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噴水を刀で斬っている人
噴水を刀で斬っている人
今日は、派遣のアルバイトで神戸へやってきた。
私にとって神戸は、大阪や京都ほどの馴染みは無く、これまでに来た回数も思い出して数えられるほどである。
その分、神戸へ来た時のことを振り返ると、どの時もそれなりの思い出があり、今回はそうした思い出を振り返ろうと思って電車に揺られていた。
そして、バイトが始まるまで時間があったので、メリケンパークへやってきた。
ようやく暑さも少し落ち着き、海からの風が気持ち良いを少し通り過ぎるくらいの強さで吹く中、丁度良い屋根を張ったベンチがあったのでそこへ座る。
すると、その目の前には噴水広場があり、その周りには、体操着姿の中学生たち集まっていたり、ハットを被った男性が座っていたりしていた。
そしてもう一人、小学生から中学生くらいの背丈の男の子がいた。
彼は、手に持った刀のおもちゃで、噴水を斬ったり、噴水の穴を塞ごうとして刀を刺したりしていた。
その様子は無邪気というよりはいい加減で、手に持った刀を持て余して、とにかく何かを斬りたいという衝動を噴水にぶつけているようだった。
分かる。そら刀のおもちゃ持ってたら、なんでもいいから斬りたくて斬りたくて仕方ないよな、と思い、神戸の思い出よりこれを書こうと思った。
そんな風に思って彼を見ていると、近くにいたハットを被った男性に斬りつける振りをして、その後、二人で立ち去っていった。
そういえば、私も小さい頃、何本か刀や剣のおもちゃを買ってもらっていた。
一人っ子で暇を持て余していた私は、当時住んでいたアパートの畳の部屋で、刀を振り回し、武士さながら一心不乱に敵を斬りまくっていた。
そして、敵を倒すと、当時ハマっていたゲームの真似をして名乗りを上げていたことを思い出す。
敵将!討ち取ったりー!
曇り空と改装中のポートタワーとともに