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ディジュリドゥは生きている? 1


ヒノキには永いいのちがありますのや

大工さんや家具職人さんから「木は柱や板になっても生きている」、もしくは「木は呼吸している」といったような表現を聞くことがあります。

そういった意見の中でも特に、法隆寺の鬼と呼ばれた西岡常一棟梁の言葉には口伝と経験が一致した深みがあります。


「木は生きている」という表現の意味

木を加工する生業にたずさわる人たちがこぞって使う「木は生きている」っていう言葉はどういう意味なんでしょう?

家や家具や建具などを作る時に使われる木材は、8~15%の含水率に乾燥させてから使われます。無垢のフローリング材を張る時には時期にもよりますが、名刺一枚くらいのクリアランスを取ることで、梅雨時期の含水率があがって膨張した時にも対応できるようになっています。

[木の細胞モデル]左の図は木の小口の細胞モデルです。内腔の外に細胞壁があり、右の図のように内腔を流動する水が自由水、細胞壁と結びついた水を結合水と呼ばれています。

このように外気に影響を受けてあたかも空気を吸って吐いているかのような現象を「生きている(呼吸している)」という表現を使うのかもしれません。

もう一方で、西岡棟梁の「千年の檜には千年のいのちがある」という言葉にあるように、木が生きてきた時間だけ製材されたあとも使い続けることができるという、木材の耐久性を「生きている(寿命がある)」と表現しているとも言えます。

ディジュリドゥの場合はどうなんでしょう?ユーカリの木から作られることは広く知られていますが、ディジュリドゥも木として西岡棟梁の言うように生きているんでしょうか?

[Dhalinybuyでもらった作りかけのイダキ]北東アーネム・ランドでイダキ作りでメジャーに使われるストリンギー・バークという樹種。樹皮の下に白太、その下に赤身があるのがわかります。樹皮は日本の杉にも少し似ていて毛羽立っています。

次のコラム「ディジュリドゥは生きているのか?2」で、ディジュリドゥが作られる時期や環境、製作プロセスを通じて、どうやってディジュリドゥが乾燥して外気とのバランスがとれる「気乾状態」にいたるのかを紹介します。

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