ダンスで軽やかに誘われる、孤独な夜の浮遊感
Twitterのハッシュタグに「 #30DaySongChallenge 」というものがあり、その名の通り1日ずつお題に沿った曲を選んで投稿する、というものなのですが、楽しそうなので参加してみました。
ただ私は基本的にダンスミュージックが大好きで(四つ打ちの曲だったら大体好きというガバガバ判定)、そのせいで6日目のお題「踊りたくなる曲(A song that makes you want to dance)」がとても一つに絞れそうにないので、フライング気味にエクスパンドすることに。
★聴くと思わず踊りたくなる曲(エクスパンド版)9選
1.Bullion「Blue Pedro」
西ロンドン出身、現在はリスボン在住のプロデューサー、Nathan Jenkinsのプロジェクト。トロピカルなのかヨーロッパのフォークロア系なのかなんだかよくわからないいかがわしさがありつつも(Blue Peter Themesのカヴァー?)、ボトムで鳴っている軽快なパーカッション、メインリフの裏側のシンセの音を追いかけているとキマってきます。
2分あたりから入ってくる反響する単音のコーラスはチルウェーヴや少し前に流行ったバレアリックなサウンドを思い出します。怪しげなヴィデオクリップも合わせて最高です。何度でも聴ける。
2.El Guincho「Antillas」
スペインのバンド、El Guinchoによる王道バレアリック・サウンド。これはドロップされてかなりのスマッシュヒットをしていて、当時どこのクラブでもかかっていた、と言っても過言ではないくらい、よく耳にしました。
陽気でしつこくループするリフ、はじけるようなパーカッション、ラフな歌の入り方、サビあたりのコーラスの感じ・・スペイン語が母国語でなくても、誰しもが踊れる名曲だと思います。
3.Clark「Ted」
ベースで鳴っている硬質なテクノの音に反響するようなシンセの音を合わせ、多層なレイヤーを感じさせるクラークの作風は、実際にDJで聴くとその場の空間に音が溶け込むような感じがして、没入感がとてもあります。筆者はエレグラで拝見しました。
パーカッションはゆったりしていて、ステップを踏むよりは左右に身体を揺らすように踊る感じでしょうか。気がついたら頭が動いている曲です。Bibioのリミックスも好きです。(リンクはこちら)
4.Mall Grab「Pool Party Music」
Mall Grabの曲はどれもサイコーに踊れるので迷ったのですが、これかなあ・・。クロスオーヴァー・ジャズっぽさもある管楽器を大きくフィーチャーしたリフにハウスの大ぶりなパーカッションがとっても踊れます。
筆者は過去にMall Grabのレビューも書いていますので、興味を持たれた方はご覧ください〜。(こちらです)
5.Free The Robots「Turkish Voodoo」
ここからは完全に筆者の趣味の領域になりますが、カリフォルニアのChris Alfaroによるプロジェクト、Free The Robots『Ctrl Alt Delete』より。当時俄かに勃興しつつあったジャジー・ブレイクの文脈で出てきていますが、この曲に関して言えば、パーカッションの感じは少しR&Bっぽい気もします。マイナーコード全開のエキゾチックなギターが最高です。
6.Rancid「Crane Fist」
この辺りも説明は特に不要かな?『Life Won't Wait』収録のスカっぽい曲で、このアルバムは芯の部分は王道なパンクですが、ヒップホップ、レゲエなどブラックミュージックのミクスチャーみたいな感じがありますよね。特にこの曲が一番好きなのです。
7.Unlke「Hold My Hand」
ああ・・サイコーです。
8.Lily Allen「LDN」
この、店員さんそっちのけで「こういうレコード探してて、グライムとかブレイクビーツとかそういう〜(ペラペラペラ)」とぶちかまし、「意味わかってる?・・ああ、そう」と嘲るように笑うヴィデオの冒頭が最高ですよね。筆者もそういう時期がありましたのでよくわかります。
2,4拍目が強調されるスカっぽいパーカッションと陽気なリフで、歌詞は辛辣ですが踊れます。アンニュイなリリーの歌声も程よく曲に抜け感を出している気がします。
9.Spy From Cairo「Taksim Square」
イタリア出身のアーティスト/DJであるMoreno Visiniの別名義でのプロジェクト、Spy From Cairo。ギターのようなウードのストリングスから始まり、タブラのパーカッションにスカのようなビートが合わさり、中盤のアコーディオンがいい味を出しています。こちらもステップを踏むというよりは、左右に身体を揺らしているとトリップしてくるような、エキゾチックな精神性を秘めた名曲。
筆者はこのアーティストのレビューも書いていますので、気になられた方は是非に〜。(こちらです)
あとがき)
巷の自粛モードを吹き飛ばすような明るいニュースが少なく、寧ろ人々の神経を逆撫でるような発火燃料が多いのかなあ・・なんて思うように、SNSでも殺伐とした空気感が流れていますが、ダンスミュージックはそんな時でも変わらず私を踊らせてくれます。
音楽が人間の生命維持に直接的な関与を行うわけではありませんが、ただ、この世界にこういうものがある、ということで救われるものもありますよね。私は少なくとも、孤独な10代を音楽にとても救われました。
ダンスミュージックが好きなのは何故だろうと考えた時に、例えば四つ打ちのパーカッションとシンプルなリフのループが起こす没入感というかトリップ感がやはり私にとっては心地よく、何かこう、いろんなことを忘れて音楽に集中できるというか、楽曲の単純明快さが現実の向こう側に連れて行ってくれるような、なんだかそんな感じがするからかな、とかそういうふわっとしたことを思いつつ。
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Boiler RoomのStreaming From Isolation(意訳:自粛版ストリーミング)のシリーズ、今回ご紹介したMall Grabをはじめ、著名なDJたちがご自宅などからDJセットをするという豪華な配信となっているので、こちらもまだご覧になっていない方はチェックしてくださいね!
アメリー・レンズちゃんもご自宅からのストリーミングを配信されていました。例の白猫ちゃん、どこかなーと思ったらそこにいるのね!と思いながら観ることができます。こちらも是非!
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