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EC事業を始めること①

 デジタル化を進めていく中で、必ず検討に入るのがEC事業になります。マネタイズを端的に実現するにはやはりEC事業が必要になります。その他のDX化は、まず効率化して、その分の労働力を使って、〇〇に取り組むとの流れが多くなります。
 EC事業は、インターネットの世界に店舗を持つことと考えれば一番わかりやすいと思います。インターネットには、世界中からアクセスできるので、店舗を持てば、接触できるお客さまの数は無限大になります。音楽配信や映像関連であれば、ネットでサービス提供し、完結できますが、モノを提供する会社の場合は、実際に届ける必要があるので、すぐ始められるわけではありません。リアル店頭をベースにした上で、表面的にECを捉えると、品揃えの幅が広げられるとかの所に、焦点がいきがちです。そして、リアル店頭がベースの会社であればあるほど、店舗までの物流は構築済みなので、そこを想定することが抜け落ちてしまいます。つまり、バックエンドの想定がリアル店舗と違うということです。一見すると、簡単そうに思えるのですが、なかなかそういかないのが難しい所ですね。
 一番大事なのが、ラストワンマイルをどう構築していくかについてしっかり抑えておかないと始めたけど、物が届けれられないということが発生し兼ねません。配送伝票を貼って、出せば良いだけと考えがちですが、やろうと思うとなかなかそうだけじゃないのです。全国ECだと流石に個人宅への配送になりますので、ここを内製化するのは現実的ではありません。委託する形になります。ヤマトさん、佐川さん、日本郵政さんが大きい所になると思います。個人で宅配便を出そうと思ったら、このどれかになります。ECの宅配も基本的には同じで、この3社へ渡すまでをどう構築していくかということになります。パターン別に確認してみましょう。
①既存倉庫から発送する場合。
既存の商品を既存の倉庫から発送すれば、一番簡単と思いきや、これもこの倉庫運営を自社なのか、委託しているのかで変わってきます。自社運営であれば、自社で個人情報管理を構築し、ECで注文を受注し、梱包の上、配送業社へ渡すということで完結します。EC受注分の在庫管理をどうするかの検討が必要です。出荷が少ないうちは、空きスペースで梱包作業するとか、一定の区画で作業することで対応は可能になると思います。
一方で倉庫運営を委託している場合です。まず、個人情報の受け渡しの問題が発生します。Pマーク取得していれば問題ないのですが、その辺の取り扱いに不慣れな業者さんの場合は、時間がかかるないしはお断りになることもあります。個人情報をクリアしたとしても、上記同様に在庫管理の問題がシステム連携されるのか?入荷はどうなるのかなどなど解決しなければ始められない問題が山積みです。EC市場が拡大しているとはいえ、倉庫会社がそのOPを即時担えるかといえばそうではない場合が多いです。
②新たにE C専用倉庫を立ち上げる場合
上記記載の課題を当初から想定し、また、提供する商品の形も店頭と必ずしも一致しない場合においては、専用倉庫を立ち上げることの方が早いケースもあります。元々、ECを想定していますので、個人情報の問題やピッキングスペースなどは盛り込まれます。この時難しいのは、需要の予測です。キャパが不足していると出荷に負荷がかかり、遅延につながります。キャパが大きすぎると、保管料などコストの問題に跳ね返ってきます。
ここは探せば、いろいろな会社が対応していると思うので、ベストなパートナーを見つけることが重要です。ポイントは、ピッキング機能、システム連携、運賃になります。
③全部自社で構築する場合
①の倉庫運営が自社の場合に近い形になります。必要なのは、スペース、システム、人になります。小規模で始める場合は、事業のメンバーで梱包作業をしながら、試行錯誤していくステップもUXを想定すると非常に良いことになります。しかし、当然、リスクもあり、商品がヒットしたり、作業のキャパを早期に超えてしまうなどが考えられます。

いずれにしても、梱包して宅配便の伝票を貼って、発送するだけのような思考で始めるといろいろなところで躓くことになります。

在庫管理も簡単ではありません。どのようなフロントサイトや店舗をどこに持つかによっても変わってきますが、店頭と違うのは、在庫の引当の仕方です。店頭では、お客さまが手にとって、レジに持ってきていただいたら、それで完結します。電話で問い合わせがあり、とっておいてとかもありますが、それは商品を売場から下げて、保管しておけばOKです。欠品は店頭の状況で明確になり、お客さまも品切れしているのであれば、購入することはできません。
ECだと少し違います。ECサイト上に商品を掲載しています。この掲載と実際の在庫が連動していれば、問題はありません。ここで、先ほどのシステムになります。システムが連動していても、決済タイミングと引当タイミング、カートに入っている状態など、考慮しなければならない事象がいくつか存在します。ここもなかなか大変ですね。継続的に販売している商品で仕入れまでにそれほど時間がかからないのであれば、やりくりできると思います。しかし、終売がわかっている商品の場合は、ここの部分を想定しておかないと結果として、商品はないのに、お客さまが購入してしまうという状態を引き起こしかねません。もしくは数量限定表記や数の設定を実施するなどです。いずれにしても、ECの場合は、瞬時に同時購買が起こり得ます。何がきっかけで拡散するかもわかりませんので、この辺の対応も事前想定が必要です。
このような状況に加えて、先入先出や賞味期限、破損・汚損、販売終了商品の処理対応に、棚卸しと在庫管理といってもやらなければならないことがたくさんあります。
少し、長くなったので、続きは②として別の記事にします。


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