ウクライナ革命叛乱軍(マフノ叛乱軍)の声明
原文:http://nestormakhno.info/english/mani1920-2.htm
以下のマフノ叛乱運動の声明は、イタリア人アナキストのウーゴ゠フェデーリが保管していたものであり、アムステルダムのInternationaal Instituut voor Sociale Geschiedenis(国際社会史研究所)の管理下にある。これらの声明をフェデーリがどのように入手したのかは分からない。声明は全てロシア語で書かれている。声明の一つは会計帳簿の紙が使われており、別な声明はキャンディ工場の包装紙が使われている。このことから、これらの声明は異なる状況下で印刷されたと思われる。(英訳はアン゠アレンによる)
http://nestormakhno.info/english/arshinov/appendix.htm
ウクライナの全農民・労働者へ。電信・電話・郵便にて全ての村落・農村地域・ウクライナ政府に送る。農民集会・工場・仕事場で読まれたし。
労働者同志諸君!ウクライナ革命叛乱軍(マフノ叛乱軍)は、一方ではブルジョア地主当局が、もう一方ではボルシェヴィキ共産党独裁が労働者と農民を弾圧していることに対する抗議として生まれた。
我々の目的は一つである--様々な権威の抑圧からウクライナの労働者を完全解放し、「真のソヴィエト社会主義秩序」を創造する戦いを行うことである。マフノ叛乱軍はこの目標を達成するために様々な戦線で断固として戦い、現在、デニキン軍との戦いに勝利をおさめつつあり、次から次へと様々な地区を解放し、あらゆる強制的権力・強制的組織を排除する過程にある。
これから何が起こるのか?何をなすべきなのか?亡命中の当局の布告をどのように扱うべきなのか?こういったことを多くの農民と労働者が問うている。
こうした疑問は、全ウクライナ労農大会で最終的に子細に回答されることになろう。農民と労働者が集まる機会ができ次第、労農大会をすぐにも招集しなければならない。この大会は農民と労働者の生活にとって喫緊の諸議題を策定し決定する。
この大会が不定期に開催されるという事実に照らし、マフノ叛乱軍は、労働者と農民の生活に係る以下の告知を示すべきだと考える。
デニキンの(任意)当局が発表した全ての布告は撤廃される。農民と労働者の利益と対立する共産党当局の布告も無効となる。
註:共産党当局の布告のうち、どれが労働者にとって有害なのかは労働者自身が--農民は集会で、労働者は工場や仕事場で--決定しなければならない。労働貴族・男子修道院・王といった勤労大衆の敵の土地は、その家畜と所有物全てと共に、自分の労働だけで自活している農民に譲渡され、その農民が利用する。この譲渡は農民集会が協同で決めた規則に従って実施される。これを行う上で、農民の個人的利益一つ一つだけでなく、抑圧されている全ての勤労農民の共通利益を念頭に置いておくことを忘れてはならない。
工場・仕事場・鉱山などの生産器具と手段は労働者階級全体の財産になる。労働者階級全体が、全ての事業をその労働組合を通じて運営し、生産の進行状況を把握し、単一の統一組織で国の全産業を束ねるよう努力することになる。
全ての農民組織・労働者組織が自由労農ソヴィエトの建設に着手することを提案する。社会経済に必要な労働に貢献している労働者のみがソヴィエトに参加できる。政治組織の代表者の居場所は労農ソヴィエトにはない。労働者のソヴィエトに彼らが参加することで、労働者のソヴィエトが政党の代理人に変質し、ソヴィエト制度の破綻を導きかねないからだ。
チェカや党委員会といった強制的で権威的で懲罰的な諸機構が自由農民と労働者のただ中にあることは容認できない。
言論・出版・集会・結社などの自由は全ての労働者から奪うことのできない権利であり、その制限は反革命行為である。
国民軍・警察・軍隊は廃絶される。その代わり、民衆が自身の自衛組織を作ることになる。自衛組織は労働者と農民だけが組織できる。
労農ソヴィエトと労働者と農民の自衛集団そして全ての農民と労働者も、いかなる反革命の兆候も--ブルジョア階級のものであろうが、将校のものであろうが--許してはならない。また、山賊行為の出現も容認してはならない。反革命や山賊行為を行ったと宣告された者はその場で射殺される。
ソヴィエトとウクライナの通貨は他の通貨と同様に受け入れられねばならない。これに違反する罪を犯した者は革命的懲罰の対象となる。
作業の生産物と商品の交換は自由に行える。当面の間、この活動を労働者-農民組織が引き受けることはない。ただ一方で、作業生産物の交換は主として労働者間で行われることを提案する。
この声明の配布を意図的に妨害する者は誰でも反革命だと見なされる。
ウクライナ革命叛乱軍(マフノ叛乱軍)軍事革命評議会司令部
1920年1月7日
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