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シャア・アズナブルという人とこの世界


「こんばんはー」

「へいっ!いらっしゃい!」

「魚屋か! 笑」

「テンション上げてかないとですよ〜」

「そうだね〜、でもなかなかそう言ってもねー」

「あれ?パソコンに貼ってあるステッカーってネオジオンのマークですか?」

「さすがガンダムオタク、よくわかるね〜 笑」

「ガンダムファンなら当然です!」

「アニメってそう観ることないんだけど、ガンダムの宇宙世紀のシリーズだけは
好きでね」

「シャアのファンなんですか?」

「うん。断然ね。ガンダムってただのロボットアニメじゃなくて、人の思想とか
そういう部分でシャアは魅力があるじゃない」

「アムロよりシャア派だっていう人多いですよ」

「分かる気がするよ、何よりかっこいいもんね 笑」

「シャアのどんなとこ、好きなんですか?」

「う〜ん、Portrait of the Red 赤の肖像っていう、シャア・アズナブルの
回顧録があって、それなんか観るとその人間像に感動すらするんだよね」
「人間の革新とそれを希望に生きてきた男の挫折や怒り、悲しみなんかが綴られていて、最後の戦いに向かうまでの心の葛藤がとてもよく描かれているんだ」

「声優の池田秀一さんが圧巻でしたよね!」

「ガンダムはさ、宇宙に生活を移した人間と地球に住む人間の思想の違いから
起こる戦争の話だけど、今のこの世界にも通じる物語だよね」
「いくら平和と自由を訴えても世界は変わらないじゃない。
この時代になってもまだあちこちで戦争なんて起こってる。
一部の利権を貪ってる人間たちが世界では中心でさ、政治家も自分達の
保身しか考えていないから政治も腐ってる。
シャアの言う愚民ばかりで、人間の革新、進歩なんて見ることも出来ない、
むしろ人間として後退すらしてる」
「となればさ、いっそ愚民をみな葬って、選ばれた民だけが新しい世界を
再構築した方がいいんじゃないかと思うのも当然に思うよね」

「そうですねー。どう見ても今の世界、このままでいいとは思えないですもんね」

「でしょ。人は変われるのか?それとも消滅することでいわば強制的に
変わるのか?」

「はい。」

「地球ガイア論って知ってる?」

「いえ、わからないです。どんなものですか?」

「地球もね、一つの生命だっていう考え方で、例えば人口が増え過ぎれば
戦争や自然災害などで自然と減るようになっていたり、なんていうか
地球自体に自浄作用が働くっていうのかな。生物の発生、もちろんその中には
人間も含まれるわけで、人間だって自然の一部だから、地球だけじゃなく
ひいては宇宙の流れの中でその流れに乗って進んでいる」
「だから今を生きる人間にとって、世界にとって不遇に見える時代さえも
実は規定事項でさ、自然な流れの一部なんじゃないかって」

「考えてみれば、地球の歴史から考えると数々の生物や人間の文明も
栄えては衰退し、を繰り返してるんですもんね」

「そうなんだ。全ては滞りなく進んでいて、何も間違ってはいない。
地球、宇宙の歴史の観点から見たら、たとえこの先人間が消滅したとしても、
それが自然の流れで、いい、悪いっていうことはない」

「人間はどうなるんでしょうね」

「それこそ神のみぞ知る、なんじゃないかな〜 笑」

「コーヒー入りましたよ」

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