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なまもの、ガラパゴス諸島へ行く 13 ~脱エクアドル記~
パナマとはどんな国か?それをほぼ見る間もなく出国する。
エクアドルの国家緊急事態に巻き込まれたままのHくんとミッシェルはどうなっただろうか。
朝起きると「なんとか空港には辿り着けた」というようなことがメッセージで来ていた。
出国手続き後、搭乗を待っていると見慣れた顔が!
Hくんだ!!
無事エクアドルを脱出できたらしい。
詳細はLAで!と言葉を交わしそれぞれの乗り継ぎ便へ向かう。
よかった。本当に良かった。
LAに着いたのは昼過ぎで入国審査は相変わらず長蛇だったが、特に問題なく入国できた。
今日は空港から遠くはないが近くもない、高級ではないがそこそこお値段がするホテルというかモーテルに泊まる。
急に寒くなった。
この国では今テロは起こっていないし緊急事態宣言は出ていないけど
あまり治安の良い地域でもなさそうで部屋にこもってテレビを見ていた。
テレビではグアヤキルのテロと国家緊急事態宣言について1時間に一回はニュースで流れていた。
日本でどのぐらい報道されているかはわからないけど、とりあえず職場には
「色々あって予定よりも出勤が遅れますが無事です。」と連絡した。
全力を尽くして今、ここにいるのだ。
夕方にそんな服どこに仕舞ってたの?と思うほどのロングダウンで着膨れたHくんが到着し、無事の再会を喜び合った。
ミッシェルは昼にグアヤキルを出ているのでLAに着くのは23時頃だろう。
この地域は完全に車移動を前提とした都市計画のようで
食事に行くのも安全ではなさそうだったのでPanda Expressというアメリカのドラマによく登場する中華料理のファストフードをUber Eatsで宅配してもらった。
バンビはまだ体調が万全でなかったので小さいボックスを注文したけど十分に大きく、健康なひごっちとHくんにも大きめのボックスは大きすぎたようだった。
ミッシェル抜きで話を進めて申し訳ないが、空港で別れて以降のHくんたちの話はこうだ。
空港道路の封鎖が解除されたので、やっぱりベッドで少しでも横になりたいと思ってシャトルバスで帰ったが
ホテルの入り口は完全に封鎖されており、裏口のようなところへ連れて行かれた。
裏口も厳重にバリケードされていて中のスタッフに隙間からパスポートを手渡して宿泊客である照明をしてからようやく入れてもらえたそうだ。
ホテルの中は特にいつも通り和やかだったけどレストランなどは休業していたから部屋にあった有料スナックを食べて凌いだ。
でももう空港へのシャトルバスは休止で夜間外出禁止令も出ているので普通に考えたら空港には行けなかった。
ダメもとで23時ごろにレセプションでもう一度相談すると
「わかった。じゃあこっそり空港まで送ってあげるから2時ごろに来て。」
と言われたらしい。
2時ごろに行くと個人の乗用車を回してきてくれて2人を乗せてくれた。
「費用は…」と言いかけると
「まずは、無事到着してからね。」と言われそのまま出発した。
幸い無事に空港に着き、金額を聞くと「5$」という。
この値段はあの空港近辺の地域から空港までのタクシーの通常価格だ。
命を張って、もしかして法を侵してまで送ってくれたのに深夜料金すら取らないのか。
彼らはせめて10$支払って「本当にありがとう。」と別れたという。
おおお、ホテルの人よありがとう!!!
あなたの助けがなければ辿り着けていないよ!
この日の23時ごろ予定通りミッシェルは到着し、そんなにお腹空いてなかったけど、Panda Express大を頑張って食べて寝たらしい。
また早朝にLA空港へ行き、順調なフライトで東京羽田空港へ着陸した。
日本はとっても寒かった。
入国手続き後、旅行者っぽい海外の人に4人の集合写真を撮ってもらったけどみんなヨレヨレだった。
長い長い旅。40歳記念の生物学科同級生の旅。
時差ボケは2日ほどで戻ったけど、それからバンビは10日間毎日12時間睡眠した。
そして頻繁にガラパゴスの夢を見た。
トラブルで帰れない!というものもあったけど
美しい自然と街並みをみんなと楽しく旅するものだった。
時折、目が覚めて今ここはどこかがわからなくなった。
ある日見た夢には一緒に来れなかった”ドンキー”が出てきた。
そのことを本人に伝えるとドンキーは「え!あたいもちょうどガラパゴスっぽいところをみんなと旅する夢見たよ!」
うちらは一緒にガラパゴスに行けたんだ。夢の中で。
また、いつか必ず行きたいと全員が口を揃えたガラパゴス諸島。
素晴らしい場所でした。
そして、時折連絡をくれて日本のことを気にかけてくれているボリス。
エクアドル、また行きたい素敵な人がいました。
終