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喫茶店パラダイス




「こんちはー」

「あー、いらっしゃい」

「今日は空いてるかなぁ?」

「お仕事ですか?全然いいですよー」

「悪いね」
「自宅だといいアイデア浮かばなくてね」

「そんなもんですか」

「僕らの世代は喫茶店って、まさに憩いの場所でね」

「少し前はノマドワーカーなんて言葉もありましたよね」

「そうそう。自宅じゃないCafeやファミレスなんかで作業するっていうね」

「ノマドってそもそもなんですか?」

「ノマドってさ、モンゴルの遊牧民のことで、場所を移動しながら仕事するっていう人達を例えてるんだよ」

「なるほど。このコロナ禍で増えたかもしれないですね」

「インターネットさえつながれば、仕事の出来る人はいるからね」
「うたた寝ってあるじゃない?」

「何ですか?昼寝のことですか?」

「もうちょっとこう、例えばこたつでごろ寝みたいな」
「そんなうたた寝もさ、テレビの音がしてたり、周囲の音が聞こえてたり
するんだけど、それが逆に気持ちよかったりすることがある」
「し〜んとしてるとかえって眠れないみたいなさ」

「あ〜、ありますね」

「うっすら電気つけて寝る人もいるじゃない?」

「います、います。真っ暗だとかえって眠れない」

「あれとどこか似ていて、他人もいて物音もする空間なんだけど、
なぜかその方が仕事や作業が捗ったりするもんなんだよ」

「よく考えると面白い心理ですね」

「昔の文豪が、地方の温泉旅館に篭って執筆してたじゃない。
あの気持ちよくわかるんだよね」

「おんなじですね」

「綺麗な景色と上げ膳据え膳の絶品料理、最高の湯殿。
いいもの書けそうって気になるじゃん(笑)」

「ここはCafeですけどね」

「旨いCafe飯と芳醇なコーヒー、そのコーヒーの香り漂う静かな空間。
最高だよ!」

「これはこれはお褒め頂いてありがとうございます 笑」
「ではでは、コーヒー入りましたよ」

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