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ディジュリドゥの波形


1. 波形の見方

みなさん音の波形で見たことってありますか?まずは1分の動画で子供でも波形の基礎がわかるNHK for schoolの動画を見てみてください。

波形の上下の振れ幅は音量を、左右の振れ幅は音程を表しています。これだけ分かっていると、この先のチンプンカンプンな内容も少し分かりやすくなります。

2. 自分の音とアボリジナルの音の波形の差

自分が演奏した音と現地録音した音の両方をパソコンで編集していた時、ふと波形の違いに気づきました。現地録音してきた音の波形は上下の振れ幅がほぼ均一でしたが、ぼくの演奏した音の波形は上下の振れ幅に差があるっ!

[昔の自分の音の波形]かなり微妙なんですけど、波形の上下の振幅の差が多少あります。このように主に下側が小さく、上側が大きい形になっていました。特にF以上のハイピッチで、バックプレッシャーが高い楽器でこの傾向は顕著にあらわれるように記憶しています。

実験してみたところ、屋外と屋内という録音した場所によって違いはありませんでした。録音環境は波形に大きく関係しておらず、ディジュリドゥの演奏方法によってその差が生まれていたようです。

[現在の自分の音の波形]波形の上下の振幅の差はあまりありません。なぜかアボリジナルのディジュリドゥ奏者の音の波形はほぼこのような上下が同じ波形になっていました。

波形というデジタル的な指標で見比べた時、自分の演奏とアボリジナルの演奏とになにか違いが存在しているということが明確になって、鈍器で頭をガツンと殴られたようなショックを受けたのでした。


3. 波形の非対称性はなぜ生まれるのか?

波形の上下の振れ幅に違いが出る「波形の非対称性」は一体なぜ起こるんでしょう?

イギリスの音響専門誌「Sound on sound」のコラム「Why do waveforms sometimes look lop-sided ?」にそのヒントがありましたので引用します。

音を発生する上で、多くの音響ソースは本質的に「正の気圧バイアス」を持っているということです。話したり歌ったりするには息を吐かなければならないし、トランペットを吹くには管を通して空気を吹かなければならない。つまり、これらの例では、音波の圧縮側のエネルギーが、希薄側のエネルギーよりも本質的に多く、それが非対称な波形の一因にもなり得るのだ。

「Why do waveforms sometimes look lop-sided ?」 - Sound on sound Magazine

専門用語が多すぎて一読してもなんだかよくわかりません。簡単に言うと音波には圧縮側(波形の上側)と縮小側(波形の下側)があって、その圧縮側のエネルギーが縮小側より大きい時に波形の非対称が起こる、ということのようです。

自分で文章書いていてどうもまだピンと来ません。トランペットが例に出されているように息を吹き込むパワーが強い場合になるのかな~くらいに感じました。これをディジュリドゥに置き換えるなら、アボリジナルの人たちはあまり吹き込んで鳴らしてないってことになるのかもしれませんね。

カンビ、マーゴ、イダキといったディジュリドゥの種類や演奏スタイルの差によって波形に変化はありませんでした。ですので、ぼくたちバランダとアボリジナルの演奏方法になにか歴然とした差があるのでしょう。

[3種類のディジュリドゥ]上から順にカンビ、マーゴ、イダキ。それぞれに特有な演奏スタイルがあり、描かれるペイントも地域や氏族によって異なっています。


4. 演奏を変えて波形の非対称性をなくすには

現在の自分の演奏の波形はアボリジナルの人たちと同じような上下がほぼ一致した波形になっています。波形の非対称性に気づいた頃の演奏と今の演奏と何が違うのか、振り返ってみるとおおむね以下の内容に違いがあるように感じます。

  • 唇をギュっと閉じるように演奏していた→今は唇がどう振動しているかよくわからない

  • 唇の手前や胸元に圧迫感があった→圧迫感は感じなくなった

  • ブレス中心の演奏だった→ハミングによりのっかかる演奏になった

音量は以前と比べてさほど変わっていないと思うので、演奏の方法に違いが出ることで波形に変化が出たのだと思います。

今では無料のスマホのアプリで気軽に録音をすることができるようになりました。もし録音したあなたのディジュリドゥの波形に非対称性があるなら、上記のポイントを「How to play didjeridu」のマガジンを見ながら試してみてください。

波形の非対称性が無くなると共にディジュリドゥの演奏に圧迫感が少なくなっていくので、楽器を鳴らすことが楽になっていくことを実感できますよ。

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