おじさん、おばさんは恋愛してはいけないの!?
「ハロ~」
「あぁ、いらっしゃ~い。雨、大丈夫でした?」
「いや、しっかり降られたよ。まったく毎日のようにまるでスコールだな」
「ホントに。日本の気候じゃないですね」
「そうだよ。
ここはベトナムでもフィリピンでもマレーシアでもないんだからさ! 笑」
「それはそうと、お客さんはもう結婚とかしないんですか?」
「ん?突然どした? 笑」
「さっき若い女性のお客さんが来てたんですけど、おじさん、おばさんが
恋愛とかキモイよね!っていうような話してたんですよ」
「ふ~ん。そっか。マスターはあれからどうなの?
連絡とったりすることはあるの?」
https://note.com/balladmaker_note/n/n531c310d085d
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「いえ、しばらくしてないんですよ。
それぞれに忙しかったり、生活がありますからね」
「そうだな。年齢を重ねてからの恋愛や結婚の是非、
キモイかどうかはともかくさ、個人的にはすごく素敵だと思うんだけどな」
「そうですよね!なんていうか、若い時のそれと違ってなんかこう、
ガツガツしてないというか、穏やかな感じがして」
「うん。恋愛もさ、とにかく若い時はその先の結婚なんてこと、
あまり意識しないでただ、彼女ほしい、彼氏ほしい、でするもんでしょ。
それが30代になると、特に女性は結婚が前提でないと
付き合うことすらしなくなる。
女性には子供を産むという大切なことがあって、
その意味でタイムリミットがあるからそれは当然だよね。
逆に50代を超えると、また元に戻って、
結婚なんてあまり強くは意識しなくなるじゃない」
「なるほど、その通りかもしれませんね。」
「若い頃の恋愛はさ、
どちらかというと、相手に対して求める愛だと思うんだよ。
男性も女性もね。ただ相手に求める愛は決してうまくいかない。
だっていくら好き同士だとしても、自分の人生がある、
自分という人間があるんだ。
好きだからって、
100%相手のためになんて生きられるわけがないじゃない?
それで衝突だって起こる。
反対に年齢を重ねてからの恋愛はさ、もうその歳になるまでに一人の、
自分の人生を確立してきた人同士なんだよね。
だからこそ、相手に立場になることが出来る、相手を思いやれる、
つまり求める愛ではなくて、相手に与えることの出来る愛なんだ。
カッコつけるつもりはないけど、見返りを求めない、
与えることだけの愛こそ、本物の愛情なんだと思うよ。
それはちょうど親と子のようにさ」
「だからうまくいくし、長続きもする。打算がないんですね、そこに」
「あぁ。駆け引きなんてものもない。形や常識でもない。
結婚しても一緒に住んですらいないかもしれない。
でもそんなことは当人たちにはとても小さなことなんだ。
燃え上がるような熱はないかもしれないけど、
やさしさと信頼だけが、静かに、でも強く強く二人の間に流れてる。
それって素敵なことじゃないのかな?」
「歳を追重ねてからの恋愛、とても素敵ですよ!」
「今はキモイって話す若い人でも、それがきっとわかるようになるさ。
誰だって歳はとるんだから」
「歳をとってもそんな人と巡り合えたら幸せですね!」
「うん。ただ年齢を重ねるとさ、そこまで好きではない人でも、
自分にはって、ある意味妥協してお付き合いを始めたりすることが
あるから、それは絶対にしてはいけない」
「どういうことですか?」
「一般的には若い時ほど出会いもなければ、
特別見てくれがいい人以外はモテるなんてことは少なくなるじゃない?
そうなるとさ、仲が良くなった人に強く惹かれてなくても、
それでいいやって思うことがあるんだよ。
こんな自分でも仲良くしてくれてるんだからってさ。
でも、それは本当の意味で愛ではないから、
最初はよくても必ずうまくいかなくなる時が来る」
「それはさっきの打算になるんですね」
「そうなんだ。
難しいけど、それを理解していないと後でつらくなるのは自分自身なんだ」
「結論!おじさん、おばさんはもっとたくさん恋愛すべし。
キモイなんてことは絶対にない!これでいいっスね! 笑」
「能天気なんだから。。 まぁ。そういうことにしとくか 笑」
「はい。コーヒー入りましたよ」