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5. 薄さによるクラックの原因と対処法

何度も同じ所が割れるのはなぜ?

ディジュリドゥの修理をしても同じ場所に何度もクラックが入る場合があります。それは一体なぜなんでしょう?音を鳴らすあらゆる楽器は振動しています。ピアノやギターは弦を弾くことで振動した音を増幅するような形状をしています。

ディジュリドゥの場合は唇と声でできた振動が空洞内部を通過しながら増幅していく長く大きな気鳴楽器、管楽器と考えられます。ディジュリドゥを鳴らした時、その振動は空洞が完全にシールされていることでボトムまで完全に伝わります。しかし、空洞内部を伝わる振動は一部薄い所があればそこで強い振動を受け続けることになります。


薄さによるクラックの原因

ディジュリドゥはシロアリが食べた空洞を生かして作られるその性質上、イレギュラーな空洞に対して厚みを均一に作ることは難しいです。ディジュリドゥ作りの現場では木材の赤身と白太という層の違いで厚みを見分けたり、指の爪でタップして厚みを確認したりして作られています。しかし、急速に木を削るグラインダーや自動カンナのような電動工具を使うと厚みを均一に作ることは難しそうに見えます。


[赤身と白太]Dhalilnybuyで若者からもらった製作途中のイダキ。ブッシュナイフでフレーク状に削った跡が見えます。白太の下に赤身がのぞいています。シロアリの食べ具合を見つつ、白太の削り具合を調整するように削ると比較的均一な厚みに仕上げることができます。手間ひまのかかるハンドツールならではの作業工程です。

シロアリが将来枝になっていく部分を喰い進んだり、溝ができるような形に喰っていたりと、空洞の形状が入り組んでいる場合も多く見られます。その場合も、厚みにばらつきが出やすいです。このような周りとくらべて極端に薄い場所にクラックが集中することがあり、その場合同じ箇所に何度もクラックが起こりやすくなります。


薄さによるクラックの対処方法

爪でタップすることで木の厚みはかなり正確に判断することができます。クラックの周辺をタップしながら一番平均的な厚みの場所と同じ音になるまでエポキシボンドを盛り上げて厚みを増すことで、度重なるクラックが起らないようにすることができます。

エポキシボンドは粘度が低く、すぐに硬化がはじまるので作業時間が短く、一回で必要な厚みを出すことは難しいです。「エポキシ塗布→研磨→タップして厚みの確認」という工程を2~3回繰り返す必要があります。

厚みの均一性を高めるには、極端に薄い部分「A」、薄い部分「B」、目標の厚み「C」の3つをマジックペンでゾーニングをして「A++」とか微妙な違いを書き込んでおくと、スピード感が求められるエポキシ塗布の作業時に役立ちますよ。

タップして音で判断することが難しいと感じたなら、修理箇所の赤身と白太の状況で薄い部分を特定したり、ペンライトで空洞内部の状態を見て薄い部分と思われる部分に厚くエポキシを重ねていくというのもいいかもしれません。

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GORI
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