「私達は新しい世界を胸に抱いている!」
原文:https://tekosinaanarsist.noblogs.org/we-carry-a-new-world-on-our-hearts/
原文掲載日:2024年12月7日
著者:テコシナ゠アナルシスト(アナキストの闘争)
政権は崩壊し、戦争は続く。
2011年に街頭に溢れた数百万のシリア人の革命的夢が、遂に現実になった。政権が崩壊したのだ。数十年続いたアサド王朝の後、私達は、今日、機能する中央政府がないシリアで目を覚ました。シリア国家は崩壊したのだ。
私達は、アナキストとして、革命家として、暴君が一人減ったことを祝さないわけにはいかない。万歳!だが、革命の中で7年以上生きてきて、私達は受け入れ難い教訓を学んだ。勝利は、私達が必要とする社会変革への第一歩に過ぎない。全ての勝利は次の戦いへの一歩でしかないのだから。
幸い、クルド解放運動は何十年もの経験を完全に自分達のものにしており、彼等は自身の経験を私達と共有することにこの上ない喜びを感じている。それだけでなく、彼等には、北部・東部シリアで革命的社会を主導した12年の実践的知恵もある。女性解放・社会的エコロジー・自治体連合を自身の羅針盤として、リバータリアン社会主義を構築してきた。欠点がないわけでも、間違いがないわけでもないが、既に、これまで行われた多くのリバータリアン革命以上のものを達成している。
同時に、政権に対するハイアト゠タハリール゠アル‐シャーム(HTS)の軍事的成功、そしてイドリブにおける彼等の権威主義的イスラム主義統治によって、HTS指導者は世界の通信社の見出しを動かす機会を手にした。21世紀の情報社会では、画面を下にスクロールするのと同じぐらい早く記憶がなくなってしまうため、私達は人々の記憶を蘇らせねばならないかもしれない。今日、ISISの爪からマンビジが解放されたことを覚えている人がいるだろうか?シンジャールからヤズィーディー教徒の女性を誘拐し、人身売買したジハード主義者のことを、全くのサラフィー主義の世界で誰が話すだろうか?そして、かつてカリフ支配の首都だったラッカに対して、シリア民主軍(SDF)の勝利を宣言した女性達を誰が覚えているだろうか?
忘れている人達が思い出すよう言っておく。クルド女性防衛部隊(YPJ)は今も戦っている。ロジャヴァの女性革命の最前線を率いている。この戦線は、シリア国民軍(SNA)という皮肉な名前の下に集結したトルコ国家の代理勢力から再び攻撃されている。SNAはトルコが統制する犯罪集団連合だ。現在、彼等は多文化都市マンビジを脅かしている。マンビジは、北部及び東部シリア民主自治行政区(DAANES)の制度に組み込まれた多元主義と地域自治の好例である。
ロジャヴァ革命は、クルド人だけでなく、アラブ人・アルメニア人・アッシリア人・シリア人・トルクメン人・チェルケス人などこの地にいる多くの民族グループにも届いている。デリゾール軍事評議会のアラブ人部隊は、デリゾール市内に入ると地元住民から喝采を浴び、逃亡する政府軍が残した治安の空白を引き受けたのである。北部及び東部シリアの連邦制度は革命的シリアの基盤となり得る検証済みの青写真である。ダマスカス出身の著名なアナキスト、オマール゠アズィーズは、地方自治体の連邦的同盟のために働き、それをシリア革命の中軸として提案した。彼は逮捕され、2013年2月にアサド政権の刑務所で死亡した。私達は彼を忘れていない。私達は、ここシリアのアナキストとして・革命家としての彼の言葉と経験を大切にしている。
全ての革命的亡命シリア人・アラブ人・クルド人など多くの人々は、自分達の革命を確実に成就させる責任を負っている。また、アナキスト・コミュニスト・フェミニスト・エコロジストなどの国際主義革命家も、革命を防衛する責任を感じなければならない。私達は、クルディスタンからミャンマーまで、チアパスからパレスチナまで、世界中に革命運動の模範を示す素晴らしい機会を手にしている。国民国家は資本主義的現代性の礎石であり、それに挑戦できるのは民衆革命運動の世界的連合体だけだ。もう一つの選択肢は権威主義・帝国主義的占領・原理主義的憎悪への堕落である。私達はそんなことを許しはしない。
新たなシリア革命へ!
アナキストとして、私達は国民国家の問題にも答えを出さねばならない。国家と国境の廃止を求める一方で、私達は批判だけでなく、提案と解決策も推進しなければならない。私達は、理論だけでなく実践でも示さねばならない。地域社会や社会運動と共に組織化し、民衆権力を構築するのである。
HTSやエルドアンのトルコのような権威主義勢力は、不安定な時代には常に武力を使ってその支配を強要する。それに対抗する唯一の方法は民衆組織である。強力な倫理的・政治的市民社会である。民衆の自衛と革命文化の構築である。私達を分断し、資本主義的現代性を持つ国民国家体制を欺瞞的に正当化しているナショナリズムと排外主義に対して、国際連帯と共に挑むのである。多様性に対する抑圧と暴力を生むだけの国民国家の中央集権システムと国境に対して、地方自治と連邦制モデルと共に挑むのである。あらゆる権威主義モデルの源である家父長的抑圧に対して、最前線で組織している女性やクィアと共に挑むのである。
2011年のアラブの春以降、多くの革命的企てが中東で行われたが、どれも解放的解決策を達成できず、新たな専制的抑圧に幾度も沈みこんでしまった。暴君が倒れた後、別な暴君に取って代わられないようにするにはどうすればいいのだろうか?政権が崩壊すると、束の間だが好機がある。束の間の革命的な時間、そこで人々は新たな中央集権型権威を押し付けられないよう権力を自らの手に取り戻すことができるのだ。私達は、こうした好機が現れた時にそれを捕まえる用意をしなければならない。
シリア革命を、そして、この地域で民主的抵抗の先頭に立ってきたクルド解放運動を、来るべきさらに多くの革命の模範となるようにしよう!私達が胸に抱く新しい世界を構築するために共に戦おう!
テコシナ゠アナルシスト゠メディアセンター
2024年12月7日
あなたは何をできるのか?
地元のロジャヴァ連帯組織に参加する。
メディアに寄稿し、国内避難民の危機に注意喚起すると共に、戦闘に関与している全勢力についてより正確な像を提示する。あなたが既にメディアで働き、大手の出版物を利用できるなら、なおさらこの方法が当てはまる。
拡散可能なアートやビジュアルを作成する。パンフレット・著作・連帯キャンペーンなどに結び付けてみよう。
デモを組織して参加し、公の場で演説する。トルコの航空会社に反対するキャンペーンとシリア上空の領空封鎖の準備をする。これまでは、空からの攻撃はSDFにとって最大の問題だった。そのような事態になれば、再び大きな要因となるだろう。
ジャーナリストはスィーマルカー国境を通行できる。ロジャヴァに来てください!
可能ならば、同志・友人・家族と集まり、上記の提案を共に行う。自分でグループを作るか、既存のグループに参加する。