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挽歌

土曜日の夜、
たまたま見送らせていただいたある方のための挽歌です。

一台の白いワンボックスカーが
滑るように靴屋さんの前に停まった
中からスーツ姿の男のひとが3人

その佇まいは丁寧で
とても静かだった
花束が2つ ウィンドウに映っている

ややしばらくして店内から
男性たちが運びだしたのは
ストレッチャーだった

ベッドカバーのような
地味な布がかけられて
だれかが横たわっている

ああ

ここのご主人だろうか

何ヶ月も前から店は閉じられていた
小学校の上履きを扱う商店
住人でない私には縁がなかった   

会うことはなかった貴方
人生のたびを終えて
光になられたのですね。

長旅おつかれさまでした
手を合わせながら思った

誰の前にも訪れる その日
誰にもわからない その日

あっという間だったなぁ なんて
そんな風に振り返るのでしょうか。

死はとても静かで 透明だ
さざなみのように やわらかに
いのちの尊さを 思い出させてくれる

肉体を離れて 貴方の旅は
まだ続くのでしょうか。
おつかれさまでした。
そして繋いでくれて ありがとう。

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