ボールペン画家 酒井崇の Ballpoint Cafe

ボールペン画家、珈琲好き。フリーランスでグラフィックデザインも。

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最近の記事

ジークレーと、ボールペン

初の試み、パソコンに取り込んだボールペン画・アクリル画をデジタル編集。そのデータから刷られたジークレーが手元に届きました。 * 《ジークレーについて》 ジークレーは超高解像度の顔料インクジェットプリントです。印画紙にはアルシュやハーネミューレなど水彩・版画に用いる中性紙が使われ、強い耐久性を持つと言われています。 主な用途は「アナログ作品の複製出力」と、「デジタル作品のオリジナル出力」であり、僕が今回制作したのは後者になります。 * デザイン仕事歴が長いおかげで、モニター

    • 宇野亜喜良展「万華鏡」。デザイン、アート、浮世絵

      銀座グラフィックギャラリーで宇野亜喜良展「万華鏡」をみた。あるギャラリーの装幀画展でご一緒したこともあるけれど、僕の感覚としては未だ“あの宇野亜喜良”であり、伝説のような存在だ。 油画専攻あがりの僕は常々、江戸なら北斎、現代なら宇野さんのような“お洒落さ”がもし画家に備わったら最高なのにと思ってきた。 一階展示の特殊印刷群はグラフィックデザイン的なカッコ良さ×特殊なインク・紙のマチエール的な強さ、といった感じでとても見応えがあったし、大変ときめいた。 地下展示の有名なポス

      • スマホと空(くう)

        私は世代的に、ダイヤル式電話からプッシュ式の電話、ガラケーからスマホ、ダイヤルアップ式のインターネットからADSL、そして光回線と、今や当然の環境を順々に体験してきた。 これを共感いただけるか分からないが、実はその中で私が最も地味に、そして大きく驚いたのは「パソコンのメールを街中でスマホから受信した」瞬間であった。 それまでの固定概念で、インターネットの情報は電気・ガス・水道のようにケーブルを通って出てくるものとイメージしていた。LANケーブルで繋がったパソコンから出てくるは

        • 愛でるような速度

           7年も前にホームページへ記した日記。今朝たまたま読み返して、なんとなく今の自分に響いたので、ここに置いてみたくなりました。  当時はフリーランスになる直前、パートナーとも出会う直前でした。   ** **  2015年12月5日 37にして つい先日オギャーオギャー言ってたんだけど、37年経ちました。なかなか早いです。 このスピード感なら、来週には還暦を祝っているかも知れません。 それにしても年々視力が低下してきて困ってるんだけど、見えすぎる目はもっと困りもの、これ

          反復学習

          既に知っているコンテンツを何度も何度も繰り返し観ると、新しい快楽が生まれる。 先の展開もセリフも全てお見通し。思い通りのセリフが語られ、思い通りの事が起こる。 驚きも刺激もない、静かな快感。 最近はスマホゲーム「やばたにえん」を何度も繰り返している。全てのパターンのエンディングも、そこへ辿り着く手順も知っている。 粛々と手筈を整え、起きるべくして起こることを眺める。 まったくやばたらない、空気の如きやばたにえん。

          異質な物、美しさ、呪力

          私のFacebookページに【個展メモ】として不定期で発信しているテキストを、やはり不定期にnoteへ転載してゆきます。 **** 【個展メモ⑧】 日本の古代宗教や縄文に関する本を読みながら、物に神が宿ることについて思いを馳せている。 かつて読んだ小林秀雄の著書に、美術愛好者はすべて偶像崇拝者である、といったような記述があったと記憶する。その時はピンと来なかったが、今はそのことをよく考える。ただの日用品と美術品には境目があって、わざわざ後世に残すのは、何か異質な物だろう。

          二枚の鳥居みゆきさんの肖像画

          倉本美津留さんの手掛けるWEBサイト「これやん」で、二枚の鳥居みゆきさんの肖像画を掲載いただいています。 この二枚は2017年に思い切ってご本人の承諾をいただいて制作したもので、2枚目の肖像画は翌年の単独ライブのチラシにも使っていただいた非常に思い入れの深い作品です。 「これやん」のお話をいただいた時、今一度この絵に光を当てたいという念願もあってこの作品を倉本さんの元へ持参しました。 写真:Yoshika Horita そこで今回、この絵をより深く味わっていただければと

          二枚の鳥居みゆきさんの肖像画

          感情移入的世界

          夜中にふわっと目が覚めて、ハッと。 絵も、ものづくりも、デザインも、或いはそれ以外の生きること全て、大事なのは感情移入することだと思い出しました。 パノラマのようにぶわーっと夢が広がるような! 可笑しさに腹よじれてゴロゴロのたうちまわるような! 奥底から力がみなぎって全身の血が熱く燃えたぎるような! 悔しさと悲しさに打ちのめされてうずくまって震えるような! 恐ろしさに心臓がギュッと潰されて意識が白く遠のくような! そういった感情を込めてものを作ること、人に話をするこ

          自由も不自由もここにあって

          今回のあいちトリエンナーレ「表現の不自由展・その後」中止を受け、私の目の届く範囲のことではありますが、表現の自由の危機として憤る作家さんや美術ファンの方の意見も見受けられました。 気持ちもわかるし、私も自由を愛する絵描きの端くれてはありますが、どうしても同じように憤る気持ちにはなれませんでした。 なぜなら、社会が受け入れてくれないから自由が無いというのは、私にとっては人任せな自由に思えてしまったからです。 私は表現の自由のために表現してる訳ではなく、ただ自由に表現するだけ

          自由も不自由もここにあって

          誤解もまた

          ふらっと立ち寄ったコンビニ、週刊誌の見出しを見ると“人を悪く見せる為ならなんでもありだなあ”なんて思いました。 有名人に限らず、誰でも人間関係で誤解されることはあると思います。欠席裁判が常套手段で、本人のあずかり知らぬところで思いも寄らない噂話が跋扈していたり。 昔はそれが悔しかったり悲しかったりして、必死に誤解を解こうと頑張ったこともありました。 けどあるとき、人は誰かを誤解したいと決めたら積極的に誤解するんだと気付きました。その行為がエンタメみたいなもんで、実は事実なん

          コロコロか、ボンボンか、それが問題だ

          生まれ育った我が家には、ひとつの呪いのようなものがありました。 各家庭にビデオデッキが普及した頃、家電好きだった父がいち早く購入したのは、後にスタンダードとなる「VHS」ではなく「ベータ※1」でした。ファミコンが一世風靡すると、なぜか我が家にやって来たのは見たこともない「SG-1000II(セガ) ※2」でした。同級生がマリオの話題で盛り上がる中、誰とも共有できない「ハッスルチューミー」のスコアが我が家では競われました。 卵が先か鶏が先か、二度あることは三度あるのか、タミヤの

          コロコロか、ボンボンか、それが問題だ

          「倉本美津留のえりすぐり これやん」に作品を掲載いただいています。

          (写真 Yoshika Horita) 放送作家・倉本美津留さんが手がけるWEBサイト「倉本美津留のえりすぐり これやん」に作品を掲載いただいています。 このサイトは、倉本さんオススメのアーティストや作品を対談形式で紹介、ご覧の方にご購入もいただける、アート応援サイトです。私は7月12日より掲載が始まり、2週間ごとに絵を更新、全4作品を掲載いただく予定です。 倉本さんとの対談、作品コメントもお楽しみください。 https://koreyan.jp/takashisakai/

          「倉本美津留のえりすぐり これやん」に作品を掲載いただいています。

          なんとなくスマホのゲームを弄ってて気付いたこと

          水は物理法則に従って、高いところから低いところへ流れますが、そこには善も悪もありません。善悪を感じるのは人間で、私は若い頃から天に向かってよく唾を吐いていたので、お出かけのたびに雨に降られるような気がしますが、それはたぶん梅雨のせいです。 ハッピーグラスというスマホゲームがあります。確かなにかの広告からまんまとダウンロードしました。別に宣伝したいわけではないので簡単に説明しますと、画面上部の蛇口から水がジャーっと流れて、下にあるバケツにドババっとと水が溜まったらハッピーだと

          なんとなくスマホのゲームを弄ってて気付いたこと

          変化の兆し、偶然遊び

          私は10年ほど勤めたデザイン事務所を退社し、2016年にフリーランスとなりました。 最初はエレガントな屋号でも付けてやろうかと思ったのですが、いざ携帯が鳴った時に「はい、シャルルフレジェです」とかいうのは大変照れる気がして、結局ただの「酒井崇」の名でやることにしました。 今では気軽に「はい、酒井です!」と対応していますが、領収書をもらう際には「あの、酒井崇で、、」と本名を晒して結局照れています。 とそれはさておき、フリーになったことでとても面白い現象が起き始めました。勤め人

          私の暮らし、自己紹介

          はじめまして。私は酒井崇と言います。ここは郊外の自宅兼アトリエ、窓辺の椅子に座ってボールペンで絵を描いたり、デザインの仕事をしたり、震えるほど珈琲を何杯も飲んだり、レコードをかけて本を読んだり、瞑想のはずだった昼寝をしたりして暮らしています。飽きてきたらパートナーと近所の空き地でサッカーをしたり、家庭菜園を弄ったりします。今年はナスと、なにやら異形のミニトマトを育てています。なんか長い奴です。 以前は長いこと杉並区で暮らしていましたが、フリーランスになって通勤が必要なくなっ