結婚というシステムの終焉
「こんちは〜」
「あ〜、いらっしゃい」
「朝晩、だいぶ冷えるようになってきたね」
「ホントですね。急っていうか極端なんですよね 笑」
「もう何年も前から、日本も夏と冬だけの四季ならぬ二季だもんね 笑」
「でもこれから真冬になるまでは、お出かけにはちょうどいい季節ですね」
「あぁ。バイクでツーリングなんて最高の季節だよ。
彼女と離れてからあんまりデートとかしてないんだろ?」
「そうですね〜。すっかり出掛けなくなりました 笑」
「あれから進展は?連絡とかは取ってるの?」
「いえ、お互い忙しいかもしれないので、連絡もしてないんですよ」
「そっか。思い切って結婚とか考え始めてるんじゃないかって
思ってたんだけど。。」
「笑 もちろんそんな選択肢もあるにはあるんですけどね。
少し前に友達が離婚したんですけど、そういうの見てると
なんだかだんだん遠ざかりますよ、結婚」
「そうだな〜。僕もそんな話、しょっちゅう聞くよ。
あれだけラブラブだったのに、離婚前はお互い罵り合ったりもしてさ。
結婚なんて形を取らなかったら、
ずっと仲のいい友達でいれたんじゃないか?とすら思うことがあるよ」
「そうなんです。結婚って単に一緒に住むってことじゃないんですよね。
なんでしょう?上手く言えないんですけど、一線を越えるというか、
それまでのお互いを思いやる気遣いみたいなものがなくなって、
全てが当たり前って前提で過ごすから、ワガママも出てくるし、
それを許せなくなるっていうか。。」
「うん。結婚前はさ、仲良く一緒にいるために、そういう努力をするんだよね。
互いを思いやる努力。でも結婚したら、
そんな努力をしなくても一緒にいるわけだから、それがなくなる。
どんなに好き同士でも、所詮は他人だもん。
これまで生きてきた環境は全然違うわけだし、
そういう意味ですれ違いや合わないことだって出てくる」
「そこなんですよね。
付き合っている時からそれは見えてはくるんですけど、
まだ結婚前だから見ないようにする、あるいは脇に置いちゃうんです 笑」
「未だにそうかも知れないけど、結婚している人は勝ち組で、
出来ない人は負け組なんて風潮があるじゃない?女性は特にそうかな〜?
でもさ、好きな人を結婚なんてしたがために、
後で悪口を言うような関係になるなら、
結婚なんて本当に必要なのかなって思うよな」
「人間は大昔から結婚なんてシステムがあったわけですけど、
生活や社会の変化も当然昔とは全く違うわけで、その形や、
ある、なしも含めて変わってもいいですよね」
「そうなんだ。結婚なんてシステム、もう終わってないか?
今の若い人はあんまり興味だってないじゃない?
僕の友達でさ、女性側の両親に結婚反対されて苦戦してる人がいたんだけど、
彼女になんとか親を説得してほしいって発破をかけられて、
何度も何度も足を運んでようやく結婚の許しをもらったんだ。
ところがさ、結婚式の夜、
ちょっと泊まりに行ってくるって実家に帰ったんだそうだよ。
あれだけお嬢さんをくださいって頭下げて、嫌なことも言われながら
何度も足を運んでようやく結婚に漕ぎ着けたのにさ、
なんだか力が抜けちゃって、その後1ヶ月で離婚した。どう思う? 笑」
「昔の習わしで、
娘さんをくださいって今でもお願いしに行きますよね、男性は 笑」
「確かに戸籍が変わってこちらに入る、っていう意味ではそうなんだけど、
大昔の結婚と違って今は家柄というものに大きな意味はなくなってきてるでしょ。だからこそ、夫婦別姓なんて議論も出てくるわけでさ。
夫婦で別姓を名乗るんだとしたら、
娘さんをくださいの意味はどうなるんだっていう。。笑」
「もらってないんですもんね 笑」
「今の法律では、子供を育てるには結婚という形を
どうしても取らざるを得ないだろうし、まだまだ法整備の面で
難しい壁はたくさんあるだろうけど、もう結婚なんていうシステムは新しい、
現在の社会にあったものに生まれ変わらせる必要は絶対にあるよな」
「そうですね。夫婦もそこから始まる家族だって、とても素敵なものですもんね」
「そうさ。この前、親を病院に連れて行った時、
車椅子に乗ったおそらく奥さんだろうと思われる女性を押してる
老夫婦を見かけたんだ。大丈夫かって話しかける男性に
笑顔で頷く女性の間に流れてるあたたかで優しい時間はとてもとても素敵だった。あんな夫婦になれるんなら、結婚も悪くないなって思ったよ」
「本当に素敵です。涙出ますね」
「あぁ。」
「はい、コーヒー入りましたよ」