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単なる「ならず者国家」ではない:イスラエルによるレバノンのポケベル攻撃

原文:https://freedomnews.org.uk/2024/09/20/not-just-a-rogue-state-israels-pagers-attack-in-lebanon/
原文掲載日:2024年9月20日
著者:ブレードランナー

イスラエルは、誰にも説明責任を持たない無制限の国家権力という新たなイテレーションのモデル化を許されている。

イスラエルは今週、その戦争戦術を新たなレベルの恐怖にエスカレートさせた。爆発物を仕掛けられた何千ものポケベルとトランシーバーが爆発し、それらを所持している人達や近くにいた人達に凄まじい怪我を負わせた。2日間にわたるポケベルとトランシーバーの爆発は、合計で少なくとも37人を殺し、3000人以上を負傷させた。未確認情報だが、複数のソーラーパネルATMも今回の攻撃で爆発に巻き込まれたという。

イスラエルを単なる「ならず者国家」だとか、ネタニヤフを新たなテロリスト的権威主義者だとか見なすことには罠がある。イスラエルは、覇権的権力がいかなる犠牲を払っても支配を維持するために行う執拗な軍事作戦の実験場で、この新たなレベルの恐怖をもたらした。この攻撃には2つの目的があった。ヒズボラに旧式の通信技術を使ったところで安全は確保できないと示すこと、そして、民間人を容赦なく恐怖に陥れることである。1年以上にわたり、イスラエルは、誰に対しても説明責任を持たない無制限の国家権力という新たなイテレーションのモデルとなっている。

もう一つの間違いは兵器製造複合体を、紛争に付け込んで暴力の連鎖を煽る単なる日和見主義と見なすことだ。現実には、CAATによる昨日の報告が暴露したように、兵器産業は国家暴力機構に不可欠な歯車である。米国とイスラエルの同盟関係は、グローバル資本主義と帝国主義に根差している。米国の利益を守るためだけでなく、国家資本主義の覇権全体を維持し、グローバルサウスを搾取するためなのだ。

ネタニヤフの排除・米国による武器販売の停止・超大国の介入によって解決につながると期待している人達は失望するに違いない。どんな交渉にも政権交代にも希望はほとんどない。この地域では、疎外された人々と特権を持つ人々との間に根深い憎しみが培われている。これが、現在進行中の地政学的現状の再編と相まって、国家権力が最も得意とすることを、つまり、自らの存在を正当化する諸条件を創造できるようにしているのだ。

アナキストは、国家機構全体を、民衆を分断する国境を創り出す資本主義構造と家父長制構造・そうした構造を強制する軍隊・搾取と生態系破壊から利益を得る産業と共に、解体することにのみ真の希望が存在すると信じている。ナショナリズムと宗教は軋轢を招き、抑圧された側による国際連帯の可能性をうやむやにする神話なのだ。

故アルフレド゠ボナーノは数十年前に書いていた。本物の希望は、パレスチナ人とイスラエル人が共に叛乱を起こし、それぞれを支配する諸制度を(仲介者なしに)破壊することにしかない。当時でさえ、この観点は夢物語だった。今日も同じだ。しかし、この苦悩に満ちた地域が幾度も私達に示してきたように、私達は最悪の事態に備えねばならない。