掃除が大変!!!
「ちはっ」
「おぉ、いらっしゃい」
「一昨日休みだった?」
「あぁ、すみません。お店の定期清掃だったんですよ」
「なるほどね、でもめずらしいね、お店閉めてまでって」
「ええ、今回は床だけじゃなくて周りの細かい部分まで清掃業者に混じって
スタッフも総出でやったもんですから」
「へぇ〜、でもさすが綺麗になったじゃない」
「ありがとうございます。うちは暮に大掃除なんてなかなか出来ないんで
いつもこの時期で」
「店舗は夜、お店閉めた後か、休んでしか出来ないもんね」
「もう、でも暑いし大変でした」
「掃除は苦手?」
「もちろん!本当は全部業者に任せたいくらいです」
「苦手な方が絶対いいよ、特にお店なんかやってる人はね」
「どういう事ですか?」
「僕も前にビル清掃の仕事をしてたことがあって、その辺ちょっと明るいんだ」
「初めて聞きますね」
「掃除が好きだっていう人がいるじゃない?汚れを落とすのが気持ちいいって人」
「いますね、僕には信じられませんが 笑」
「そういう人ってのは汚れを落とすことに苦を感じないから、汚れてもいいわけ。部屋でも何でもさ」
「つまり汚れること自体が嫌いではないってことなんだ」
「なるほど、なるほど」
「反対に掃除が苦手、嫌いだって人はそもそも掃除なんてしたくないから、
汚さないように常に気を配ってるんだよね」
「そういう人は汚れないように生活してるし、ちょっと汚れたらすぐその場で
綺麗にしちゃうわけ」
「そうかもしれませんね」
「掃除ってのはさ、今回みたいに汚れを溜めちゃうから大変になるんだ。
少しの汚れならその場でちょっと拭くだけで済むものが、
溜めてしまうと特殊な洗剤使わないと落ちなくなったり、
見るだけでやる気が失せたりするでしょ?」
「おっしゃる通りです 笑」
「だから掃除なんか嫌いって人の方が、いつも綺麗だし、
たとえば清掃の仕事なんかも向いてるんだよ」
「納得ですね〜、それ聞くと」
「ほら、たとえば釣ってさ、気長な人の方が向いてるってイメージない?
ところが実は上手い人に限って気が短い人なんだよ」
「どうしてですか?」
「気の短い人は餌を変えてみたり、棚って言って魚のいる水の深さを変えて
餌を流してみたり、色々とちょこちょこ工夫するんだ」
「餌投げて、ぼ〜って出来る人の方が向いてると思ってました 笑」
「実は違うんだよね。でもホント、掃除なんて一番先に人間から手が離れて欲しい仕事だと思うよ」
「ロボット掃除機なんて少しづつですが、出てきてますね」
「うん。どんなに綺麗に掃除しても結局また汚れるわけだからね。
掃除なんてなくなれば、その時間と労力でどれだけ別の価値ある物事ができるか
わからないさ」
「掃除、嫌いでしょ?」
「だい〜〜〜っ嫌い! 笑」
「コーヒー入りましたよ」
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