから記事にした。

けど、直接好きだと伝える相手じゃない。
ここまで散々、擬人化させてきて我にかえる。

じゃあ、直接、賛辞を送れないなら開発者を褒めるべきだろうか?

いや、ちょっと待てよ
それもなんか変じゃないか?

好きになった子がいたとして、その子に好きだと伝える前に、その子のご両親を先に褒めにいくってことある?

めちゃくちゃ嫌われるだろそんなの。
ご両親にも本人にも嫌われるだろ。

ご両親がまるごとバナナに正座させて
「あの気持ち悪い子はやめておきなさい」って言うだろ。

家族を変なテーマで向き合わせることになるだろ。

ここまで書いてしまって気付いたことがある。
ここまで想いを曝け出してしまったら、次にまるごとバナナを前にしたとき緊張するのではないか?と言うことである。

もはや、スーパーで手にすることすら恐れるかもしれない。
あえて、目を伏せるかもしれない。

感情は文字に起こしたとき、それを自身が自覚するのである。

感情の外部化とは怖い。
ただ、同時に己の本音と向き合う強さを身に付けることでもある。

まるごとバナナよ、読んでくれているだろうか?
あなたを想う男は、己の本音と向き合う強き男なのです。(アピ)

そして、俺よ、俺自身よ、まるごとバナナはスイーツでしかなく、
バナナはフルーツでしかないからな!

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