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なまもの、ガラパゴス諸島へ行く7 〜地球との対面〜

おはよう。部屋の大きな窓から美しいビーチが眺められるなんて、なんと素晴らしいことか。


イサベラ島の街はサンクリストバル、サンタクルスよりも素朴だった。

派手で都会的な装飾のお店はほぼなく、街の道は砂浜と地続きだった。

宿から街へ向かう一本道の、ビーチに溶け合うような街並みは忘れられない。


その、道沿いの宿に程近い小さなカフェで朝食を取ることにした。

このお店の料理はどれも美味しく、お店のおばちゃんは優しくキュートで

3泊4日の短い滞在中に何度も訪れた。

みんなのお気に入りはエンパナーダというチーズや肉がはいった巨大餃子みたいな食べ物。

バンビのお気に入りは arroz con camaron というえびのチャーハンみたいなもの。


今日はメンテナンスDAY。ゆっくりと体調を暮らしを整える日。長く旅をするにはそういう予定のない1日も大切だ。

明日、明後日のツアーの予約や自炊用の食材買い出し、ガイドなしでも訪れられるビーチやフラミンゴラグーンをおのおの訪れた。

ガラパゴスの外食は観光地価格なのでそこそこ高く、フルで外食すると円安も相待って破産するので、自炊と外食を織り交ぜながら暮らしていた。

そういった需要を考えてなのか、どの宿にも共用か個別のキッチンがついている。


全員揃っての初めての自炊の晩御飯。そこで事件は起こった。

最後まで調理を続けていたひごっちの分の副菜が一皿なかったのだ!

頑張ったのに食事を奪われたひごっちの悲しそうな顔…。そらそうだ。ごめんなさい。


団体行動におきがちなこういった仲間内のトラブルを回避するためにもメンテナンスDAYを設けたはずだが起きてしまうのがトラブルである。

なお、バンビはすでにこの旅の中で2度ブチぎれているのでメンテナンスDAYの効果があるのかは不明。

さあ、一晩よく寝て明日はみんな仲良く火山に登るのだ。


ガラパゴス諸島は西側に溶岩のホットスポットがあり、東に向けてプレートテクトニクスによって島が移動していくにつれて溶岩が供給されなくなるため火山の成長は止まり、島全体が低山下するらしい。

つまり西側に行くほど島としては若く、イサベラ島は有人島の中で最も若い。そして多くの活火山を有する。

今日はそのうちの一つであるSierra Negraに登る。

登るといっても途中までドアも窓もない観光地っぽい開放的なマイクロバスに乗せられていく。

しかしその日は日差しはほぼなく、開放的なバスは寒くすら感じた。背中に背負った凍らせておいた飲み水2Lはただのお荷物である。

山道はアップダウンは乏しく、代わりに巨大な牛糞がところどころ落ちている。

牛糞をかわしながら進むと真っ黒な巨大なクレーターが現れた。

何年か前の噴火で発生したものだったと思う。確か。間違った記憶かもしれないが。

更に進むといよいよ山頂は赤と黒の溶岩質の岩肌がゴツゴツと露出してた。ゴジラの背中を歩く気分だ。

枕状の黒い溶岩が連なる景色を眺めて”りさこちゃん”は言った。


「地球だ…」


地球が内部を晒しているその景色の向こうには諸島の中で最も若い島、フェルナンデナ島が見えた。今も成長し続けている島々。


帰りはひたすら下山。他の同行者の皆さんも全員が麓のトイレに行列をなした。



実はガラパゴス諸島には地ビールが結構ある。ブリュワリーの直営レストランもいくつかあり、イサベラ島にあるブランドはZaroaという。今宵はそのZaroaに行ってみよう。

お店はどちらかというと街の外れの住宅地っぽいエリアにあった。

フードメニューはなくドリンクのみ!という潔い感じだったのでビール片手にテーブルに置かれたジェンガをしながら時を過ごした。


帰り道に屋台のバーベキュー串片手に公園で遊ぶ子供たちとくつろぐおじさんたちを眺めた。きっと、これがガラパゴスの休日。

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