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エルの日記帖(マリューネ)

●月×日
 今日、姉さんが付き合っているというエース……さんがやって来た。
 だが残念だったな。姉さんは外出中だざまあみろ……とはいえ。エースさんに見せる服を選びに出ているのだが……
 そんなこんなで、僕とエースさんは軽く話したのだが、その中で、姉さんの好みの味に話題がうつった。

「エリリアの好きな料理で、出来るだけ簡単なやつってある?」

 人の姉さんを呼び捨てにするなこの野郎焼くぞ。とまあ、冗談は置いておいて、中々に難しい注文だ。
 姉は魚介も畜肉も好きだし、野菜も好きだ。特にシンプルな味が好みなのだが。別に濃い味も美味しいと食べる。
 つまり、姉の好きな料理は幅が広すぎる。だが、出来るだけ簡単な料理なら……
 今作っている、デボロアのマリューネでも教えてやろうか。

 とりあえず、魚は処理できるか聞いたが、それくらいは練習してきたという。
 なら話は早い。デボロアをまな板の上に用意する。
 デボロアは、所謂中級の小魚で、よく創作でキングオブ雑魚の魚として登場する。
 だが、味はキングオブ魚だ。とても美味しい。
 まず、デボロアをおろす。そして塩をふり、しばらく置く。こうすることで、身が引き締まりさらに美味しくなる。
 その間に、トマトを平たくスライスしながら、姉さんとのなれそめなど……聞こうかと思ったが、聞いたらエースさんをスライスしそうなのでやめておいた。
 とにかく。塩に軽くつけたデボロアにビネガーを振りかけ、固い皮を処理し、食べやすい大きさにカットする。
 そして皿のようにしたトマトの上に飾るように置き、オリーヴの油を振れば完成。

 デボロアのマリューネ……新鮮なサラダとして食卓に一品あれば、姉さんも喜ぶだろうと言えば、滅茶苦茶感謝された。
 だが、エース……さんに、姉さんの喜んだ顔を独り占めされると思うと、滅茶苦茶腹立たしい。
 なので、これを書き終わったらふて寝することにする。


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