リターンライダーの夢
「おっ、いらっしゃい」
「どーも〜」
「このところ急に暑くなりましたね〜」
「ホント、この気温差ついていけないよ」
「でもこう天気いいと、どこか出掛けたくなるね」
「そう言えば、バイクの免許どうしたんですか?
取りに行くって言ってましたよね?」
「そうなんだよ、でもちょっと考えることがあってね」
「昔は結構乗ってたんですか?」
「うん。バリバリだった 笑」
「当時、集合住宅に住んでてね、置き場所が駐輪場とかで散々イタズラされたんだよ」
「それがついに嫌になってさ、必ずもう一度乗るって誓って降りたんだ」
「なるほどね〜」
「昔乗ってて再び乗るバイク乗りの事をリターンライダーって言ったりするんだけど、乗っていなかった長い間も、バイクのことは片時も忘れたことなかったなぁ〜」
「それだけ好きだったんですね」
「そうだね。なんたってもう免許取る前から、16歳になる前から河原で乗ってたんだからね」
「バイクの魅力ってなんですか?」
「自由。一言で言うと自由なんだ」
「自由?ですか?」
「うん。いつでもどこへでも連れて行ってくれる。
素敵な景色があればすぐに止まって、お腹が空いたら美味しいお店探して食べに行って、日本の名水が近くにあるなんて聞けば飛んで行ったり、
疲れたら大の字になって地面に寝転んだり。。」
「バイクの旅ってツーリングって言うんだけど、よく考えれば大変な事ばっかりなんだ」
「雨風もある、長く乗ってればお尻も痛い、夏暑く冬寒い、髪がぐちゃぐちゃになる、荷物がたくさん持てない、そもそも身体は常に外に出てて危険とかさ」
「それでもね、オートバイという乗り物じゃないと決して体験できない、
本当に素晴らしい経験がオートバイのツーリングにはあるんだよ」
「話聞くと、乗ってみたくなりますね」
「最近は昔と違って女性ライダーも増えて、モトブログなんかやってる人もいて嬉しい限りだね」
「キャンプ道具積んでキャンプツーリングなんてやってみたいです」
「最高だよー。僕はもう高校生の頃からやってたけどね 笑」
「時期的にもこれからはきっといいでしょうね」
「日中走ってる間に、例えば道の駅とかで食材を調達しておくんだ。
美味しいお水も汲んだりね」
「キャンプ地に着いてテント張ったら意外とやる事ないから、
ゆっくり料理仕込んだりしてさ。
翌朝、汲んでおいた美味しいお水で淹れるコーヒーなんて最高に美味いんだ」
「へぇ〜いいですね!」
「夜、満点の星空見上げながら寝転がってるとさ、あ〜、人生ってこういう瞬間が必要なんだって改めて気づくんだ」
「心が満たされる、なんて言葉じゃ結構耳にはするけど、実際の体験は全く違うものだよ」
「よくわかる気がします」
「車だって同じことは出来るよ。でもさ、それがバイクだとその特別感は
何倍も大きなものになるんだ」
「支えていなければ真っ直ぐ立っていることもないバイクは、
ただ走らせているだけで嬉しいし、スキューバダイビングではバディって
言葉があるけど、まさにバイクはバディ、相棒以上の関係になっていくことが出来る唯一の乗り物なんだと言えるんじゃないかな」
「免許とって乗りたくなってきました 笑」
「一緒にツーリング行こうよ!
そうしたらプロにコーヒー淹れてもらえる 笑」
「そこですか 笑」
「コーヒー入りましたよ」
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?