
時間帯と値動き ~日足の形成軌道~
FXトレードを勉強すると、ロンドンタイムやニューヨークタイム等の言葉を聞きます。こういった時間帯の区切りをセッションといいます。
前回はこれらの時間帯の区切りとして、月曜、火曜などの曜日に注目する事で、米ドル円の1週間の流れを把握しました。
今回はこのようなセッションを通して、米ドル/円の1日の流れを見ていきます。前回同様、他のサイトと差別化するために縦軸と結び付けて整理したいと思います。
本記事はこちらの記事の続編です。独立して読めるようになっていますが、できれば先にこちらをお読みください。
自分の通貨ペアのスペシャリストになるべきだと思うのです。
1.時間帯の偏り
週足の中は曜日毎に偏りがあったため、曜日(日足)で区切り研究しました。日足の中はどのような偏りがあるのでしょうか?
市場は毎日、次の画像のように概ね1時間刻みのスケジュールで進んでいます。特に、東京市場や、ロンドン市場、ニューヨーク市場、それらの重なるコアタイムは重要な時間の節目となります。
一般的に東京時間やロンドン時間、ニューヨーク時間等と時間帯を区別しますが、被りもあってややこしいので、第1セッションから第4セッションをそれぞれの市場の開場に合わせて区切って定義しました(※画像参照)。残った日足の開いた直後の7:00~8:59までは、第0セッションと名付けます。

(冬時間は11月第1日曜日から。夏時間は3月第2日曜日から。※ブローカーによって変動あり。)
このようなセッションで区切る事で、日足の流れがつかみやすくなります。これを4時間足などで区切ると区切り方が上手くないので、あまり面白い結果が得られません。僕は4時間足で区切って考えていたときがあったのですが、結局上手く1日の流れを捉えられませんでした(笑)。これは1時間足を見る事が重要であることを意味します。
そして、これらは毎日繰り返す事であり、各第0セッションから第4セッションは平等なわけではなく、性質違い、偏りが生まれます。市場はどの時間も同じように動いているわけではないのです。
提案①
・デイトレーダーは1時間足を確認しよう。
・市場は時間帯ごとに偏りがある。各セッションでの値動きを意識し、トレード戦略に組み込もう。
2.ボラティリティの傾向
次に1時間足毎のボラティリティを見てみましょう。次の棒グラフは米ドル/円の1時間足毎のボラティリティです。こちらのサイトで他の通貨ペアも計算できます。

2024年11月~2025年1月29日 (冬時間のみの12週約60営業日で集計)
※横軸は日本時間に修正済
皆さんご存知のように、月に一度の雇用統計のタイミングでボラティリティが大幅に拡大します。このグラフを見ると、例えば21時から22時はボラティリティが拡大していると言えます。22時に突然ボラティリティが拡大するという事は、小規模な雇用統計が発生しているのと同じ事です。日々そんな事が概ね決まった時間に起きているわけです。
そして、前回の記事の復習ですが、ボラティリティが拡大するタイミングでダマシが発生したり、レンジのブレイクアウトが起きるので、もしエントリーするならば、そのタイミングを待ってからエントリーした方が良いです。
そうしなければダマシにストップを狩られたり、ブレイクアウトを狙っているのにブレイクしなかったという事が頻繁に起きます。
先程のグラフに、この記事で定義したセッションを対応付けたものが次のグラフです。それぞれ市場の開場時刻と一致する第1、第2、第3セッションは、各セッションの開始前の1時間足と比較してボラティリティが拡大する傾向にあります。先ほどの市場の1日の流れと照らし合わせてください。

特に、第0セッションと第4セッションはボラティリティが少なく、デイトレーダーにとってあまりトレードする価値はありません。また、第0セッションの時間帯はスプレットが非常に大きくなる傾向もあります。
提案②
・第1、第2、第3セッションの開始時はダマシやブレイクアウトが起きやすい。そのタイミングを狙ってエントリーしよう。
・第0第4セッションは握り続けると第1セッションのボラティリティ拡大のタイミングでストップを狩られる可能性がある。エントリーを避けよう。
ダマシを利用したり、ストップを狩られないエントリーする方法は散々別の記事で書いているので気になる方はこの記事最後のリンクをお読みください。
3.価格が折り返すタイミングの傾向
また、価格が折り返すタイミングをセッションで区切って簡易的な統計を取り調べてみました。結果を先にまとめると次がいえます。
■日足が陽線になるとき
8割程度の確率で第0・第1セッションで最安値を形成する。
そのうち、ほとんどが第1セッション(5:20の比率)
8割程度の確率で第3・第4セッションで最高値を形成する。
そのうち、ほとんどが第3セッション(3:20の比率)
■日足が陰線になるとき
8割程度の確率で第0・第1セッションで最高値を形成する。
そのうち、ほとんどが第1セッション(5:20の比率)
8割程度の確率で第3・第4セッションで最安値を形成する。
そのうち、ほとんどが第3セッション(3:20の比率)
■第2セッションは
8割程度の確率でその日足の最高値にも最安値にもならない。
これらの内容は次の簡易的な統計から導かれたものです。統計内容を公開しておきますので、信用度は各自推し量ってください。
・チャートの見方

・統計詳細


これらの統計値から、第2セッションが最高値にも最安値にもならない確率は、「第2セッションが最高値でない。かつ、第2セッションが最安値でない。」という事ですから、次のように約8割と求めています。
(100%-10%)×(100%-7%)
=0.9×0.93
=0.837
≒84%
4.日足の形成軌道
■日足の形成軌道具体例
ここまでの話をまとめると、大体次のようなイメージができると思います。

日足の形成軌道のイメージやセッション毎の値動きの性質の違いへのイメージを高めるために具体例を見ておきましょう。
ここまでの内容と照らし合わせてください。
日足小陽線の例

日足大陰線の例

日足駒線の例

10:00~11:00氷見野日銀副総裁の発言がありました。
■日足の形成過程イメージ
僕のイメージをまとめておきます。もしよければ再度上の具体例と照らし合わせてください。また、トレードプランの参考になればと思います。
ただし、あくまで個人のイメージです。
■第0セッション ボラティリティ 小
・このセッションはボラティリティが低いため、第1セッションでボラティリティが拡大したタイミングでストップを狩られる事が多い。
・8:00のH1がD1Low、D1Highとなる事もあるが、稀で、かつ第1セッションのエントリーで間に合う。
■第1セッション ボラティリティ 大
・1日の走り出しになりやすいのがこのセッションの特徴。
・特にボラティリティが拡大する9:00、10:00のH1ロウソク足の下髭や上髭がそのままD1 Low D1 Highになりやい。
・したがって、日足を1本丸々狙ったり、スイングトレードをするならば、僕はこのセッションで入る。
・第2セッションの特徴を踏まえて、このセッションだけで完結するデイトレードをするのもあり。
■第2セッション ボラティリティ 中(たまに大)
・第1と第3の中間の押し目や戻り目のような複雑な動きをしやすいのが特徴。やや難易度が高い傾向がある。
・もちろん駒線の例のように第1や第3と同じぐらい動くときもある。
・このセッション内でデイトレードをするならば最初の1時間・2時間程度でエントリーから決済までを完結させるとやりやすい印象。
■第3セッション ボラティリティ 大
・時間的な幅が短い割によく動き、その日の最高値や最安値を形成しやすい事が特徴。最も時間帯効果の面で効率の良いデイトレードが実現しやすい。
■第4セッション ボラティリティ小
・大抵の場合この時間帯には多くのトレーダーが手仕舞いし、閑散とした雰囲気である事が特徴。ここから入るのは辞めた方が良い。
例えばですが、今回の記事と前回の記事を合わせると次のチャートの水曜や、金曜に例えばこんなすごいデイトレードができそうです。

エントリータイミングが時間軸から絞り込めるので、いつチャートを見るべきかよくわかる。
5.まとめ
■要点整理
時間帯毎に値動きの性質は偏りがあり、性質が変化する。
提案①
・デイトレーダーは1時間足を確認しよう。
・各セッションで値動きを意識し、トレード戦略に組み込もう。
提案②
・第1、第2、第3セッションの開始時はダマシやブレイクアウトが起きやすい。そのタイミングを狙ってエントリーしよう。
・第0第4ストップを狩られる可能性がある。エントリーを避けよう。
■日足が陽線になるとき
第0・第1セッションで最安値を形成する。
第3・第4セッションで最高値を形成する。
■日足が陰線になるとき
第0・第1セッションで最高値を形成する。
第3・第4セッションで最安値を形成する。
■第2セッションは
最高値にも最安値にもならない。
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米ドル円のいくつかの具体例を確認しました。
■おわりに
かなり長めの記事になりましたが、どうだったでしょうか?上手い人が時間帯を気にする理由が何となく理解できたのではないでしょうか?
僕は、日足を一本狙ったり、各セッションを1つだけ狙う1時間足数本をとることが多いです。そういった事をするには自分の通貨ペアについて精通している事が相当有利につながります。通貨ペアは絞り、自分の通貨ペアのスペシャリストになりましょう。
次回はさらにセッション内を見ていき、ダマシにあたるものが実際にどのようなものなのか、さらに詳しく見てみましょう。


■参考記事
・ロウソク足の見方
・前回の記事
・この記事は発展編です。興味がある方は基礎編をお読みください。
エントリー方法中心にその他もろもろ僕のテクニカルの基礎的な考え方を書いています。