「ウサギのバイク」→「癖」
じゃんけんをするとき、ついグーを出してしまう癖がある。おそらく力が入っているからだろう。どうしても、なんとしても勝ちたいのだ。
ある日の夕方、風呂を洗っていなかったことに気付いた。
(あぁ、風呂を洗うのを忘れていた。洗いたくない。洗いたくない。きっと、普通に頼んでも誰も洗ってくれないだろう。)
考え出すと憂鬱で仕方ない。
そのとき、いいアイディアが閃いた。ムフフ……これなら彼らも食いついてくるに違いない。
「ねぇ、じゃんけんしない?」
ミソ君「俺、風呂洗いたくない。」
さすがミソ君、勘がいい。
王子くん「俺も。」
私「勝ったときの波動を出すと、それが現実化して、勝てるんだよ。誰が一番、波動を高くできるか勝負しよう。そう、波動じゃんけん、みんなでやろうよ!」
王子くん「やろう!」
ミソ君「(渋々)……いいよ。」
私「……。(しめしめ)」
「よっしゃ~!」「ウィーッ!」「ハァーッ❗」
奇声が響きわたるリビング。そしていざ、勝負のとき、
「最初はグーッ、じゃんけんポーン!」
二人はパー、私はグー、またしてもいつもの癖が出てしまった。さらに、高めた波動を逃がしたくないという貧乏くさい気持ちが、私にグーを出させ、結果として負けてしまった。
喜び、舞い踊る二人を横目に、
「ママ、ご飯も作らなくちゃいけないのに…」と、愚痴をこぼすも誰も聞いちゃいない。
王子くん「ママがじゃんけんしようって言ったんでしょ!」
グーしか出さないくせに、これにはぐぅの音も出ない。
私は、泣く泣く風呂を洗った。
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