信州ブレイブウォリアーズの2020ー2021シーズンの戦力を分析
信州ブレイブウォリアーズの2020-2021シーズンに向けた補強が完了したので、どのようなチームになったのか分析してみる。
※あくまで個人的意見と推測です。
選手契約
20-21シーズンに向けた選手契約は以下の通り。
【契約継続】
・井上裕介
・西山達哉
・栗原ルイス
・佐藤託矢
・大崎裕太
・三ツ井利也
・ウェイン・マーシャル
・アンソニー・マクヘンリー
【新規契約】
・山本エドワード
・増子匠
・ジョシュ・ホーキンソン
・ヤン・ジェミン
・小野龍猛
【移籍・契約満了】
・武井弘明
・渡邊翔太
・青木龍史
・飯田遼
・オーランド・サンチェス
信州BWの補強ポイント
まず、2020年オフシーズンが始まった段階で個人的に注目していた補強ポイントは3つ。
①PG
②スウィングマン
③外国籍、帰化枠及びアジア特別枠
①PG
これは、19-20シーズン終了段階で正直渡邊選手は放出されるだろうなと予想していたため。その理由はここでは割愛するが、渡邊選手を放出した場合、試合で起用されていた純粋なPGが西山選手だけになってしまうため、補強する必要があると思った。
②スウィングマン
これは、信州BWのスウィングマンのサイズ不足を感じたため。B1には190cm以上のスウィングマンが複数人いるチームが多数あるが、信州BWには三ツ井選手1人だけ。信州BWはもともとサイズを活かして戦うスタイルではないが、あらゆるシチュエーションに対応できるよう、サイズのあるスウィングマンを補強すべきだと思った。
③外国籍、帰化枠及びアジア特別枠
これは、20-21シーズンからレギュレーションが変更になり、ベンチ入りできる外国籍選手が2人から3人に増え、帰化枠と同じ扱いのアジア特別枠が新設されるため、どのような選手を獲得するのか注目していた。
実際の補強
信州BWが行った補強を、前述した補強ポイントに沿って分析する。
①PG
信州BWは予想通り渡邊選手を放出した。そして新たに獲得したPGが山本エドワード選手。B1でのプレー経験があるベテラン選手。日本人キャプテンを務めていた武井選手が契約満了になってしまったので、リーダーシップにも期待したい。余談だが、石川選手といい西山選手といい勝久HCが好むPGはシルエットが似てる気がする。
②スウィングマン
信州BWが獲得したスウィングマンは、増子選手、ジェミン選手、小野選手の3人。
サイズのあるスウィングマンの補強が必要だとは思っていたが、まさかその代表格ともいえる小野龍猛が信州BWに移籍してくるとは…。小野選手は信州BWのOFシステムに間違いなくフィットすると思う。信州BWは、外国籍の2人(マック、ウェイン)が3Pラインの外で仕事ができるので、ポストプレーから得点できる日本人選手が機能すると以前から思っていた。小野選手はその役割において最適解といえる。また、マックかウェインがペイントエリア内に侵入してきた場合、アウトサイドに開いて3Pシュートを決める能力もある。まさに信州BWのOFシステムにおいて理想的な選手といえる。
増子選手は、B2で過去2シーズン連続で平均2桁得点を記録する日本人スコアラー。タフショットがエグいイメージ。ちなみに、19-20シーズンの1試合平均シュート試投数(12.6本)は信州BWの誰よりも多い(最高でウェインの12.5)。
ジェミン選手については③で触れていく。
③外国籍、帰化枠及びアジア特別枠
20-21シーズンからレギュレーションが変更になり、ベンチ入りできる外国籍選手の人数が2人から3人に増えた。マック、ウェインは当確だと思っていたので、残りの1人が誰になるのかと期待していたが、加入したのはジョシュ・ホーキンソン選手。タイプとしては比較的オールドスタイルのPFといった感じ。19-20シーズン、信州BWで平均2桁リバウンドを記録したのが12試合しか出場していないサンチェス選手だけだったので、ホーキンソン選手のリバウンド力はプラスになるはず。シュート力含めOF能力は申し分ない。B1でライオンズやケリーといった3Pラインの外で仕事ができる外国籍選手にしっかりとマッチアップすることができるか、ガードナーやクーリーといったフィジカルの強い外国籍選手に当たり負けせずに守ることができるか、DF面に注目したい。
また、レギュレーション変更で帰化枠と同じ扱いでアジア特別枠が新設された。信州BWとしては帰化枠での選手獲得は難しいと思っていたので、おそらくアジア特別枠で選手を獲得するだろうと予想していた。そして、このアジア特別枠で信州BWに加入したのがヤン・ジェミン選手。韓国籍の選手で世代別の代表にも選ばれている。プレースタイルはいくつかの動画を見た限りでは、ドライブも3Pシュートもポストプレーもできるオールラウンダーといったイメージ。マックが担ってきた役割をシェアできそう。小野選手よりサイズのあるスウィングマン。情報がほとんどないので早くプレーが見たい。
選手起用予想
20-21シーズンの勝久HCの選手起用を予想する上でのポイントは3つ。
①大崎のポジション
②新加入G陣
③小野龍猛のプレータイム
①大崎のポジション
19-20シーズン、大崎選手のポジションはとても流動的だった。最も起用されたのはSGのポジションだったが、シーズンが進むにつれて渡邊選手のプレータイムが減少したため、代わりに大崎選手がPGとして起用される時間が増えていった。20-21シーズン、大崎選手のポジションはPGとSGどちらになるのか。個人的な意見としてはPGをメインで起用して欲しい。理由は2つあり、1つ目はサイズ。大崎選手の177cmという身長はB1のSGとしては決して大きくない。多くのSGが185cm以上あり、日本代表クラスだと190cm以上ある選手も多い。SGで常に10cm前後のミスマッチになることを考えると、PGでプレーしたほうが良いと思う。2つ目の理由は、チームに能力の高いスウィングマンが多くいるということ。B1から実績のある小野選手、アジア特別枠で韓国期待の若手であるジェミン選手、B2屈指の日本人スコアラー増子選手が加入。既存戦力もB1でも通用する(と個人的に期待している)シューター栗原選手とチーム屈指のディフェンダー三ツ井選手がいる。この優秀なスウィングマンにプレータイムを与えつつ、大崎選手が活躍するには、PGとしてプレーするのが最適だと思う。(PGとしてプレーするためには、西山選手、山本選手との競争に勝たないといけないわけだが…)
②新加入G陣
信州BW新加入のG陣、山本選手と増子選手。この2人がチームにフィットするのか考えていきたい。
まずは山本選手だが、こちらはあまり心配していない。なぜなら16-17シーズンに勝久HCの下でプレーしていたから。勝久HCが求めるプレーが分かっているはずなので、すんなりとチームにフィットするだろう。あえて懸念事項を挙げるとするなら、19-20シーズンのFG%が低かったことくらい。特に2P%が良くなかった。20-21シーズン、勝久HCのOFシステムの中で、これまでのキャリアの水準でシュートを決めることができれば何も問題ないだろう。ちなみに山本選手のFG%は隔年で上振れするので20-21シーズンはシュートが入る予定。
次に増子選手だが、もしかしたら信州BWにフィットするのには時間がかかるかもしれない。理由は、増子選手のプレースタイルと信州BWのシステムが真逆だから。増子選手が平均2桁得点を記録した過去2シーズンのプレースタイルをざっくり説明すると、『長時間(30分以上)プレー』して『個人技』でチャンスメイクして『タフショット』でも打つ、といった感じだった。対して信州BWのスタイルは、『タイムシェア(25分以下)』して『パス回し(ボールムーブ)』でチャンスメイクして『フリーのシュート』を打つ、といった感じである。増子選手が信州BWのスタイルに合わせるために、プレータイムの減少、個人技で仕掛けていた場面でパスを回す、タフショットは打たない、といったことを受け入れたら上手くプレーできない可能性もある。もちろん、これはあくまで個人的な推測なのでもしかしたら信州BWのスタイルがめちゃくちゃ増子選手にフィットする可能性もあるし、勝久HCが増子選手に合わせてスタイルを修正する可能性もある。しかし、これまでの増子選手のプレースタイルが、勝久HCのスタイルとは真逆なのは確かなので、お互いがこれまでのままではフィットしないだろう。
③小野龍猛のプレータイム
小野選手のプレータイムは20-21シーズンの信州BWにおいてかなり重要なポイントになると思う。小野選手が信州BWに移籍が決まった後のインタビューで、「ロールプレイヤーは僕に似合わない」「10分出て優勝するより、30分出て優勝したい」と言っていたので、ある程度のプレータイムは与えられるはず(そのあたりをクリアしていなければ信州BWに移籍していなかったと推測)。その場合、小野選手はSFなので、同ポジションのジェミン選手と三ツ井選手のプレータイムはどうなるのだろうか。小野選手、ジェミン選手にサイズで劣る三ツ井選手はSGにポジションアップしても面白いかもしれない。個人的にジェミン選手には外国籍選手と同等の期待をしているので25〜30分はプレーして欲しいと思っている。そうなるとSFだけではプレータイムが足りないのでオールラウンドなジェミン選手はSGでも起用されるかもしれない。そうすると今度は、SGの栗原選手と増子選手のプレータイムにも影響が出てくる。特に栗原選手は、信州BW期待の若手なのでプレータイムを削るのは惜しい。
小野選手のプレータイムが、信州BWのスウィングマン全員のプレータイムを考える上で鍵になっているのは間違いない。
以上、3つのポイントを踏まえて個人的に予想した選手起用がこれ。
PG:西山 大崎 山本
SG:ジェミン 栗原 (増子)
SF:小野 三ツ井
PF:マック ホーキンソン (井上)
C :ウェイン ホーキンソン (佐藤)
各ポジションの先頭に書いた選手をスタメン想定しているけど、PGについては本当に誰がスタメンになってもおかしくないので予想ができない。小野選手のプレータイムを確保するためにジェミン選手をSGで起用。新加入スウィングマンの2人をスタメンにして、既存戦力の栗原選手と三ツ井選手が控える。増子選手は、チームにフィットすれば栗原選手か三ツ井選手からポジションを奪うかもしれないが、前述した通り上手くフィットしない可能性があるので、SGの3番手と予想。PFとCは安定のマック&ウェイン。その2人の控えを新加入外国籍選手のホーキンソン選手が務める。外国籍選手のベンチ登録人数が増えたため、佐藤選手と井上選手の出場機会は減少すると予想。リーグ登録人数は13人だが、ベンチエントリーは12人のため、怪我人等がいなければ( )の選手のうち、誰かがベンチを外れると予想。
もし、小野選手がプレータイムの減少とベンチスタートを受け入れた場合の選手起用予想もしてみた。
PG:西山 大崎 山本
SG:栗原 三ツ井 (増子)
SF:ジェミン 小野
PF:マック ホーキンソン (井上)
C :ウェイン ホーキンソン (佐藤)
PG、PF、Cの選手起用予想は前述のものと同じ。小野選手がベンチスタートであれば、ジェミン選手をスタメンSFで起用できる。SGは19-20シーズンから引き続き栗原選手がスタメン。ポジションアップした三ツ井選手が控える。前述した選手起用予想のほうがインパクトがあって面白いけど、こっちの予想のほうが安定感はありそう。懸念事項は、小野選手とホーキンソン選手がベンチスタートだとプレータイムが被るから、ポストが渋滞しそうなこと。
分析結果
信州BWは、20-21シーズンに向けて効果的な補強ができたと思う。PGには勝久HCのスタイルを遂行できる選手が揃い、スウィングマンはサイズと得点力が増した。ベンチ登録できる外国籍選手の人数が増えたことで、ベテランのマックとウェインを試合の中で休ませることができるようになった(これは他のチームも同じ条件ではある)。
B1初挑戦となる20-21シーズンだが、自慢のDFと3Pシュートが機能すれば、プレーオフ圏内も可能性があるのではないだろうか。