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姉に思いを抱く異端者

 俺の姉は、雨に打たれながら外の笹に短冊をつけていた。
 俺が慌てて傘をさして姉に近寄ると、ずぶ濡れのまま姉は言う。

「短冊に願い事を書いてるの。来年も、曇り空で雨が降りますようにってね。私は、あの人ともう会えないのに、あの二人は毎年会えるなんて、ずるいじゃん」

 俺は何も言えず、ただ傘をさすしかなかった。
 でも俺が、守らなきゃと思った。
 姉に対する思いとしては異端だと思うけど、姉を、この女性を、守らなければと思った。


 姉さん、俺が守るから。あなたのことを、守りますから。
 だから、そんなずぶぬれで、泣かないでください。

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