KPOPの激流に埋もれる隠れ名曲
韓国ビジネスは新陳代謝がものすごく良い。
音楽とは関係のない業界で韓国に関わりながら働いている日常の中でも感じているけど、韓国人はとにかく「次から次へ」精神が凄まじい。
日本人としては「いやちょっと待って、ついこないだこれやったばっか…ってかまだやってる…もうちょっと様子見させて…ああっ…」となってしまう事が少なくない。(気が立ってる時はキレそうになる)
KPOP界では2018・19年頃から特に年間のデビュー数が爆増、多分50組くらいはデビューしている。というより、ネームバリューのない事務所からデビューしてもそこそこ人気が出るグループが増えたという方が正しいのかもしれない。
一昔前は大手~中小事務所と弱小事務所の差が明確で、弱小事務所のグループにスポットライトが当たることは殆どなかった。
それが今や世界的アーティストとなったBTS、シンデレラストーリーといわれたGFRIEND、チッケムから火が付き音源チャートを逆走したEXID、レベル違いの実力でのし上がったMAMAMOOなど、弱小事務所から「売れた」アイドルが増えたことでアメリカンドリームならぬKPOPドリームが生まれている。
とはいえそんなKPOPドリームを掴めるのはほんの一部で、デビュー組の多くは3年もすれば殆ど姿を消しているし世間の記憶には残らない。
それでもデビュー組が多い=世に生み出されている楽曲は当然とてつもない数。売れているアイドルでも、タイトル曲(活動曲)ではなくアルバムの中に名曲が潜んでいることは少なくない。
私も全てをチェックできているわけではないけど、そんな曲に出会うたびに「こんないい曲がこんなところに埋もれてしまうなんて…」と切ない気持ちにもなる。
前置きがずいぶん長くなってしまったし私のような端くれものがこんなところで記事にしたって何の影響力もないけれど、今日は超個人的見解でKPOPの隠れ名曲を紹介したい。
ちなみに私、R&Bとハウスが好きです!!!!!
Only One Of 《얼음과 불의 노래/a sOng Of ice & fire(Prod. GroovyRoom)》(2020)
彼らの楽曲はR&B好きにはたまらないとーーーーーんでもなく良いものばかりだけど、タイトル曲の中で一曲選ぶとしたらこれ。サウンドだけじゃなくてMVのダンスカットも多くて見ごたえのある仕上がりになっているので、パフォーマンスとしても満足できる。
クレジットに居るGroovyRoomはKR&B/Hiphop界では超有名な2人組の天才プロデューサー。イントロに「Groovy, Everywhere」というシグネチャーサウンドが聞こえてきたら、その楽曲には彼らの息がかかっているし、彼らの息がかかっていたらその楽曲は間違いなく良い。
日本デビューも果たし、シャ乱Qの「ズルい女」をカバーしたことでちょっとは注目されてるかな?というところだけど多分爆発的に売れることは無い。(怒られろ)
でも細く長く上質な楽曲を生み出し続けてほしいグループである。
H&D (한결, 도현) 《우산/Umbrella》(2020)
ねえーーーーーーーーーーーーこれなんで埋もれてるの??????
H&Dって誰よ?となる人も居るだろうけど、元X1のハンギョルとドヒョンと言えば分かるオタクが殆どでは。デビューショーケースを高尺スカイドーム(キャパ約16,000人)で行うという異例の人気をぶちかましていたX1、異例の速さで解散してしまい、事務所に戻った2人が発表していた楽曲がこちら。
ドヒョン(ナムド)は中学生なのに楽曲制作の才能がとんでもなくて、この曲もナムドが作っている。君、R&Bの神から生まれたんか?
2人はこのあとBAE173というグループで再デビューしてるけど、正直言ってぜんっぜん売れない。悲しい。ナムドの才能を無駄にしないで…
APRIL 《The Blue Bird/파랑새》(2018)
KARAが所属していた中堅事務所DSPメディアで活動していたAPRIL。多発したいじめ告発ムーブメントの対象となり2022年にぬるっと解散してしまったのは、消えつつある正統派ヨジャドルとしてかなり好きだった私にとって悲しい出来事のひとつ。なんだかんだずっと芽が出なくて2番手3番手とも言えないくらいの人気と成績だったから遅かれ早かれ消滅してたかもだけど。この曲は2018年にリリースされたアルバムのタイトル曲で、近年ではあまり聞かないドラマティックでシンプルな仕上がり。「好きすぎて病気なの」なんてガルクラでは考えられないメンヘラちっくな歌詞も良い。
あーーーまたこういう正統派ヨジャドル出てこないかなあ…
gugudan 《Be Myself》(2018)
『プデュ出身の子が居るグループは番組で誕生したグループ以上に売れることは無い』という持論を立証する一つがgugudan。社会現象になったプロデュース101シリーズの第2シーズンに参加したキムセジョン(2位)、カンミナ(9位)、ナヨン(デビューはなし)の3人を擁したグループだったのに、たいして売れることも無く解散してしまった。アイドルのカンミナ大好きだったので悲しい…。
この曲は最後の活動となった2018年のミニアルバムに収録されていて、制作を手掛けているのが天才制作チームMonotreeなの。私は彼らの大ファンなので詳しくは改めて記事にするとしても、キュートなコンセプトが多かった彼女達が大人びたビジュアルでかっこよく踊るステージは、ニューノーマルとなったガルクラよりも色気があってすごく素敵。
イム・ジミン 《 WHO, YOU?/후유증》(2019)
現在はJUST Bというグループのメンバーであるイムジミン。2019年に放送された『THE FAN』というオーディション番組(見てない)から生まれた天才実力派アーティストである彼が、グループデビュー前にリリースしていたのがこちら。番組内でBTSジミンやBoA、2NE1のサンダラパクが絶賛するほどの実力をもっていて、そもそも何でそんなすごい子が埋もれてるの?という話なんだけれども。番組も彼のことも全く知らずたまたま耳に入ってきたこの曲を聞いた時、「誰!なにこれ!」と興奮しまくった記憶がある。
失恋して未練に苦しんでいる歌詞に合わせて感覚的なシンセサウンドとツヤのあるメロディーが色っぽく、ビジュアルも大人びていて、何よりダンスがすげーかっこいい。
TEEN TOP 《ah-ah /아침부터 아침까지》(2015)
夏になると絶対に聞きたくなる曲。TEENTOPは2010年デビューなので、東方神起とかSHINeeとかT-ARAとか日本でKPOPブームが巻き起こっていた第二世代組。知名度はそこそこあるもののTEENTOPといえばこの曲!といえる代表曲は無いかも。あ、장난아냐(Rocking)かな。あとプデュに参加して注目を集めた髙田健太が彼らのガチオタクをしていた話が有名。
この曲は天才ヒットメーカー・ブラックアイドピルスンが手掛けているので、ん~~~もう!最高!の一言。KPOPあるあるの「朝まで君と一緒に居たい」という”彼女にベタ惚れ男”が主人公で、彼らの柔らかくて優しい歌声とキレのあるダンスは中毒になってしまう。ブラックアイドピルスンは今だとSTAYCの生みの親として知られていて、TWICEのデビュー曲やCHEERUP、チョンハの벌써 12시など、「まじで売れる曲」を生み出してしまう方々。
SPICA 《 Secret Time》(2016)
今で言うMAMAMOOのように実力派のガールズグループだったSPICA。R&Bがよく似合う歌声のかっこいいお姉さんたちだった。メンバーのバックグラウンドはそうそうたるもので、リーダー・キムボアはIUと共に練習生時代を過ごし、KARAやINFINITEなどのボーカルトレーナーも務めていた。ヤン・ジウォンは元五少女/元T-ARAのメンバー(正式デビュー前に脱退)で、キム・ボヒョンは2NE1の候補練習生、パク・ナレは「スーパースターK」出身。すごすぎる顔ぶれなのに売れなかったなあ…
この曲は彼女たちが当時約2年半ぶりにリリースし最後の活動曲となってしまっていて、少しジャズっぽさも感じられるポップなダンスナンバー。アイドルとは思えない力強い歌声がほんとにかっこいい~~
NATURE 《Girls/어린애》(2020)
崖っぷちアイドルとしてある意味注目度があがっているNATURE。起死回生でトンチキ曲グループになりつつあるけど、2020年リリースのこちらはサムネイルでも分かる通りダークコンセプト。放送規定に引っかかりMVの修正を指示されるほどサイコホラーな世界観の中で真っ白なワンピースを着て踊る姿が私の癖(へき)にグサッと刺さった…
「愛の前では子供なの」「真っ白な私を弄ばないで」と歌詞もダークな世界観で、純真な女の子が染められ傷つき堕ちてしまう様子が痛々しくも儚く感じられる。他ではなかなか味わえない感覚を求める方には超オススメ。
W PROJECT 4 《1분1초(1分1秒)/돌아와줘》(2019)
W PROJECTとは、Golden Childが所属しているWoollimエンターテインメントが練習生たちに曲の発売とミュージックビデオ撮影の機会を与えるものとして発足している。2019年に突然発表されたこの曲には、プデュ出身のイヒョプ、ファンユンソン、チュチャンウク、キムドンユン、キムミンソが参加している。…私プデュ本編は追わないタチなのでほとんど知らないんだけどね。
ダイナミックなサウンドにのせる切ない歌詞とキレのあるダンスは正にウリムのお家芸。こんな良曲が練習生のプロジェクト曲だなんて正直もったいない!と言ってしまいたくなるほど完成度が高い。INFINITEの時代からウリムの楽曲は私を裏切らないんだ~!!
PRODUCE X 101 《Monday to Sunday》(2019)
曲としては有名かもしれないけどこの先この曲がこのメンバーでパフォーマンスされることは無いという視点で選出!通称「プエク」のコンセプト評価で練習生に与えられた課題曲のひとつ。ハウス調のR&Bは「月曜から日曜まで君で満たされている」という可愛らしい歌詞の内容を大人っぽく昇華させているし、衣装もオタクが大好きなジャケット×ハーネスで花丸百点。
センターのトニーが本当に良くて・・・でもデビュー組にはなれず、その後中国版プデュ「青春有你(Youth with You)」に参加し絶好調と思いきや最終回直前で突然降板し・・・今どこで何しているんだろうか・・・元気かなトニー・・・(遠い目)
あと、大サビで披露されるイヒョプの高音がすんばらしい。なんせリアルタイムで見ていないので「X1に居ないけど!?」と驚いた記憶。今DRIPPINとして活動しているのでひと安心。
以上10曲でした~ぱちぱち
今回はあえてグループもメジャーではないところから選んでみた。カースト上位グループからも選んだらプレイリストは80曲くらいになりそうなので。
そのうちテーマに沿ったプレイリストなんかもまとめてみたいな~なんて思っていたり。