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そういえばミャンマー④〜夜を駆ける〜

定員15人ほどのマイクロバスは運転手と助手席の料金やら何やら管理するスタッフで運営されており
後部座席はたくさんの荷物で埋め尽くされ
バンビ以外は地元の人らしき人で席が埋まっていた。
値段はもちろん安い。
道中ミャンマーらしい大量の藁や野菜を積んだ荷車と牛車を追い越して進む。

日が暮れる頃バスは山道に入りもはやどこを走っているのか真っ暗でわからない。
しかしバスは一切のスピードを緩めず闇の中を乗客を時折宙に浮かせながら進み続けた。
どれぐらい時間が経っただろうか。
突然視界が明るくなり大きな食堂のようなところに停車した。

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スタッフから40分ほど滞在するからトイレとか済ましとけ、と言われた。
「バガンには何時に着くの?」と尋ねるとなんと、深夜2時とのこと!
おおお、最も中途半端すぎる時間!
常日頃、初めて行く街には日が暮れる前に到着するように心がけているバンビだが
そんな自分ルールを一切無視する丑三つ時に現地入りせねばならないのだ・・・
多分治安は悪くはないができれば避けたかったが仕方あるまい。

スタッフや他の乗客はトイレの後にめいめい食堂で食事を取っている。
時計は20時を指しており、到着も2時とのことなのでバンビも食事をここで取ることにした。
相変わらずメニューは読めないので一番上のやつとトイレが心配ではあるが思い切ってミャンマービールを注文した。
昨日とは違う見た目の汁なし麺が登場。
今もこの料理の名前はわからない。

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ミャンマーで食べた料理はどれも美味しかった。他の国とは違った味わいだった。
でもどれも名前がわからないのでまた同じものを注文することはできないんだろうな。

1時間程度滞在してバスは再び夜の道を猛スピードで走り出した。
このバスも海外にありがちなエアコンが効きすぎでパッカブルダウンを着用しながらうつらうつらしていた。
座席の上にはエアコン吹き出し口が2つあり、何度も先ほどから閉めているのだが
寝ている間に誰かが1つだけ開けるのだ。
誰だ、開けるやつは!?
あの助手席のスタッフだろうか?
それとも暑がりの他の乗客だろうか?
食堂から戻って再び吹き出し口を閉めて走り出した。
くそう。ひどいやつめ。犯人を捕まえて一言申してやる!
そう思いじっと待っていると誰も来ていないに吹き出し口が開いてたのだ!
どうやらバスの振動で徐々に吹き出し口が開いてしまうようだ。
誰も悪くない。誰も悪くない。ただ堪えるしかなかった。

バスは超冷蔵の状態でスピードを緩めることなく
寝ているバンビを時折通路に放り出し(もちろんシートベルトは無い)ながら進んだ。
他の乗客も皆寝ているし、驚くべきごとに何度宙に浮かんでもバンビは寝続けた。
おそらくバンビも他の乗客も寝ているというより気絶しているのに近かったのだと思う。
バガンに着く頃にはバンビの後頭部は擦れすぎて鳥の巣と化していた。

予定よりも早い深夜1時ごろバガンバスターミナルに到着した。
宿はバスターミナルから3kmほどのところにある。
タイで長距離バスから降りた後、ついでだからと宿まで乗せて行ってもらったことがあったので
スタッフにダメもとで「宿まで連れて行ってもらえない?」と聞いてみるもにべもなく断られた。

小さな外灯のみで照らされた人影少ないバガンバスターミナルに深夜1時にバンビは放り出され
相も変わらずバスは猛スピードで颯爽と立ち去っていった。

シクロのようなものに乗った青年が話しかけてくる。
宿まで5000チャットだという。

もう残金が少ない。バガンは入域料というのが25000チャットとられるという話で
その徴収がいったいどのタイミングで現れるのか不明だったが
もしすぐ必要であれば残金がかなりギリギリなのだ。

シクロに安くならないか聞いてみるが深夜だから安くならないという。
3kmなら歩いて40分程度だろう。歩いて行くわ、というがさすがに女性で一人歩きは危ないという。でも安くもならない。
しぶしぶシクロに乗ることにした。

真夜中の真っ暗な道を走り始めて歩かなくてよかった、と思った。
青年がこぐ自転車の音が響く闇の中、なんやかんやと世間話をした。
その途中に入域料を徴収する場所があり予定通りの25000チャットを取られ残金は0になった。

1日早く到着したバンビを宿の人は暖かく迎えてくれた。
ドミトリーの部屋は5つのベッドが並んでいたが今夜はお客はバンビ一人で誰に気兼ねするでもなくシャワーを使いぐっすりと眠った。

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