2020年オフシーズンに信州ブレイブウォリアーズを離れた選手まとめ

2020年オフシーズンに信州ブレイブウォリアーズを離れた5選手について、2020ー2021シーズンが始まる前にどうしても語りたかったので、1人ずつまとめていく。
※あくまで個人的意見と想いです。

オーランド・サンチェス選手

サンチェス選手は、マック&ウェインのバックアップとして素晴らしい仕事をしてくれたと思う。シュート力こそやや物足りなかったが、マックのようにパスを捌き、ウェインのようにゴールを守った。信州BWが19-20シーズンに敗れた7試合のうち、4試合がサンチェス選手の出場した試合ではあったが、サンチェス選手の一番の役割はマック&ウェインを休ませるためにシーズンで15〜20試合出場することであり、その役目は十分に果たしたといえる(47試合中12試合出場)。
20-21シーズンに向けて契約継続とならなかったのは、Bリーグのレギュレーションが今シーズンから変更になり、外国籍選手のベンチ登録人数が2人から3人に増えたため、3番手の外国籍選手に求められる役割が『シーズンで15〜20試合出場すること』から、『60試合全ての試合に出場すること』になったためである。この役割を担うには流石に役不足と判断されてしまい、契約継続とはならなかったが、19-20シーズンを信州BWが最高勝率で終えられたのには、間違いなくサンチェス選手がマック&ウェインをバックアップしてくれたおかげである。Gracias Sanchez!

青木龍史選手

特別指定選手として昨年オフシーズンに信州BWに加入した青木選手。アメリカの大学からやってくるということで、栗原選手という前例もあったため、個人的にはシーズン開幕前からめちゃくちゃ期待していた。結果的には、あまり出場機会は貰えなかったけど、試合に出れば積極的にシュートを狙い、常に強気な顔でプレーしていた青木選手。
信州BWでプロキャリアをスタートしてくれてありがとう!新天地・岩手での活躍を期待しています!

渡邊翔太選手

渡邊選手については、前回の投稿で「放出されるだろうなと予想していた」と書き、その理由を割愛していたので、そこから書いていこうと思う。
渡邊選手が放出されると予想した理由は、シーズン中のプレータイムの減少。開幕直後はスタメンで起用されていたのに、シーズンが進むにつれてベンチスタートになり徐々にプレータイムが減少、試合の大半を西山選手と大崎選手がPGとしてプレーして、勝負が決まってから渡邊選手が出てくる、といった試合もいくつかあった。そうなってしまった要因と思われるものが個人的予想で以下の3つ。
・ボール運び
・DF
・シュートセレクション
それぞれの要因について解説すると、まず1つ目のボール運びは、何試合かで相手のオールコートプレスに対してボールロストしてしまい、これが原因でベンチに下げられることがあった。信州BWの場合、PGがボールを運べないと外国籍のマックがボール運びをしないといけなくなるため、非常に負担が大きくなってしまう。また、今シーズンB1で戦うことを考えると、B2よりB1のほうがオールコートプレスを仕掛けてくるチームが多いため、PGがボール運びをできるかどうかがより重要になってくる。
2つ目のDFは、渡邊選手の長所とチームの要求がマッチしなかった結果だと思う。渡邊選手のDFは決して悪くなく、相手のドライブに対して素早いフットワークでコースに先回りして守る上手さがあった。しかし、信州BWの他の選手のDFを見てみると、相手のドライブに対して身体を寄せて(時にはぶつけて)守っていて、渡邊選手と比較するとフィジカルの強いDFをしていた。上手いDFと強いDF、どちらが正解という訳ではなく、信州BWの(勝久HCの)スタイルとしては強いDFが求められていたということだと推測する。
3つ目のシュートセレクションについても2つ目と同じく、渡邊選手の長所とチームの要求がマッチしなかった結果だと思う。渡邊選手の武器はドライブだが、信州BWは3Pシュートを多用するスタイル。実際、信州BWの日本人アウトサイドプレイヤーの中で、3P試投数が2P試投数より少なかったのは渡邊選手と武井選手だけ。(結果的に、この2人は19-20シーズン終了後に信州BWを離れることになる…。)
以上が、個人的に渡邊選手が放出されるだろうと予想した理由である。若干ネガティブな要因はあったが、理由の大部分は渡邊選手の長所と信州BWのスタイルが噛み合わなかったことにあり、渡邊選手の能力を否定しているわけではない。新天地・西宮では渡邊選手の長所が最大限に発揮されることを祈っている。

武井弘明選手

武井選手も渡邊選手と同様、あまり勝久HCのスタイルにフィットしていなかったのかもしれない。初めてそう感じたのは、プレータイムがなかなか貰えなかった19-20シーズンではなく、18-19シーズンプレーオフファイナルの群馬との2試合。このB2優勝がかかった大事な試合の第4Qに、武井選手は殆ど起用されていなかった(1試合目は勝負が決まってからのラスト2分53秒のみ、2試合目に関しては0秒)。シーズン中は平均で約22分プレーしていたのに、この2試合のプレータイムは平均で約16分。6分もプレータイムが減少したのは、勝負所の第4Qにプレーしていないから、厳しい言い方をすると勝久HCに大事な場面は任せられないと判断されたからである。この2試合を観て、正直19-20シーズンが始まる前に武井選手は放出されるかもと思っていた。とはいえ、18-19シーズン中は59試合にスタメン出場していて、チーム内最高のディフェンダーだった。2020年オフシーズン、まだ所属先が決まってないが、どこに行ってもそのDF力は重宝されるはず。そうは言っても、地元信州出身でBリーグ開幕時の最後のメンバーだった武井選手が信州BWを離れるのはやはり寂しい。
それにしても、これで2シーズン連続で信州BWから日本人キャプテンを務めた選手が去っていったことになる。変なジンクスにならないと良いが…。

飯田遼選手

なぜ信州BWは飯田選手を移籍させてしまったのか。これが語りたくて、今回の投稿を書いているまである。
飯田選手は地元信州出身で、19ー20シーズンは主に三ツ井選手の控えとしてプレーし、3Pシュートの成功率が高く(チームトップの38.5%)DFも良い、まさに理想的な3&Dタイプのロールプレイヤーであり、信州BWのスタイルに完全にマッチした選手だった。2020年オフシーズン、信州BWの補強において最大の疑問は、間違いなく飯田選手の移籍である。なぜまでここまで飯田選手を残留させるべきだったと考えているのか、その理由を新加入の増子選手と比較しながら解説していく。
1つ目の理由は、得点能力。B2で2シーズン連続平均2桁得点を記録する増子選手と、19-20シーズン平均3.4得点の飯田選手の得点能力を比較するなんて、と思われるかもしれない。しかし、平均得点を用いて得点能力を比較するというのは、あらゆる面においてアンフェア(チーム状況や出場時間等に依存しすぎ)であるため、個人的にはあまり良くないと思っている。そこで、今回は得点期待値(シュート1本あたり何点入るかの値)を用いて得点能力を比較していく。得点期待値は、少なくとも出場時間には依存しないため、得点能力を比較する上で(平均得点よりは)優れた指標といえる。実際に得点期待値を比較してみると、飯田選手が約1.12、増子選手が約0.86(両者ともにFTを考慮しないFGだけの値)となり、得点期待値的には飯田選手のほうが得点能力が優れているといえる。得点期待値は現代バスケットボールにおいて、勝敗を決する重要な要素の1つである。つまり、勝つためには飯田選手のほうが必要なのである。
2つ目の理由は、チームスタイルへの適合性。前回の投稿でも書いたように、増子選手が勝久HCのスタイルにマッチしない可能性がある。それに対して、飯田選手は勝久HCのスタイルにマッチすることを既に証明している。個人的には、リスクを取らずに安定の飯田選手で良かったと思う。
3つ目の理由は、年齢。若くて将来性のある飯田選手にB1を経験させることは、信州BWにとってものすごくプラスだったのではないだろうか。20-21シーズンを戦うことも重要だが、個人的には将来の信州BWを見据えることも大事だったと思う。
以上の理由から、飯田選手は信州BWに残留させるべきだったと考える。もちろん、今回は飯田選手に有利な条件だけを書いたので、増子選手のほうが優れている部分もたくさんある。20-21シーズンが始まってみれば「やっぱり増子選手だったな」と、手のひら返しをしている可能性もめちゃくちゃある。それでも現段階では、飯田選手が移籍してしまったことは、信州BWにとって大きな損失であったと断言する。

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