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12. ディジュリドゥの上達へつながる楽器選び2

センターになる楽器を選ぶ

チャレンジングな楽器を選んだ場合、いつまでたっても何がなんだか分からない状態では成長は望めません。まずは今の自分にとって一番ナチュラルに鳴らしやすさを感じる「センターになる楽器」を1本セレクトするのがおすすめです。その選択基準は無理なく「乗りこなせてる/楽に演奏できる」という感覚があるかどうかです。

[ナチュラルなイダキ]Dhapanのパーソナル・イダキ。「ナチュラルさ」だけを重要視してイダキと触れ合うと、今はこのイダキがすごく自分にフィットする感じがします。違和感が限りなく少なく、あらゆるテンポの曲を演奏しても崩れにくく、ドローン・トゥーツ・コールがシームレスに感じる。「ナチュラルさ」=「自分にフィットする」と考えてもいいかもしれません。 【Nelson Dhapan Yunupingu】F#/G-・131.8cm/2.1kg・3.3-3.5cm/7.4-10.5cm

センターからほんの少しチャレンジングな楽器、それほど距離を感じないが明らかに「乗りこなせてない」感じの楽器をセレクトすると、どの要素が自分に足りないのかがすごくわかります。いい意味で「困ったな」とか「しんどいな」といった違和感が立ち上がる楽器をチョイスします。これがプラス側のアプローチになります。

[オープンなイダキ]D. Gurruwiwiのパーソナル・イダキ。イダキ・マスターの作品の多くがぼくらにとってはチャレンジングな楽器だと思いますが、ぼくにとってもそうで、「乗りこなせない」感じがすごくします。ピタっとイダキと寄りそいあうような感じがせず、霧の中を歩んでいるような不確かさがあって触るたびに刺激を感じます。時折「あっ!今いい!」と感じる時もありますが、いつでもパっと合わせるわけではない。 【D. Gurruwiwi】F++/F#+・144.5cm/4.2kg・3.2-3.6cm/13.6-15.5cm

次に逆方向であるセンターから少し脱力したり、ゆるめたりするようなことをしないと苦しくなったり、ビリビリ・バリバリした音になってしまうような楽器をチョイスします。こういう楽器に触れると、すぐにリラックス方向へ向かうしか道がなくなります。過度な緊張や自分の中で硬くなってしまっている所がわかったり、余分なパワーを削ぎ落としていくマイナスのアプローチになります。

[ナローなイダキ]90年代のDjakapurranのプライベート・イダキ。空洞が狭く、ガチガチに硬いサウンドで非常にタイトなイダキです。190cmを超える巨躯で知られるパワー系のプレーヤーであるDjakapurraが、キッズ・イダキと変わらぬ硬さと狭さを感じる楽器をチョイスしてる点に驚かされる。意気込んで鳴らそうとすると弾かれるので、自然と無駄をはぶいたパワーレスな方向へと導かれます。自分にとっては触れればいつも「ちがうちがう、そうじゃ、そうじゃなーい」とハッとさせられるイダキです。【Djakapurra Munyarryun】F#-/G#-・133.5cm/2.2kg ・M:2.9-3.1cm/B:8.5-9.5cm

このように自分が一番心地よく感じるセンターの楽器と、そこからプラスのアプローチになる今ひとつ乗せきれない楽器と、マイナスになる無駄をなくしてリラックス方向に働く楽器を設定して、この3本の楽器を横断的に演奏しながら試行錯誤して、どの楽器でも同じようなアプローチで演奏できるように調整していけば、楽器からの刺激をたっぷり受けて自分の演奏感が自然と安定していきます。

チャレンジングなイダキ選びのポイント

ここでのポイントは「F~G#」のハイピッチ周辺の楽器でセレクトすることです。「C~D#」のローピッチの楽器では振動がやわらかいため、微細な変化を感じ取るのが慣れるまで難しいからです。

チャレンジングな楽器選び

  • どの楽器も「F~G#」のハイピッチ周辺の楽器でセレクトする

  • まずセンターになる乗せやすいナチュラルな楽器を選ぶ

  • プラス方向にアプローチできる乗りこなせないオープンな楽器を1本選ぶ

  • マイナス方向にアプローチできる抜きやリラックスをうながすナローな楽器を1本選ぶ

  • 演奏感的にセンターの楽器から離れすぎた楽器はチョイスしない

  • センターのナチュラルな楽器と似た楽器をチョイスしない

このチャレンジングな楽器選びの主たる目的は、固定したくなる自分の演奏感をあえてゆらして、楽器に居つかない汎用性の高い演奏感を醸成することです。そして、今度はプラス側にあったチャレンジングな楽器が今の自分にとってのセンターの楽器になって1本づつスライドさせながら新たなる楽器へとチャレンジできるようになる。その結果、Larry Gurruwiwiのようなどんな楽器にも対応できるユニバーサルな演奏感が立ち上がってくるんじゃないかと思います。

中心となるnaturalから脱力へといたるnarrowへ、いまだ乗りこなせないopenを触ってnaturalにもどる。narrowからopenへ一足飛びに移動した時に、真逆と思っていたこの2種類の楽器がほとんど変わらない演奏感で鳴らせたりします。この3本のローテーションを繰り返すことで、飛躍的に自分の感覚が開いていく

3本の異なる個性の楽器をチョイスして練習するだけで、不思議なほど自分の感覚に変化が起きはじめます。イダキのささやきに耳を傾け、イダキという鍵穴に合う鍵に自分がなっていく、そんなアプローチができるおすすめメソッドです。

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