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なまもの、ガラパゴス諸島へ行く4 〜ヒルクライム de サンクリストバル〜

ガラパゴス諸島の多くはガイドが一緒でないと入れないが、一部は人間が住む居住区で、他の一部はルールを守ればガイドなしでも訪れることができる。
全てをガイド付きツアーで回ると膨大な費用になるので、ツアーと自力のハイブリッド型で島を冒険する予定。
自力で散策するための足=自転車を貸してくれるお店を探し、明日の朝までに人数分用意してくれる約束でお別れした。
翌朝お店に行くと「あと30分待ってね…」という。
その後さらに1時間後に…という感じでどれだけ待たされたかはもう忘れたけど
慌てふためいたスタッフが自転車に乗りながら片手でもう一台を牽引させて複数台の自転車をかき集めていたらしい。5台の自転車がようやく揃った!

ウミイグアナとアシカは探す間も無くビーチに街に寝そべっており
ベンチに腰をかければフィンチが
街から少し離れた海岸に行けばアオアシカツオドリが

こちらを特に気にする様子もなくのんびりと過ごしている。

散策し疲れて街に戻ってきたのは少し遅めのお昼時で、次々とお店が閉店し始めた。
しまった!シエスタだ!

幸い遅めまで開けているレストランに入ることができた。
そこで食べた初めてのセビーチェ。
汗を出し尽くした体に染み入る塩味と酸味で和えられた魚介!
旅の間何度も各地で食べるほどみんなのお気に入りのメニューとなった。

翌日は自転車で遠出して山を越え、ガラパゴスゾウガメを見に行こうということになった。
日本出国時から風邪気味だったH岡くんは大事をとってのんびりするとのこと。
「お昼頃には戻るよ」と言い残して4名で出発した。

しかし、想像以上に激しいアップダウン。高地に行くにつれ怪しくなる雲行き。
コンディションの悪い自転車。
かつては火山の火口だった湖”El Junco”は深い霧に包まれている。寒い。
ここまで来るのにヘトヘトになったみんなは
「もう帰ろう…これ以上は帰るのも大変だし、この天候ならこの先も期待できない」という雰囲気になっている。
すると向こう側からやってきた観光客が言うのだ。
「この向こうの”Pueruto Chino”でたくさんのガラパゴスゾウガメを見て大興奮だったよ!」と。
バンビは帰りたそうなみんなに「行こう」と圧力をかけた。
「やった後悔よりやらぬ後悔」と自分に言い聞かせて。
El Juncoがこの辺りの最高地点なのかこの先はほぼ下り坂だった。
下れば下るほど天気は回復し一気に晴れて暑くなった。
ハイになり颯爽と駆け抜けていると危うく通り過ぎそうになった。
“Galapaguera de Cerro Colorado”と書かれたガガラパゴスゾウガメの保護繁殖センターにたどり着いた。
園内は大小様々なガラパゴスゾウガメがのしのしと歩いまわっている。
El Juncoで会った観光客が言った通り、皆疲れを忘れて大はしゃぎした。

ガラパゴスゾウガメによって力を得た一行はもう一踏ん張り下山して美しいビーチPuerto Chinoでアシカとアオアシカツオドリを間近に眺めた。

さあ、そろそろ帰ろうか。ていうかH岡くんはお腹を空かせているだろう。お昼時はとっくに過ぎているのだ。

ああ、そうだ。あの山道をもう一度越えなきゃならないんだ。もう自分たちも腹ペコ。
ミッシェルのeSIMの電波は圏外でタクシーを呼べそうもない。
そこにいたPuerto Chinoのレンジャーらしき人に「街に戻りたいんだけどタクシー呼んでもらえない?」と相談すると、今まさに誰かと契約を交わして出発しようとしている車を呼び止めた。
あっさり交渉は成立し、すでに乗っていた女性と同乗する形で連れて行ってもらえることになった。
1人10ドル。現金が貴重な身としては辛いがあの山を越えるのはもっと辛い。
幸いガラパゴスのタクシーは基本後部に立派な荷台がついた5人乗りの車。
ワゴンとトラックの合いの子のような型。ほとんどがTOYOTA製。
全員の自転車を乗せて出発した。

一緒に乗せてくれた女性はこれからEl Juncoに行くらしい。彼女がEl Juncoを散策している間に我々を宿へ送り届け戻ってくる頃に彼女をピックアップするちょうどいいプランのようだ。

タクシーという裏技によって帰ってきた我々をH岡くんがびっくりして迎えた。
「思っていたよりもずっと早かったね!もっと遅くなると思っていたよ。」

驚くことにこちらは全く雨など降らなかったらしい。
この地形の起伏と海水をたっぷり含んだ雲がもたらす雨による気候のバラエティが植生の変化をもたらし、それらを食べる動物たちの多様な進化をもたらしたということなのだろう。

慌ててバンビとミッシェルは宿を飛び出す。
銀行が空いているうちに両替へ!
駆け込むとクリスマス休暇を終えた銀行が空いており人がわんさかいる。
警備員に尋ねると「日本円は両替できません」

ミッシェルは絶望。

バンビはATMの列に並ぶ。
どうやらこれまで勘違いした暗証番号で複数回アクセスしたことによるロックエラーだったらしいことは、日本に電話して確認済みだったので
震えながら正しい手順と正しい番号でATMのボタンを押す。

しばらくの間があり、突如ドル札が出てきた。やった!成功した!
ガラパゴスのATMは現金があっという間になくなるので一回200ドル、最大1人3回まで(ただし現金無くなり次第終了)というルールがあるようだ。
上限値600ドルを引き下してみんなと合流した。
ようやく借金を返してもらったみんなも大喜び。
これでいくらかこのチームの貧困はマシになったのだ。



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